研究課題/領域番号 |
22KJ3108
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補助金の研究課題番号 |
22J00445 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分39060:生物資源保全学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人国立環境研究所 |
研究代表者 |
青木 聡志 (2023) 国立研究開発法人国立環境研究所, 生物多様性領域, 特別研究員(PD)
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特別研究員 |
青木 聡志 (2022) 国立研究開発法人国立環境研究所, 生物多様性領域, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
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キーワード | アリル頻度 / 塩基多様度 / カーネル密度推定 / 遺伝的多様性 / Watterson’s theta |
研究開始時の研究の概要 |
生物種内の多様性である遺伝的多様性は遺伝子資源の収集・保全結果の予測や保全絶滅危惧種の保護繁殖などに利用される。単一の交配可能な生物集団についての遺伝的多様性の推定手法は存在するが、複数の集団にまたがる広域の生物集団の遺伝的多様性推定には理論的根拠のある手段が確立されていない。本研究は多様性指標の新規開発と、データのある地点からデータのない地点のデータを推測する空間内挿という統計手法を活用して上記手段の確立を目指すものである。
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研究実績の概要 |
前年度に査読中であった新規の遺伝的多様度指標に関する論文は受理・出版された。 今年度は主にカーネル密度推定を利用した未観測アリル頻度の推定の研究を行った。アリルの頻度は確率と同義に考えることができ、また塩基配列はアリル長に等しい次元を持ち、A,T,G,Cという4種の値を各次元の成分に持つ特殊なベクトルとして考えることが可能である。したがって、アリル頻度は塩基配列空間上の確率質量関数とみなすことができ、離散的なカーネル関数を使えばカーネル密度推定を適用して推定することができる。まずは通常のアリルのまま直接カーネル密度推定を可能にした。しかし、未観測アリルの数はアリルが長くなるにつれて指数関数的に増え、計算上必要なメモリが膨大となるため未観測アリルすべてを直接取り扱う方法はアリルがごく短い場合にしか計算可能とならない。そこで、観測アリルからの距離を利用して複数の未観測アリルをまとめてひとつの座標として記述する方法を追加で開発した。シミュレーション実験により本手法を検証した結果、サンプルサイズが母集団サイズの2割と小さい場合を除いて塩基多様度推定、アリル頻度推定ともにカーネル密度推定を適用しない方が良好な結果となった。これはメモリ不足で未観測アリルを直接表現できないことや次元の呪い、集団が有限であることなどが原因であると考えられる。本研究の論文は査読付き科学雑誌に受理・出版された。 上記の結果を受け、INLAによる遺伝子頻度の空間内挿は未観測アリルへの適用を断念し、プログラミングを進めている。基本的な機能は既に完成しており、現在サンプルサイズが小さい場合の推定結果を改善できないか試行している状態である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
肯定的な結果ではなかったものの、当初の予定通り2年目までに未観測アリルに関する研究を終えることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
アリル頻度の空間内挿を行う基本的なプログラムは既に完成しているため、今後は様々なデータセットを使ってプログラムの検証を行い、必要なデバッグや改良を加えたのちRパッケージとしてプログラムをとりまとめて公開し、論文化を進める予定である。
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