研究課題/領域番号 |
22KJ3117
|
補助金の研究課題番号 |
21J00895 (2021-2022)
|
研究種目 |
特別研究員奨励費
|
配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2021-2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分39050:昆虫科学関連
|
研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
新井 大 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 昆虫制御研究領域 昆虫微生物機能ユニット, 特別研究員(PD)
|
研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | オス殺し / 共生微生物 / Wolbachia / 昆虫 / 進化 / ファージ |
研究開始時の研究の概要 |
昆虫のオス殺し細菌Wolbachiaの進化・オス殺し分子メカニズムに及ぼすファージWOの影響を解明する。農業・衛生害虫の防除への応用が期待されているWolbachiaは、オスのみを致死させるオス殺しを引き起こす。しかしWolbachiaがオスを殺す機構:原因遺伝子、分子機構、およびオス殺しを獲得した進化経緯は明らかでない。本研究では、チャ樹害虫チャハマキから同定されたオス殺しWolbachiaを操作するファージWOをもとに、オス殺し原因WO遺伝子を同定し、昆虫の遺伝子発現解析から分子メカニズムを解明し、野外調査およびゲノム・進化解析からWolbachiaの進化にWOが及ぼす影響を解明する。
|
研究実績の概要 |
本研究では、昆虫に感染する共生細菌Wolbachiaが引き起こすオス殺し現象の分子メカニズムおよび獲得プロセスを、Wolbachiaに感染するファージWOに着目して解明することを目的としている。2022年度は、Wolbachiaの遺伝子機能解析に加え、さまざまな昆虫に感染するWolbachiaのゲノムを解析した。あわせてWolbachiaと同様にオス殺しを誘導する細菌Spiroplasmaのゲノムを解析した。具体的な成果は以下のとおりである。 ・チャハマキオス殺しWolbachiaの遺伝子機能解析:オス殺しwHm-t株のみがもつファージWO領域に座上する遺伝子を、ショウジョウバエ(安定)およびチャハマキ(一過性)で発現させ、強いオス致死活性を引き起こす遺伝子を絞り込めた。 ・Wolbachiaゲノムの解析:スジマダラメイガ由来wCauB株、スジコナマダラメイガwKue,セジロウンカwFur、キチョウwCI、およびリュウキュウムラサキwBol1株などのゲノムを解読した。wBol1株ゲノムには多型がみられ、wHm-t株がもつオス殺し関連WO領域と極めて相動性が高い領域が認められた。 ・培養細胞を使った共生微生物感染細胞の樹立とSpiroplasmaのゲノム解析:ゲノム解析や表現型解析のため、さまざまな昆虫由来のWolbachia 株を培養細胞に感染させ維持した。同様の方法でチャハマキに感染するオス殺し細菌Spiroplasma ixodetis sHm株を維持することにも成功、ゲノム解析からオス殺しSpiroplasma poulsonii MSRO株のオス殺し遺伝子Spaidを持たないことが分かった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
機能解析系の樹立、Wolbachiaのゲノム解析、および論文化についても当初の想定通りに進んでいるため、概ね順調に進展していると判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
2023年度は最終年度として、引き続きオス殺し遺伝子の機能解析に取り組むとともに、Wolbachiaが複数のオス殺しメカニズムを獲得するに至った進化プロセスを、ゲノム進化解析を通して理解する。諸外国(台湾、インドネシア、ベトナム、オーストラリア)の共同研究者とともに野外調査をすすめ、オス殺しWolbachiaの進化プロセスの解明に取り組む。
|