研究課題/領域番号 |
22KJ3118
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補助金の研究課題番号 |
22J00257 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分38050:食品科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
安部 大樹 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品研究部門, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 予測微生物学 / カンピロバクター / 定量的微生物リスク評価 / 全ゲノム解析 / 食品安全 / 加熱殺菌 / 菌株差 / 不確実性 |
研究開始時の研究の概要 |
次世代シーケンサを用いて全ゲノムシーケンス解析を行い、暴露環境ストレス条件と遺伝配列を元に細菌の生存特性を推定する予測モデルを開発する。生存特性の予測には遺伝子情報の解析法として着目されている機械学習モデルを用いる。加えて、食品の加工流通時に食中毒細菌の晒される加熱および冷蔵保存環境における適応進化のプロセスをコンピュータシミュレーションを行うことで再現し、変異シミュレーションを行うことで未知の食中毒細菌株を含めた細菌種全体の生存特性のばらつきを予測するアルゴリズムを開発する。
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研究実績の概要 |
本研究は、カンピロバクターの環境要因に対する応答挙動における菌株間の違いを環境情報及び遺伝子情報を用いて予測するモデルを開発することを目的としている。昨年度は29菌株のCampylobacter jejuniの耐熱性試験および29菌株の内の16菌株の全ゲノム解析を行っていた。本年度は得られた全ゲノム情報を基にwhole genome Multi-Locus Sequence Typingと言う前処理を行うことでどのような遺伝子が耐熱性と相関があるのか包括的に分析した。また,wgMLSTの情報を基に機械学習を用いて耐熱性を予測するモデルを開発した。加えて耐熱性予測モデルを用いることでゲノムバンク状に存在する500を超えるC. jejuniの耐熱性を予測し,菌種内の耐熱性のバラつきを評価した。得られた結果はFoodMicro 2024およびInternational Association of Food Protection 2024にて発表することが決定している(両学会査読通話済み)。また,追加でC. jejuni22菌株の耐熱性試験を行った。 昨年度行われた29菌株のC. jejuniの耐熱性試験および菌株変動性予測モデルに関する発表を本年度、International Association of Food Protection 2023(ポスター発表)およびInternational Conference of Predictive Microbiology 12(口頭発表)にて行なった。また、昨年度の成果は論文として International Journal of Food Microbiologyに掲載された。 次年度は,追加で26菌株の全ゲノムシーケンスを完了させるとともに,本年度開発された生存特性の予測モデルの改良と進化予測シミュレーションモデルの開発を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り,本年度にゲノム情報から耐熱性を予測する機械学習モデルを開発することができた。また,開発した予測モデルを用いてゲノムバンク上に存在する500以上のゲノムの耐熱性の変動性について推定することができた。加えて,予定よりも多く菌株を用意することができたので,追加で22菌株の耐熱性試験を行った。これにより,より精度の高い耐熱性予測モデルの開発が期待できる。 次年度行う,進化シミュレーションのための予測モデルの向上とアルゴリズムの開発のための準備も順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度の計画は進化シミュレーションによる未知の耐熱性を持つ菌株の推定である。繰り返し実験によるC. jejuniの進化を再現するため,本年度,加熱・培養を繰り返す進化再現実験の予備試験を行なっている。また,進化シミュレーションを行うためのアルゴリズムの作成と準備を本年度行なっており、次年度は双方の結果を比較,評価していくことで進化予測シミュレーション法の妥当性について議論する。また,本年度作成された耐熱性予測モデルに次年度追加で行う26菌株の全ゲノム情報と耐熱性試験の結果を追加することで予測モデルの精度向上が期待できる。 加えて,現在までに実施した結果について,FoodMicro 2024およびInternational Association of Food Protection 2024の両学会にて発表を行う。さらに,より詳しい結果と考察について,国際誌International Journal of Food microbiologyへの投稿を控えている。
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