研究課題/領域番号 |
22KJ3129
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補助金の研究課題番号 |
21J00910 (2021-2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2021-2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分44010:細胞生物学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
清水 優太朗 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 膜交通 / ゴルジ体 / トランスゴルジ網 / シロイヌナズナ / 植物 |
研究開始時の研究の概要 |
トランスゴルジ網(TGN)は、小胞体で合成されたタンパク質をゴルジ体を介して受け取り、それらを細胞膜や液胞などの目的地に仕分けて輸送する重要な細胞小器官である。一般的にTGNはゴルジ体に隣接して存在しており、ゴルジ体が成熟した結果生じると考えられている。しかしながら、このゴルジ体成熟モデルでは説明できない事実が数多く報告されており、その形成機構およびゴルジ体-TGN間におけるタンパク質輸送機構についての理解は進んでいない。本研究では、顕微鏡下で観察が容易な植物細胞のゴルジ体とTGNに着目し、細胞生化学的手法やケミカルバイオロジーの手法を用いてこれら分子機構の解明に迫る。
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研究実績の概要 |
トランスゴルジ網(TGN)はゴルジ体から運ばれてきた積荷タンパク質やエンドサイトーシスされた積荷タンパク質を選別し最終目的地へ送り出す重要なオルガネラである。小胞体からゴルジ体、あるいはゴルジ体間の積荷タンパク質輸送機構についてはよく研究されている一方で、ゴルジ体とTGN間でどのように積荷タンパク質を輸送しているのか、その仕組みについては十分な知見がない。本研究課題の目的は、植物細胞を対象に、細胞生化学的手法とケミカルスクリーニングを駆使し、ゴルジ体とトランスゴルジ網間における積荷タンパク質輸送機構を明らかにすることである。特にゴルジ体とTGNが恒常的に隣接して存在する様式に着目し、それらの境界面で機能するタンパク質が重要であるとの仮説のもと、それらの役割を明らかにする。 前年度から引き続き、ゴルジ体マーカーとTGNマーカーの局在関係に影響を与える化合物のスクリーニングをおこなったが、目的とするようなヒット化合物を得ることはできなかった。細胞生化学的手法として、ゴルジ体あるいはTGNに局在するタンパク質に近位依存性ビオチン標識酵素を融合した植物体を作出し、LC-MS/MSによりプロテオームを比較した。得られたプロテオームからゴルジ体とTGN間で繋留因子として機能すると考えられる解析候補タンパク質群を同定した。一部の解析候補タンパク質に蛍光タンパク質を融合して細胞内局在を解析し、それらがゴルジ体とTGNに局在することも確認した。今後これら解析候補タンパク質群の変異体について解析を進めていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前年度から追加した新たな化合物ライブラリを用いたケミカルスクリーニングに注力して解析候補タンパク質群を同定しようとしたが、ヒット化合物を得ることができなかったため。また、TGNマーカーに近位依存性ビオチン標識酵素を融合した植物の多くが矮化を示し適切な系統を作出するのに時間がかかったため。
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今後の研究の推進方策 |
ケミカルスクリーニングを用いた方法では解析候補タンパク質を得ることはできなかったが、近位依存性ビオチン標識法により、解析候補タンパク質群を得られた点では大きな進捗があった。次が最終年度のため、一過発現実験により、得られた解析候補タンパク質群の中からゴルジ体およびTGNに局在するタンパク質をさらなる解析候補として選抜する予定である。選抜した解析候補タンパク質群の変異体背景シロイヌナズナに、ゴルジ体マーカーやTGNマーカーを導入しそれらの局在関係の変化や、積荷タンパク質の輸送に影響を及ぼすかどうかを解析する。さらに、植物個体の表現型を解析することで、当該タンパク質が担う生理学的な意義についても考察したい。
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