研究課題/領域番号 |
22KJ3140
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補助金の研究課題番号 |
22J00672 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分50010:腫瘍生物学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
峯岸 美紗 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 特別研究員(PD) (30963011)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 休眠がん細胞 / 再発転移 / 周辺微小環境 / 遺伝子発現解析 |
研究開始時の研究の概要 |
原発巣を離脱して、遠隔臓器内で休眠状態にある休眠がん細胞は、遠隔臓器で再発転移を引き起こす。しかし、休眠がん細胞の生体内の希少性から、休眠状態の維持や、周辺環境の変化により再増殖する状態遷移を司る分子機構は未だほとんど解明されていない。そこで、がん細胞が原発巣を離脱して、遠隔臓器に入り、休眠状態を経て、再増殖する過程の長期観察が可能な新規実験系を構築する。構築する実験系を用いて、がん細胞と微小環境を解析するにより、がんの再発転移を制御する分子機構を包括的に解明する。
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研究実績の概要 |
原発巣を離脱して、遠隔臓器内で休眠状態にある休眠がん細胞は、遠隔臓器で再発転移を引き起こす。しかし、休眠がん細胞の生体内の希少性から、休眠状態の維持や、周辺環境の変化により再増殖する状態遷移を司る分子機構は未だほとんど解明されていない。そこで、本研究期間を通して、生体外で休眠誘導・解除可能な乳がん細胞株を用いて、生体内で休眠を介して再発転移する長期間の観察が可能な実験系を構築後、がん細胞と周辺微小環境に存在する間質細胞の遺伝子発現解析の実施し、がん細胞と微小環境の複数の観点から、がんの再発転移を制御する分子機構を包括的に解明することを目指す。 本年度は初年度であったため、状態遷移の長期観察が可能な実験系に適切ながん細胞株の選定を主に実施した。具体的な選定条件として、マウス乳がん細胞の中で、生体外において休眠誘導・解除が可能な細胞株を第一条件に選定した。先行研究の報告がある細胞株を含め、いくつかの細胞株を選択することができた。また、興味深いことに、休眠状態のがん細胞の覚醒と増殖状態への遷移過程には、細胞不均一性があることを確認した。そこで、休眠を介して再増殖を引き起こす多様性の全体像を捉えるために、生体外での新規実験系の構築を進めている。さらに、選定したがん細胞株に細胞周期G0期特異的に発現するレポーターを組み込むことで、生体内における休眠を介した再発転移を長期的に観察可能な実験系の構築も進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
遠隔臓器に入り、休眠状態を経て、再増殖するがん細胞株を選定するために、予想以上に時間を要した。また、休眠状態のがん細胞の覚醒と増殖状態への遷移過程には、細胞不均一性があることを確認した。そのため、生体外での実験系を用いて、休眠を介して再増殖を引き起こす多様性の全体像を捉えた上で、生体内での解析を実施した方がより解像度高く再発転移機構の解明につながると考えたため、計画よりもやや遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度に選定した生体外で休眠誘導・解除が可能な細胞株を用いて、(1) 休眠を介して再増殖を引き起こす多様性の全体像を生体外での実験系で捉え、(2) 生体内にがん細胞の休眠を介した再発転移を誘発する分子機構をがん細胞と周辺微小環境の両面から明らかにする。(1)と(2)を並行して進めることで、休眠維持と再発転移を誘発する遺伝子発現制御機構の解明を目指す。 (1)について、次年度には、生体を模倣した微小細胞外基質を用いて、休眠に関連する細胞状態遷移の大規模かつ長期的な観察を可能にする新規実験系を構築し、細胞動態と遺伝子発現の統合解析により休眠を介した再発機構の理解を目指す。 (2)の次年度の計画としては、まず、今年度選定したがん細胞株にG0期に特異的に発現可能なレポーターを安定的に発現するレポーターを導入する。また、G0期特異レポーターを発現するがん細胞を乳腺に移植し、原発巣を離脱したがん細胞の一部が遠隔臓器で休眠状態となり、その後再発が引き起こされる様子を透明化技術などで評価し、生体内での休眠前後の様子を長期的に追跡が可能な動物実験系を構築する。さらに、再来年度に実施予定のがん細胞の周辺微小環境の解析準備も並行して進める。
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