研究課題/領域番号 |
22KJ3142
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補助金の研究課題番号 |
22J00780 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分53020:循環器内科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
家城 博隆 (2023) 国立研究開発法人理化学研究所, 生命医科学研究センター, 特別研究員(CPD)
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特別研究員 |
家城 博隆 (2022) 国立研究開発法人理化学研究所, 生命医科学研究センター, 特別研究員(CPD) (30932834)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2026年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2025年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2024年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 心筋梗塞 / 機械学習 / 全ゲノムシークエンス / 胸部X線 |
研究開始時の研究の概要 |
全世界の第1位の死因である虚血性心疾患は遺伝的要因をベースに、生活習慣などの環境要因が複雑に絡み合って発症に至る。そのため発症に 関わる遺伝的要因による個人差と環境要因の関連を明らかにすることが疾患発症の予測・予防の観点から重要である。近年のゲノム解析により遺伝的要因は徐々に明らかになってきたが、オミックスや環境因子を組み合わせた解析には限界がある。本研究では従来の解析手法に加えて機械学習によるアプローチおよびウェアラブルデバイスから得られる生体情報を組み合わせる事により、遺伝情報を網羅的に解析する。これにより個人レベルで、正確な疾患発症予測と予防の実現を目指す。
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研究実績の概要 |
心筋梗塞や狭心症などの虚血性心疾患は全世界の第1位の死因であり患者だけでなく医療経済の観点から大きな問題となっている。虚血性心疾患のゲノム医療において多くのゲノムワイド関連解析が行われ頻度の高い変異・多型(コモンバリアント)の関わりが明らかになり、遺伝的リスクスコア(PRS)による疾患予測も行われるようになってきた。しかしレアバリアントの解析は十分でなく遺伝的リスクスコアの予測性能も限られているという問題がある。また環境因子が十分に解析されていない。そのため本研究ではバイオバンクジャパンの全ゲノムシークエンスデータに対して機械学習を用いた解析手法を応用することでレアバリアントを解析しより精度の高い遺伝的リスクスコアの作成を目指した。 約6000人の全ゲノムシークエンスを解析した結果、約60個の遺伝子が心筋梗塞の発症に関わることが示唆された。この遺伝子群に対してタンパク質間相互作用(PPI)ネットワークの情報を重ね合わせることで疾患に関わるモジュールとして免疫や脂質に関するものが同定され、またエンリッチメント解析によりいくつかの疾患のパスウェイが同定された。またレアバリアントからなる遺伝的リスクスコアを作成し、クロスバリデーション解析および独立したデータで検証したところ有意に疾患を予測することが明らかになった。レアバリアント遺伝的リスクスコアと血液 検査やバイタルサインなどの臨床パラメータを比較すると脂質や凝固機能が有意に関連していることが明らかになり、心筋梗塞の予後にも関連が見られた。またウェアラブルデバイスによるデータを組み入れるため、米国のデータベースなどにアクセスし有用性を検討した。今後は得られた遺伝子の解析を進めると同時に、環境因子を組み入れたより精度の高いリスクモデルの構築を目指していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
機械学習を用いた解析により遺伝子の同定や遺伝的リスクスコアの作成を行い、さらに遺伝子や疾患パスウェイの解析などを実施した。また遺伝的リスクスコアと臨床パラメータの相関についての結果も得られてきておりレアバリアントの網羅的解析とリスクモデル構築が進んでいる。環境因子についてはウェアラブルデバイスのデータを収集するため公共データベースへのアクセスを申請しデータの確認を進めている。このように得られた遺伝子についてダウンストリーム解析や、リスクスコア作成と臨床情報との関連の解析、ウェアラブルデータへのアクセスなどを行なっており、概ね順調に進んでいると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は機械学習を用いたレアバリアント解析の手法について、使用するバリアントタイプ(ミスセンスやナンセンス、フレームシフト変異など)の検討やモデルの手法について、さらに検討を進めて精度の向上を目指す。また非遺伝的要因を取り込んだモデルについてもオミックスデータやウェアラブルなどの公共データベースを用いて検討を進めていく。
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