研究課題/領域番号 |
22KJ3149
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補助金の研究課題番号 |
22J40058 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分44020:発生生物学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
高瀬 比菜子 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 特別研究員(RPD)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
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キーワード | 原始卵胞 / 卵母細胞 / WNTシグナル / シングルセルRNA-seq解析 / 原始卵胞活性化 / 卵巣 / 顆粒膜細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
哺乳類の卵巣中では大部分の卵母細胞が休眠しており、徐々に活性化されて成長段階に入る。長い生殖可能期間を通じて安定的に排卵するには、卵母細胞の休眠と活性化のコントロールが重要である。卵母細胞の休眠制御に異常が生じると、早発卵巣不全などの不妊の原因となると考えられている。 卵母細胞は顆粒膜細胞に囲まれた卵胞と呼ばれる構造を取っている。卵母細胞と顆粒膜細胞は同時に活性化することから細胞間相互作用が想定されるが、その分子メカニズムの詳細は明らかになっていない。本研究では、原始卵胞の休眠状態の脱却に関わる卵母細胞と顆粒膜細胞間の相互作用を明らかにすることを目的とする。
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研究実績の概要 |
本研究では、シングルセルRNAシーケンスを利用することにより、原始卵胞活性化プロセスの制御機構についてトランスクリプトミックな観点から洞察を得ることを目指した。顆粒膜細胞のWNT分泌と分化が抑制されるWntless (Wls)コンディショナルノックアウト (cKO) マウスをモデルとして利用することで顆粒膜細胞の役割に焦点をあてた。 顆粒膜細胞と卵母細胞に対して亜集団解析、発現変動遺伝子の抽出、エンリッチメント解析、転写因子ネットワークの解析を行った。我々のデータは、Wls cKO マウスの顆粒膜細胞は、活性化の後、即座にトランスクリプトーム上の変化を示すことを明らかにした。顆粒膜細胞の機能の確立においてWNTシグナルが重要な役割を果たしていることを示唆する。Wls cKO マウス顆粒膜細胞では細胞増殖、タンパク質の品質管理の低下が示唆され、逆に異常なTGFβ/BMP経路の活性化が検出された。これらの遺伝子群は顆粒膜細胞分化においてWNT シグナル伝達の影響を受ける分子経路と考えられる。 一方で、微小環境が破壊されたWls cKO マウスの卵母細胞については軽度の遺伝子発現シグネチャー上の異常を示すことが明らかになった。顆粒膜細胞におけるWNTシグナルの抑制は、卵母細胞のトランスクリプトームにはわずかな影響しか与えないものの、正常な発育の支持を著しく障害する。 本研究の成果は、微小環境の破壊が卵母細胞に及ぼす影響を明らかにし、卵胞形成におけるWNT シグナル伝達の役割を理解するための基盤を提供する。
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