研究課題/領域番号 |
22KJ3171
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補助金の研究課題番号 |
22J01012 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分45030:多様性生物学および分類学関連
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研究機関 | 独立行政法人国立科学博物館 |
研究代表者 |
佐藤 真央 独立行政法人国立科学博物館, 動物研究部, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | テンジクダイ科 / 感丘 / 側線系 / ハゼ亜目 / 形態学 |
研究開始時の研究の概要 |
魚類の体表には,水流を知覚するための感覚器(感丘)がある.個々の感丘の形態(サイズや外形等)は種間や分類群間で異なることが知られている.本課題は,感丘の機能を司る形態的特徴を種間比較することで,感丘の感受性が生息環境の流速等に応じて種間で分化している可能性の検証を目指す.すなわち,魚類の感覚器官における水流に対する適応進化の一端を形態学的観点から解明することを目的とする.
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研究実績の概要 |
本研究では水流を感受する受容器(感丘)の形態的特徴が種間で分化している現象について究明する.当該年度は,昨年度の結果をうけて研究対象種の範囲をやや広げ,表在感丘が多数発達するという特徴をもつグループ(テンジクダイ科やハゼ亜目など)と,そのような特徴を含まない側線系を具えるフエダイ科オキフエダイを中心的に観察した. 神経支配の観点からは,アマミイシモチ(テンジクダイ科)とオキフエダイの間で相同な感丘群同士では感受方向が一致しているのに対して,テンジクダイ科に特有な感丘群ではそれらと異なる,補完的な感受方向をもつことが明らかになった.また,一般的な魚類では表在感丘の感受方向には部位間で「偏り」があるものの,テンジクダイ科魚類では上記の補完的な感受方向をもつ表在感丘によって「偏り」がある程度解消されていた.テンジクダイ科の他の族や亜科の種も簡易的に観察した結果,科内での感丘の感受方向性は種間でよく保存されており,従来の知見と併せるとテンジクダイ科において補完的な感受方向をもつ表在感丘の出現は本科種の共通祖先で生じたと示唆される. 個々の表在感丘の形状については,テンジクダイ科やハゼ亜目では丸みを帯びたダイヤ形(両側方に角状突起をもつ)で,かつ感受方向は感覚細胞群の長軸方向と平行であり,個体内では表在感丘群間で外形に明瞭な差異はなかった.一方,オキフエダイでは個々の表在感丘は長細い楕円形で側方突起はなく,感受方向は感覚細胞群の長軸方向と直角であり,部位間で表在感丘の長短比がわずかに異なっていた.このような種間差はあるものの,どのグループでも表在感丘自体の最大幅は感受方向と直交する方向であり,感受方向に沿った水流を受けやすい形態をとっていることは共通していた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
感丘の感受方向性とその種間差について一定の知見が得られたといえる.観察対象種の範囲をやや広げることで,個々の感丘の形態に加えて感受方向性についての議論も行うことができた.
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今後の研究の推進方策 |
これまでは感丘の構成要素のうち有毛細胞や支持細胞についてのデータ取得に大きくリソースを割いてきたため,今後はその他の要素であるクプラについての究明を進めることで体系的な知見の構築を目指す
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