研究課題/領域番号 |
22KJ3172
|
補助金の研究課題番号 |
22J01214 (2022)
|
研究種目 |
特別研究員奨励費
|
配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分45020:進化生物学関連
|
研究機関 | 独立行政法人国立科学博物館 |
研究代表者 |
三上 智之 独立行政法人国立科学博物館, 地学研究部, 特別研究員(PD)
|
研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | アンモノイド / X線マイクロCT / 進化 / アンモノイド類 / 数理モデル |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、アンモノイド類の複雑な縫合線がどのように獲得されたかを明らかにするために、縫合線の発生を再現する数理モデルを作成し、数理モデルと実際の縫合線データの両方を活用することで、アンモノイド類の縫合線の発生メカニズムが時代を追ってどのように変わったかを考察する。特に本年度は、数理モデルの開発を進めると同時に、さまざまなグループ・時代のアンモノイド類の縫合線データを収集することで、縫合線の発生過程を実データから明らかにする。また、得られたデータと数理モデルとの比較を行うことで、数理モデルの正確性を検証する。
|
研究実績の概要 |
2023年度は、2022年度に引き続き、アンモノイド類の収集とX線マイクロCTを行った。本研究では、アンモノイド類の縫合線進化を考えるにあたり重要な手がかりとして、古生代のアンモノイド類の縫合線の多様性に注目している。そこで、古生代のアンモノイド類の標本を収集することを狙い、2023年11月から12月にかけて、モロッコ王国でのフィールド調査を行った。この調査では、モロッコ王国南部のエルフードからアルニフにかけての地域で、主にデボン紀から石炭紀にかけての古生代の、アンモノイド類を中心とした多様な頭足類の化石標本を採集した。収集した標本は、2024年5月現在、モロッコ王国から日本に向けて輸送中で、2024年度前半中に日本に到着する予定である。日本に到着し次第、標本のX線マイクロCTを行う。 さらに、2022年度までに得られたX線マイクロCTでの撮影データの解析を進めた結果、これまでにない精度でのアンモノイド類の隔壁/縫合線の3Dデータを得ることができたほか、2022年度に引き続き、進化の数理モデルの開発・改良も進めた。 また、アンモノイド類の縫合線の発生メカニズムを理解する手がかりとして重要な、 アンモノイド類の縫合線と類似した発生パターンを持つ現生生物の探索も行い、縫合線に類似した形質を持つ軟体動物を複数発見した。 一方で、アンモノイド類のX線CTの副産物として得られた、アンモノイド類と共産するアンモノイド類以外の化石の3Dデータを活用する研究も進めた。特に魚類と棘皮動物については、新規性の高いデータを得ることができいる。こうしたデータについては、現生生物や先行研究との比較を行い、論文として発表する準備を進めている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度には、モロッコ王国での調査を実施できたことにより、研究上重要であるがデータが少なかった古生代のアンモノイド類について、重要な標本を大量に収集することができた。また、X線マイクロCTでの撮影データの解析も順調に進展した。さらに、アンモノイド類の研究の副産物として得られる他の生物のX線マイクロCTデータの活用も進めることができた。
|
今後の研究の推進方策 |
2024年度には、2023年度にモロッコ王国で収集したアンモノイド類標本や、その他のアンモノイド類標本のX線マイクロCT撮影と解析を行う。また、X線マイクロCTで得られた縫合線のデータをこれまでに開発した数理モデルの結果と比較する。 さらに、これまでに発見した、アンモノイド類の縫合線に類似した形質を持った軟体動物について、標本と写真データの収集を行う。こうした軟体動物をアンモノイド類と比較することで、アンモノイド類の縫合線の発生メカニズムとその進化過程の理解を目指す。 さらに、引き続き、アンモノイド類の研究で副次的に得られたアンモノイド類以外のX線マイクロCTデータの研究も進める。
|