研究課題/領域番号 |
22KJ3175
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補助金の研究課題番号 |
20J01757 (2020-2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2020-2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分13010:数理物理および物性基礎関連
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研究機関 | 中央大学 (2023) 国立研究開発法人産業技術総合研究所 (2020-2022) |
研究代表者 |
龍田 真美子 中央大学, 理工学部, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2023-06-29 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 猫状態 / 量子センシング / エンタングルメント / ダイヤモンドNV中心 / 量子センサー / 断熱操作 |
研究開始時の研究の概要 |
マクロに異なる状態が量子的に重ね合わされた状態、いわゆる猫状態は、量子情報処理、特に量子センシングという量子状態をセンサーとして用いる状況において、古典的な状態よりも高性能になることが知られている。本研究では、実験でよく用いられるセットアップである固体中の電子集団に対して測定を繰り返し行うことで、徐々に電子集団に猫状態が生成されていく様子を数値的・解析的に調べ、高感度量子センサーを比較的容易に作る手法を明らかにする。このとき、実験での実現を念頭に置いて、温度が絶対零度ではなく有限の場合やノイズが存在する場合に関しても調べる。
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研究実績の概要 |
シリコン基板中の電子やダイヤモンド中のNV中心といった固体中のスピン集団を超伝導磁束量子ビットと結合させ、スピン集団の磁化を磁束量子ビットによって繰り返し読みだすことでスピン集団の量子状態が徐々に変化していく様子を調べる研究を続けていた。スピン集団の初期状態がマクロな磁化を持つ場合、その磁化に直交する向きの磁場測定を高精度で行うと、スピン集団はマクロに異なる状態の重ね合わせ状態へと変化する。マクロに異なる状態の重ね合わせは、たとえばすべてのスピンが上を向いた状態と下を向いた状態の重ね合わせとなっているシュレディンガーの猫状態が有名だが、本研究で対象にするのは二状態の重ね合わせにとどまらない。三状態以上の重ね合わせを考えることももちろんできる上に、初期状態がマクロな磁化を持つ熱平衡状態の場合においては、一発の高精度測定で読み出しを行った後は、得られる状態はマクロに異なる状態の重ね合わせを十分に含んでおりながら指数関数的にたくさんの状態が混合された状態が得られるのである。以下では、このように幅広い状態のクラスを考えることを明示するために、マクロに異なる状態の重ね合わせのことを、一般化猫状態を呼ぶ。本年度は、測定を繰り返すことで精度が高まっていき徐々に状態が一般化猫状態へ変化していく様子を追いかけるための数値実験のためのコードの改善を行って結果を得たことに加え、繰り返しの測定で高精度を達成して得られる一般化猫状態と、精度の非常に高い測定を1回だけ行うという理想的な測定が行われた場合に得られる一般化猫状態が、猫状態を特徴づける指標において、ほぼ一致することが確認できた。また、先行研究では解析計算の利便性のために最適化を行わずに見積もっていた一般化猫状態の指標が、最適化を行った数値計算の結果を下回っているという妥当な結果も得られた。これらにより、この研究の内容の正当性が確かめられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
育児休業から復帰したばかりなので対外的な発表には至らなかったが、プロジェクトの核心となる数値計算のコードを整備したことで計算時間が短縮できたことに加え、以前から難航していた部分が解決し、「繰り返し測定が高精度の一発測定と同じ終状態を与える」という仮説を肯定する計算結果が得られたため、十分な進展があったといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、数値計算の背景にある理論を、シンプルな初期状態で考察して整備し、もしこのセットアップの実験をするとしたらパラメータにどのような制限があるのかや、確率的に得やすい状態などを考察をして、論文を執筆する。
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