研究課題/領域番号 |
22KJ3181
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補助金の研究課題番号 |
22J00711 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分43040:生物物理学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
水谷 雅希 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 実験室適応進化 / 形質転換 / ゲノム移植 / 合成生物学 / ゲノムクローニング |
研究開始時の研究の概要 |
マイコプラズマは細胞壁を持たないことを特徴とする細菌の一群であり,多様な動物の寄生性・病原性細菌である。現在までに百数十の種が見つかっており,そのうちの十数種は宿主表面に結合したまま移動する滑走運動を示し,これがマイコプラズマ感染に重要であることが知られている。本研究では,PCR増幅した滑走運動を担う遺伝子群を酵母を用いて組み上げ,酵母内で任意の変異を加え,それをマイコプラズマを基に作製された非運動性の人工合成細菌に導入することで,様々な滑走運動変異体を作製し,比較することによって滑走運動の詳細な機構を解明することを目指している。
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研究実績の概要 |
合成細菌の実験室適応進化手法を確立し,実際に合成細菌を低温適応化することに成功した。そこで,低温適応化での生育速度が向上した適応進化株と祖先株についてプロテオミクス解析を行い,低温適応化に貢献するいくつかの機能を見出した。さらに適応進化株からゲノムDNAを精製し,祖先株の細胞に導入したところ,このゲノム入替株は適応進化株と同じように低温下で生育したことから,適応進化株のゲノムに導入された変異が低温適応の十分条件であることが示された。適応進化株のゲノムの変異特定は既に完了している。 また合成細菌の形質転換手法の見直しを行い,形質転換効率を飛躍的に向上させることに成功した。既存の形質転換プロトコルはマイコプラズマ・マイコイデスをレシピエント細胞としたものであり,合成細菌にもそのまま転用可能であったが,レシピエント細胞の生育状態の最適化を行い,形質転換効率が一桁以上向上した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
マイコプラズマ・モービレの滑走運動を合成細菌で再現するためには,マイコプラズマ・モービレの遺伝子にコードされているタンパク質を合成細菌内で適切に発現やフォールディングする必要がある。そのためにはマイコプラズマ・モービレの遺伝子を導入した合成細菌を,マイコプラズマ・モービレの生育至適温度である25℃で培養する必要があることが示唆された。しかし,合成細菌の生育至適温度は37℃であり,25℃では生育不可能であった。そこで合成細菌の実験室適応進化手法を確立し,25℃で培養可能な低温適応合成細菌を作製することに成功した。 また合成細菌にマイコプラズマ・モービレの全ゲノム(全長0.77 Mbp)導入実験を幾度か試みたがコロニーが得られなかった。これは導入遺伝子が長くなると形質転換効率が低下するため,ゲノムサイズDNAの導入効率が非常に低いことが問題であると思われた。そこで合成細菌の形質転換プロトコルの見直しを行い,形質転換効率を飛躍的に向上させることに成功した。
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今後の研究の推進方策 |
マイコプラズマ・モービレの生育至適温度である25℃で培養可能な低温適応合成細菌を作製することに成功した。今後この株をゲノム導入のレシピエント細胞として使用する。また形質転換効率を飛躍的に向上させることにも成功した。この改変プロトコルを用いて,ゲノム導入実験を行っていく。
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