研究課題/領域番号 |
22KJ3189
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補助金の研究課題番号 |
21J01354 (2021-2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2021-2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分44010:細胞生物学関連
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研究機関 | 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(新分野創成センター、アストロバイオロジーセンター、生命創成探究 |
研究代表者 |
杉山 博紀 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(新分野創成センター、アストロバイオロジーセンター、生命創成探究, 生命創成探究センター, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | ライブイメージング / マイクロ流体デバイス / スクリーニング |
研究開始時の研究の概要 |
ライブイメージングは系の動的な動作原理を理解するうえで、強力な研究ツールである。他方、ある機能の分子機構に迫るためには遺伝学的な解析が不可欠である。本研究ではマイクロ流体デバイス(MFD)を利用することで、これらの二つの研究戦略を緊密に連携させた実験系の創出に取り組む。これを利用することで、系の動的な挙動に基づく遺伝学的スクリーニングへの道を拓くことで、細胞機能の動的な動作原理を一気通貫に解明するプラットフォームを構築することを目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では、マイクロ流体デバイス(MFD)による分裂酵母の並列ライブイメージングと、そこからの選択的回収を基盤技術として、系の動的振舞いに基づくスクリーニング法の開発を、達成すべき技術的展開として位置付けている。 初年度のMFDでの実験系の立ち上げや基礎検討を踏まえ、本年度はより実用化に向けた取り組みを本格化することができた。昨年度までの検討において、当初のデバイス設計や運用法では問題が生じることが分かり、今年度は、新たに構想した捕捉原理・回収原理の検討を進めた。特に、選択的回収技術については、複数検討していたうちの、光遺伝学を利用した方策がうまく進みそうであるとの手ごたえを得られた。次年度はこの方針をさらに深化させていく予定である。 他方、最終的なライブイメージングのためのケーススタディとして並行して進めていた、細胞周期制御の主要因子であるCDK(サイクリン依存性キナーゼ)の活性をライブイメージングする実験系については、順調に遂行したと評価できる。本成果は、CDKの新規バイオセンサーを開発することで、細胞周期の動的な制御原理について一細胞レベルでの知見を定量的に詳らかにするものである。一連の成果は、第45回分子生物学会での招待講演、国際学会(British Yeast Group 2022)に加え、第74回細胞生物学会において、いずれも口頭発表で学会発表した。また、一連の研究成果についてはすでにBioRxivにおいてPreprintを公開しており、現在国際誌に論文投稿中である。これらの研究発表を契機に、本系をさらに発展させる、国際共同研究を含む複数の共同研究が発足している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初のデバイス設計では実運用が後々難しくなるだろうという昨年度の研究成果を踏まえ、本年度は選択的回収手法について、いくつかの候補となる戦略を基礎検討から始めた。結果として、有望な方策は見出すことができたものの、当初の予定からすると進捗は遅れていると言わざるを得ない。しかし、ケーススタディとして並行して進めていた実験系については、それ単独で論文発表する価値のあるデータが得られ、実際共同研究の発足を含め当初の期待以上の成果を出すことができている。また、見出された選択的回収手法については更なるファインチューニングの必要はあるものの、系の最適化によって十分実用化しうる手ごたえが得られており、2023年度中にまとまった成果として結実できる見込みがある。これらを総合して、研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究提案は、マイクロ流体デバイスを利用して、ライブイメージング並列化と、そこから連続的に興味ある個体を選択的に回収する技術開発を通じて、細胞質の混み合いと細胞機能を繋ぐ機構の総覧と解明を目指すものである。特に、デバイス内部からの特定個体の選択的回収は、ライブイメージングと遺伝学的なスクリーニングの緊密な連携をする上で最も本質的な技術展開であり、本研究課題の目的に限定されず、汎用的な基盤技術となることが期待できる。したがって最終年度に当たる次年度は、このデバイス内部からの選択的回収手法の実現を最重要課題として位置付ける。次年度の序盤は、有望であった光遺伝学ツールの最適化と並行して、分裂酵母の並列イメージングをするマイクロ流体デバイスの開発を進め、これら二つの統合されたプラットフォーム開発に努める。次年度の後半には、これらの系を用いた有用性を検証する概念実証系を構築し、それらの実証成果をまとめて国際誌に投稿する。
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