研究課題/領域番号 |
22KJ3195
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補助金の研究課題番号 |
22J00081 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分17040:固体地球科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
萩原 雄貴 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海域地震火山部門(火山・地球内部研究センター), 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 流体包有物 / かんらん岩捕獲岩 / ラマン分光法 / 第一原理計算 / 鉱物包有物 / 状態方程式 / 地質圧力計 |
研究開始時の研究の概要 |
沈み込み帯では毎年約82メガトンの炭素が流入するが,火山等を通し地表へ戻る炭素はその一部だけである.従って,残りの炭素が深部マントルへ運ばれるのか,それともプレートから放出され浅部マントルに貯蔵されるのかは議論が続いている.炭素が浅部マントルに貯蔵された場合,火成活動により周期的に地表へ運ばれ温室効果を生む.従って,沈み込み帯から地球内部へ流入した炭素が何処へ運ばれ貯蔵されるのかという問いは,地球の長期の気候変動の制約に繋がる.本研究では,沈み込んだ炭素の行方を探るため,マントルウェッジに貯蔵される「炭素の起源」と「炭素の濃度」を特定する.
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研究実績の概要 |
今年度は,ラマン分光分析による流体包有物の密度や組成の定量分析を行う際に,ある分析条件下で到達できる定量分析の精度を評価するため,強度,ピーク位置,バンド幅などの様々なスペクトル特性について測定精度の限界を定義する解析解を導出した.これらの解析解を利用すると1点しかデータが無い場合でも,分析の不確定性の下限値を理論的に計算可能である.そして,得られた解析解を基に,「スペクトルパラメータの推定精度」と「装置の性能」を結びつける理論的基盤を確立した.この理論的枠組みにより,装置のアップグレードによるスペクトル特性の推定精度がどの程度向上するかを見積もることができ,研究者が測定精度を戦略的に向上させるための実用的な指針となる. 更に,この理論をエリアやエリア比の測定にも拡張し,分析化学の広い分野で40年以上続いてきた「強度比と面積比はどちらが高精度か?」という疑問を理論,シミュレーション,実験を組み合わせた手法により解明した.本研究により,面積比測定の精度が強度比測定の精度を√2倍上回ることを解析的に実証し,この長年の論争に決定的な答えを与えた. これらの研究成果の中心となる理論・シミュレーション・実験手法については,Hagiwara et al. (2023)として既に出版されている.本研究課題では一ノ目潟のマントル捕獲岩中の流体包有物のCO2のδ13Cの測定を一つの目的としているが,Hagiwara et al. (2023)ではラマン分光法によるCO2のδ13C測定法の精度について議論している.Hagiwara et al. (2023)の内容について日本地球惑星科学連合2023年大会にて口頭発表を行った.また,関連論文2報が現在査読を受けている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2024年度に予定していたマントル捕獲岩中の流体包有物の揮発性元素の希ガス・炭素同位体比測定の予備的な破砕実験を2023年度中に完了することができ,最適な分析条件を制約することができた.従って,2024年度の本格的な分析へスムーズに移行できる.一方,EPMAによる化学組成の分析がまだ完了していない.従って,2024年度も継続してEPMAの分析を行う予定である.
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今後の研究の推進方策 |
2023年度の研究計画には大きな変更は無い.従って,マントル捕獲岩中の流体包有物中の希ガス・炭素同位体比の測定を中心に研究を進める予定である.
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