研究課題/領域番号 |
22KJ3198
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補助金の研究課題番号 |
22J01322 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分17020:大気水圏科学関連
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研究機関 | 東京大学 (2023) 国立研究開発法人海洋研究開発機構 (2022) |
研究代表者 |
佐久間 杏樹 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 炭酸塩 / 中赤外レーザー分光装置 / レアアイソトープ / 中赤外レーザー分光 / 17O存在度異常 / 淡水成炭酸塩 |
研究開始時の研究の概要 |
海洋における古気候記録に比べて、陸上における過去の降水量や気温は評価方法が乏しく困難である。近年では、陸上で沈殿する炭酸塩の新規同位体が気候指標として注目されているが、存在度の小さい同位体の分析は従来の質量分析計を用いた分析は困難であり、研究例は限られている。本研究では、新たに赤外レーザー分光法を用いた炭酸塩の17O存在度異常(Δ17O)の測定方法を確立し、現世炭酸塩を用いてΔ17O-湿度の関係式を構築し、湿度の指標としての有用性を検証する。
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研究実績の概要 |
陸域における古気候記録の定量的な復元は、年代モデルの構築の難しさや信頼できるプロキシが少ないといった問題点があり、海洋記録の研究に対して限られている。最近では、中赤外レーザー分光装置の開発によって、質量数が同じ同位体の測定は原理的に難しい従来の質量分析計では測定が困難だった、炭酸塩の17O存在度異常が測定できる可能性が示された。炭酸塩の17O存在度異常は、湿度と相関している可能性が先行研究で示されており、陸域における新たな古気候プロキシとなりうると期待される。本研究では中赤外レーザー分光装置を用いた炭酸塩のレアアイソトープである17O存在度異常の測定手法を確立し、17O存在度異常と湿度の関係について検証を目指す。 本年度は前年度に引き続き、中赤外レーザー分光装置を用いた17O存在度異常の測定手法の改良実験に加えて、湿度との関係を検証するための現世炭酸塩試料の採取、記載に取り組んだ。前年度に南オーストラリアにて調査と採取を行った現世土壌成炭酸塩について、薄片や電子顕微鏡を用いた組織観察、鉱物種の鑑定、酸素・炭素同位体比の分析などを行った。土壌成炭酸塩は沈殿速度や沈殿メカニズムなどにばらつきが大きく、17O存在度異常と湿度の検証を行うためには、試料数を増やすなどの改善が必要であることが分かった。さらに、土壌成炭酸塩試料に加えて、昨年度はモンゴル南部ゴビ砂漠付近において湖成炭酸塩試料を採取しており、湖成炭酸塩を用いた測定の準備も進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
中赤外レーザー分光装置を用いた17O存在度異常の測定については、共同研究者が酸素・炭素同位体比の測定手法を確立したことで、高精度な測定が可能になる期待が高まった。一方で、17O存在度異常と湿度の関係の検証に用いる予定で採取をした、現世土壌成炭酸塩試料の堆積構造の観察や酸素・炭素同位体比分析などを行ったところ、沈殿年代の曖昧さや微小な地形などの影響が同位体比に大きく影響を与えている可能性が分かった。今後は、17O存在度異常の湿度に対する挙動の検証に用いる予定の試料として、土壌成炭酸塩だけではなく湖成炭酸塩等、様々な種類の陸成炭酸塩を積極的に検討する必要があると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となる今年度は、17O存在度異常の測定手法の改良を集中的に行い、天然試料の測定を目指す。昨年度の実験で改善された酸素・炭素同位体比の測定プログラムを用いて、試料の量や窒素ガスでの希釈率などの条件を変化させて測定を行い、17O存在度異常に対して最適な条件を調べる。並行して、17O存在度異常の挙動を調べるために用いる、蒸発環境で沈殿する陸成炭酸塩試料の採取をアメリカ西部やモンゴル南部の塩湖を中心に行う。採取した陸成炭酸塩試料については、組織観察や元素・鉱物分析などを行い、試料の状態について調べる。
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