研究課題/領域番号 |
22KJ3201
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補助金の研究課題番号 |
22J00254 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分40030:水圏生産科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人水産研究・教育機構 |
研究代表者 |
高木 聖実 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産資源研究所(釧路), 研究員
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | キタムラサキウニ / アミノ酸 / 転換酵素遺伝子 / 呈味 / リアルタイムPCR / RNAシーケンシング |
研究開始時の研究の概要 |
キタムラサキウニ生殖巣は食物に応じて主要呈味成分である遊離アミノ酸含有量が変化する。現在、生鮮コンブ目褐藻を除いてウニ生殖巣の味 を高品質化できる食物はない。本研究では、本種消化管および生殖巣で発現する遺伝子を網羅的に調べ、各遺伝子発現量および摂取・蓄積アミ ノ酸量を食物条件間で比較することで機能するアミノ酸合成経路を特定し、遊離アミノ酸が本種生殖巣に蓄積する仕組みを明らかにする。また 、味を効率的に改善できる理想的な配合飼料の成分組成の提言を目指す。
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研究実績の概要 |
R4年度から継続して、R4年度の飼育実験で得られたキタムラサキウニを対象に、生殖巣と消化管における呈味アミノ酸の合成と分解に係る転換酵素遺伝子の発現量を測定した。また、ウニ生殖巣の遊離アミノ酸分析と、餌料の全アミノ酸分析を行った。試験区間(生鮮ナガコンブ給餌、乾燥ナガコンブ給餌、魚粉飼料給餌)の転換酵素遺伝子発現量および生殖巣と餌料のアミノ酸組成の違いから、生殖巣のAla含有量には餌料のGluとGlyが、Met含有量には餌料のMet、Cys、あるいはMetとCys両方が、SerとVal含有量には餌料の各々の含有量が影響する可能性が見出された。そこで、これらのアミノ酸(Gluは先行研究で実施済みのため除外)を添加した配合飼料を本種に与える飼育試験を行うことにした。ウニは給餌から摂餌まで時間を要すため、飼料を海水に浸漬してからウニが摂餌するまでの間に餌料中の栄養成分が海水中へ溶出してしまう。そこでまず、これら5種類のアミノ酸をR4年度の飼育試験に用いた餌料で最も含有量が多かった餌料と同程度、あるいはその半量をそれぞれ添加した配合飼料20種とアミノ酸無添加飼料を作製し、海水浸漬0、6時間後の全アミノ酸含有量を調べて、海水浸漬による溶出の程度を調べた。溶出の程度からウニが確実に添加アミノ酸を摂取できるようアミノ毎に添加量を決定し、当該年度は苦味に関わるVal、Met、Cys、Cys+Met添加飼料とアミノ酸無添加飼料を作製して、本種に与える飼育実験を行った。日間摂餌率はCys添加区とVal添加区で高くて、アミノ酸無添加区で低かった。実験終了時には全てのウニを解剖し、得られたウニ生殖巣と消化管からRNAを抽出した。リアルタイムPCRによるこれらのアミノ酸の転換に係る酵素遺伝子の発現量測定、生殖巣の遊離アミノ酸含有量分析、配合飼料の海水浸漬前後の全アミノ酸分析は次年度に実施する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度は、予定していた遺伝子発現量の測定、ウニ生殖巣の遊離アミノ酸分析ならびに餌料の全アミノ酸分析を行うことができた。また、前年、当該年度を通して得られた結果から、生殖巣のAla含有量には餌料のGluとGlyが、Met含有量には餌料のMet、Cys、あるいはその両方が、SerとVal含有量には餌料中の各々の含有量が影響する可能性を見出すことができた。当該年度から次年度にかけて、Gly、Ser、Val、Met、Cys、Cys+Met(Gluは先行研究で実施済みのため除外)を各々添加した配合飼料をキタムラサキウニに与える飼育試験を行うことを決定し、まず、アミノ酸毎に海水に浸漬することで飼料から海水中へ溶出する程度を調べてから、配合飼料に添加する各アミノ酸量を決定した。今年度は苦味増強に関わるVal、Met、Cys、Cys+Met添加飼料がウニ生殖巣の遊離アミノ酸組成に与える影響を調べる飼育実験を実施することができた。次年度に、飼育で得られたウニと餌料を用いた測定・分析や、Gly、Ser添加飼料を用いた飼育実験を行う準備は整っている。以上のように、当該年度は当初の予定通りに研究を進められていると判断し、上記のような進捗状況とした。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、当該年度に実施した飼育実験で得られたウニの消化管および生殖巣のcDNAを用いて添加アミノ酸の転換に係る酵素遺伝子の発現量を測定して試験区間で比較する。また、ウニ生殖巣の遊離アミノ酸と用いた配合飼料の全アミノ酸含有量を分析する。さらに、甘味に関わるSerとGlyをそれぞれ添加した配合飼料をキタムラサキウニに与える飼育実験を行い、同様の測定と分析を行う。これらの結果から、餌料が生殖巣の遊離アミノ酸組成に影響する要因を特定し、各アミノ酸の理想的な摂取量を提言する。
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