研究課題/領域番号 |
22KJ3205
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補助金の研究課題番号 |
21J00767 (2021-2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2021-2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分51030:病態神経科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター |
研究代表者 |
廣田 湧 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 認知症先進医療開発センター 神経遺伝学研究部, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | アルツハイマー病 |
研究開始時の研究の概要 |
アルツハイマー病(AD)の発症原因であると考えられているアミロイドβ(Aβ)斑は,病態の進行とともに増加し,認知機能の低下に関与している.Aβ斑の凝集形態も中心部にコアを持つAβ斑に変化するが,その形成機序は不明である.本研究では,ADモデルマウスを用いて,脳領域特異的な脂質代謝関連遺伝子の発現や脂質組成の違いに着目し,その恒常性の破綻が,Aβ斑の産生や凝集形態に関与する可能性を明らかにする.
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研究実績の概要 |
アルツハイマー病(AD)の発症原因であると考えられているアミロイドβ(Aβ)斑は,病態の進行とともに中心部にコアを持つAβ斑に変化する.本研究では,Aβ斑形成への関与が示唆されている脂質代謝関連遺伝子であるLDL受容体関連タンパク(LRP)ファミリー遺伝子に着目し,脳領域特異的な脂質代謝の違いやその恒常性の破綻が,Aβ斑の産生や凝集形態に関与する可能性を明らかにする. 本年度は,LRPに対する6種類の抗体を用いた免疫組織染色を行い,Aβ斑が形成されるAPP-KIマウス脳内の反応性アストロサイトでLRPファミリー遺伝子の一つが強く発現していることを確認した.反応性アストロサイトはAβ斑の出現に先行して,脳内で増加することが報告されている.LRPファミリー遺伝子の中には,脳内のAβを血液中,脳脊髄液中に排出する作用を持つ遺伝子もあることから,反応性アストロサイトで発現しているこのLRPファミリー遺伝子が,Aβ斑の形成や凝集形態に関与している可能性が考えられる.そこでアストロサイト特異的にこの遺伝子の発現を操作することで,Aβ斑の凝集形態や関連病理が増悪化,あるいは軽減されるかを検討することにした. Aβ斑の凝集形態や関連病理の増悪化に対するLRPファミリー遺伝子の関与を検証するために,マウス脳内でアストロサイト特異的に発現し,LRPファミリー遺伝子の発現抑制,過剰発現させるためのアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター作製とその実験系の確立を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までに,下記の通り,研究目的達成のため準備,検討を行っている. 予備検討として,血液脳関門の透過性が高いAAVセロタイプ(AAV-PHP.eB型)を眼窩静脈叢から投与することで,マウス脳の広範囲にアストロサイト特異的にAAVを発現させることが出来るかどうかを調べるために,アストロサイト特異的プロモーター(GfaABC1D)下で蛍光タンパク質を発現するAAVベクターを作製しマウスに投与した.投与後21日目に,脳組織を採取し免疫組織染色を行い,大脳皮質や海馬で蛍光タンパクを発現しているアストロサイト様のシグナルを確認した.また,アストロサイトマーカー(GFAP)との共局在を示すことも確認した.そこで次に,AAVによるLRPファミリー遺伝子の発現を抑制するmiRNAのコンストラクト,LRPファミリー遺伝子を過剰発現させるためのコンストラクトの作製を行った.発現確認,miRNAの効率確認は培養細胞を用いて行い,その後AAVパーティクルを作製した. 現在,次年度にAAVを投与するための実験個体を加齢飼育を行っている.
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今後の研究の推進方策 |
眼窩静脈叢に作製したAAVベクターを投与,脳組織を採取し,LRPファミリー遺伝子の発現抑制,過剰発現させることで,Aβ斑の凝集形態や関連病理が増悪化,あるいは軽減されるかどうかについて調べる.現在,AAV投与のためのマウスを加齢飼育しており,次年度から実験個体へのAAVベクターの投与を開始する予定である.
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