研究課題
特別研究員奨励費
本研究の特色、着眼点、独創的な点としては、EEGのすべての波形成分を機械学習を用いてMCIをできるだけ早期に判別するEEGバイオマーカーを解明するという点において、現在までに同様の試みを実施・検証した研究は存在しておらず、本研究における最大の独創的な点であると考える。また、受入研究機関のグループが発表した認知機能検査とMRIによる認知機能と大脳脳構造との関係を明らかにした知見や4年間の縦断研究により地域在住高齢者の認知機能の変化を明らかにした知見から着眼点を得て、EEGのバイオマーカーの外的妥当性をMRIによる大脳構造の変化から検証するという点は本研究課題の特色であると考える。
研究期間全体を通して835名の認知機能検査、頭部MRI、脳波の測定が令和5年度までに完遂した。そして、本研究課題について世界トップレベルの研究室でさらに遂行するためにアメリカ合衆国のコロンビア大学認知神経科学研究部のYaakov Stern教授の研究室へ5月から2月まで留学した。留学中に本研究課題であるMCIを有する地域在住高齢者の神経生理学的特徴を脳波を用いて検討した。402人の健常対照者(HC)と47人のMCI者の人口統計学的特徴、認知機能、身体機能、安静時MRIと脳波(rs-EEG)、Simon課題中の事象関連電位(ERP)、課題正答率と反応時間(RT)を測定した。MCI高齢者のrs-EEGネットワークを評価するために、eLORETA-ICAを使用した。結果は MCI群ではSimon課題の正答率が低く、RTが遅いことが観察された(p<0.01)。HC群とMCI群でMRIから算出した脳容積に差はなかったが、MCI群では背側注意ネットワーク(DAN)活動(p < 0.05)とERPのN2振幅(p < 0.001)の有意な低下が観察された。さらに、DAN活動は、教育年数(Rs = 0.32、p = 0.027)、全般的認知機能(Rs = 0.32、p = 0.027)、処理速度(Rs = 0.32、p = 0.027)と相関が認められた。機械学習を用いたeLORETA-ICAネットワークを追加したMCIの識別精度は0.7817から0.7929、曲線下面積は0.8492から0.8495であった。結論として、非侵襲的で比較的安価な脳波を用いたrs-EEGのeLORETA-ICAアプローチは、MCI高齢者における特異的な変化を示した。eLORETA-ICAは、測定環境の制約が少なく、簡易で有効な評価法であることから、地域在住高齢者におけるMCIの早期発見に有用である。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 3件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 3件)
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