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中世王朝物語における王権の総合的研究―密通における帝像の変容を起点として―

研究課題

研究課題/領域番号 22KJ3235
補助金の研究課題番号 22J12785 (2022)
研究種目

特別研究員奨励費

配分区分基金 (2023)
補助金 (2022)
応募区分国内
審査区分 小区分02010:日本文学関連
研究機関日本女子大学

研究代表者

大塚 千聖  日本女子大学, 文学部, 助教

研究期間 (年度) 2023-03-08 – 2024-03-31
研究課題ステータス 完了 (2023年度)
配分額 *注記
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2023年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2022年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
キーワード中世王朝物語 / 王権 / 密通 / 帝 / 摂関家
研究開始時の研究の概要

本研究は従来等閑視されてきた帝の存在を起点として、中世王朝物語における王権の特質の究明を試みるものである。平安期の王朝物語における帝は密通を通じて臣下に妻を奪われる立場にあったが、中世王朝物語では〈しのびね型〉と呼ばれる話型を始めとして臣下の妻を奪う帝が数多く登場するようになる。中世社会に通底する歴史観を踏まえた史学面からのアプローチを前提に、帝像の変貌を端緒として、王権の問題と不可分である密通というモチーフが果たす機能を分析することで、中世王朝物語独自の王権のあり方を解明する。

研究実績の概要

本研究は、中世王朝物語独自の王権のあり方を、摂関家との関係性という視座から究明することを目指すもので、本年度は南北朝期成立と推定される現存本『海人の刈藻』を考察の対象とした。摂関家を出自としない人物が多数登場することから、本作は従来「按察大納言家の繁栄」が物語の主軸であると見なされてきたが、本研究ではその繁栄が摂関家の協力を得て達成されたものである点に着目し、中世王朝物語における王権と摂関家の描かれ方の特色を逆説的に探る試みを行った。
『海人の刈藻』では后妃と臣下の密通が描かれるものの、その事実が帝に露見してはおらず、事件の処理のなされ方、ならびに后妃の周辺人物の密通に対する意識が他王朝物語とは大きく異なる。このような視点から、密通に頻出する「宿世」「契り」の語の用いられ方について平安後期物語および他の中世王朝物語との比較調査を行った結果、本作における密通は「宿世」として捉えられていないとの結論に至った。次いで、按察大納言家と摂関家の紐帯により王権が安定的に継承されていく様を描くことに主眼が置かれている点も明らかにし、現在はそれらの成果の論文化に着手している。
従来、中世王朝物語においては、摂関家の子息を主人公に据えて摂関家の繁栄を描く〈摂関家物語〉の隆盛が見られる一方、「王権の継承」を焦点とする作品が減少したとの見方がなされてきた。しかしながら、院政期以降も天皇家が摂関家と密接に結びついていた歴史的背景は中世王朝物語内にも反映されており、個々の作品の読解を通じてそれを示した点が本研究全体の成果である。今後は調査対象作品を広げ研究していくことで、本研究課題の更なる深化を目指す。

報告書

(2件)
  • 2023 実績報告書
  • 2022 実績報告書
  • 研究成果

    (3件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 『我が身にたどる姫君』女帝論―関白家との紐帯を視座に―2023

    • 著者名/発表者名
      大塚千聖
    • 雑誌名

      『中世文学』

      巻: 68

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] 『我が身にたどる姫君』の密通―皇后の宮系統を視座として―2022

    • 著者名/発表者名
      大塚千聖
    • 雑誌名

      古代中世文学論考

      巻: 46 ページ: 151-182

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] 『我が身にたどる姫君』女帝論―関白家との紐帯を視座に―2022

    • 著者名/発表者名
      大塚千聖
    • 学会等名
      中世文学会秋季大会 研究発表会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書

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公開日: 2022-04-28   更新日: 2024-12-25  

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