研究課題/領域番号 |
22KJ3239
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補助金の研究課題番号 |
21J00759 (2021-2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2021-2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分48030:薬理学関連
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研究機関 | 九州大学 (2023) 国立研究開発法人国立国際医療研究センター (2021-2022) |
研究代表者 |
山本 将大 九州大学, 生体防御医学研究所, 助教
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | リゾリン脂質アシル転移酵素 / リン脂質クオリティ / アラキドン酸 |
研究開始時の研究の概要 |
神経障害性疼痛は,神経系組織の損傷により発症し,触刺激でさえ激烈な痛みとして感じる慢性疼痛疾患である。一方,すべての細胞に必須な生体膜を構成するリン脂質には1000分子種を超える多様性が存在し,各組織や細胞種によって膜を形成するリン脂質組成は異なる。また,膜の内外や膜局所における組成も不均一なことが知られており,生体膜リン脂質多様性の生理・病態時の意義については不明な点が多く残されている。 本研究では,感覚受容を担うイオンチャネルや受容体などの膜タンパク質機能において,“機能する場”としての生体膜リン脂質の多様性が担う役割を解析し,慢性疼痛疾患の新しい発症機構解明と治療標的の発見へと繋げたい。
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研究実績の概要 |
本研究は,生体膜リン脂質を土台として機能する膜タンパク質に注目し,土台である膜リン脂質の(どのような)変化がタンパク質の活性に(どのように)影響するのかを検証することを目的とする。特に,感覚受容経路における脂質-タンパク質相互作用に注目する。 2022年度は,2021年度に見出した“DRG神経特異的なLPCAT3欠損マウスでは神経障害性疼痛が抑制傾向である”という知見に関して,さらに解析を進めた。アラキドン酸含有リン脂質合成酵素LPCAT3のサテライトグリア特異的欠損マウス,およびマクロファージ特異的欠損マウスをそれぞれ作製し,神経障害性疼痛の解析を行ったところ,マクロファージ特異的欠損マウスではコントロールマウスと同程度の疼痛症状を示したのに対し,サテライトグリア特異的欠損マウスは疼痛抑制傾向を示した。さらに,DRG神経特異的欠損マウス,サテライトグリア特異的欠損マウスの後根神経節組織を採取し,リン脂質解析を実施した。DRG神経特異的欠損マウスでは,アラキドン酸含有リン脂質が著明に減少し,神経損傷による増加も抑制されていた。サテライトグリア特異的欠損マウスでは,正常時でのアラキドン酸含有リン脂質量に変化は認められないが,神経損傷後の増加は抑制傾向が認められた。また,炎症性疼痛モデルでは後根神経節におけるアラキドン酸含有リン脂質の増加は起こらず,さらに,上記の両マウスにおいて疼痛解析を実施したが顕著な抑制傾向は認められなかった。 今後は,より詳細なメカニズムの解析が必要である。また,昨年度に見出した他の神経系細胞におけるリン脂質リモデリングの意義についても解析を進めたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度に見出したLPCAT3-DRG neuron特異的欠損マウスでは神経障害性疼痛が抑制するという知見をより深めることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度までに得られた疼痛に関わる知見について,より詳細なメカニズムについて検討を進める。 さらに,グリア細胞における脂質リモデリングの意義についても解析を進める。
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