研究課題/領域番号 |
22KK0004
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分1:思想、芸術およびその関連分野
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
三谷 研爾 大阪大学, 大学院人文学研究科(人文学専攻、芸術学専攻、日本学専攻), 教授 (80200046)
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研究分担者 |
久野 譲太郎 同志社大学, 人文科学研究所, 嘱託研究員 (10755391)
川合 大輔 同志社大学, 人文科学研究所, 嘱託研究員 (50755551)
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研究期間 (年度) |
2022-10-07 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
14,430千円 (直接経費: 11,100千円、間接経費: 3,330千円)
2025年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 日独交流 / ハイデルベルク / 洋行知識人 / 新カント派 / 文化主義 / 自然主義 / 人文学 / 日独関係 / 文化交流 / 留学者 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、両大戦間期にハイデルベルク大学に滞在した日本人留学者による文化接触・学知受容の実態を調査し、同時期の日本の人文学的な知の変容を比較史的な観点から再考するものである。かたや新カント派哲学の消長(ドイツ)、かたや大正教養主義の浸透(日本)という思想文化史および社会文化史のコンテクストをふまえたうえで、日本人知識人がハイデルベルク滞在を通じて得た文化経験や学的知見を検証し、学知の国際的な受容と交流の状況を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究課題の2年目にあたる2023年度は、研究代表者と研究分担者がそれぞれドイツ国内での資料調査をすすめるとともに、ハイデルベルク大学において研究打ち合わせを重ねた。これらの活動をふまえ、三谷は前年発表の日本語論文の内容を拡充したドイツ語論文を査読付学会誌論文として発表して、本研究課題の問題意識および先行研究との関係、さらに最近得られた研究情報についてドイツ側研究者と幅広く共有できる条件整備に努めた。またこの間、1920-30年代にハイデルベルクとつながりのあった日本人研究者からドイツ側スタッフに宛てられた書簡を大学図書館において発見し、久野およびクレーマとともにその分析にあたっている。その結果、当時のハイデルベルクで日独交流の窓口役を果たしていながらその経歴がよく知られていなかった大峡秀栄の帰国後の動静、ハイデルベルク辞去後も当地スタッフと緊密に交流をつづけた三木清の動向などが確認できた。また、ハイデルベルク留学者ではないが、当地のスタッフと交流があった河合譲の書簡を手がかりに、新カント派の影響下にあった日本人知識人の1930-40年代の姿について、その典型的な姿を明らかにできたことは、予想外の成果であった。久野は、ハイデルベルク大学文書館の大規模改修工事の制約のあるなか、同館所蔵の日本人留学生関係原簿の発掘作業をひきつづき継続、また川合はこの久野の成果を参照しながら、 国内文献実地調査の計画をすすめている。 トイツ側参加メンバーとの打ち合わせの結果、本課題の研究成果発信のかたちとして、日本人留学生の顔ぶれとその背景についての基礎的データはオンラインで発信し、それとは別に個別の論点についてまとめた印刷媒体の公刊をめざすこととした。そのさい、日本人研究者の留学経験の代表的な言説として、三木清『読書遍歴』のドイツ語への訳出を検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ドイツ国内の資料調査は、ハイデルベルクを中心として、順調に進捗しているといえる。基礎データの包括的な掘り起こしに加え、大峡秀栄、三木清、河合譲などの書いたドイツ語書簡を発見できたことは大きな成果であり、これによりドイツ側参加メンバーとの共同作業も、より中身の濃いものとなりつつある。ただ、川合が職務の事情により、国内での集中的文献収集の実施がむずかしい状況がつづいており、この部分については今後、他のメンバーとさらに分担して実施することも検討している。
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今後の研究の推進方策 |
ハイデルベルクを中心にした文献調査を継続するほか、同じく多くの日本人留学生がいたベルリンでの資料調査も加味しながら、すすめていく予定である。国内での文献調査については、体制の強化を検討する。また、今年度末には日本での国際ワークショップ開催を目指してるが、経費有効利用の観点からオンラインでの開催とするかどうか、今夏にドイツ側参加メンバーと協議する予定である。
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