研究課題/領域番号 |
22KK0025
|
研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分8:社会学およびその関連分野
|
研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
鈴木 弥生 立教大学, コミュニティ福祉学部, 教授 (80289751)
|
研究分担者 |
ダッフィル ポール 立教大学, 外国語教育研究センター, 教育講師 (60802030)
鈴木 亜望 神戸大学, 国際文化学研究科, 学術研究員 (70913698)
|
研究期間 (年度) |
2022-10-07 – 2028-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
20,020千円 (直接経費: 15,400千円、間接経費: 4,620千円)
2027年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2026年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2025年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 6,890千円 (直接経費: 5,300千円、間接経費: 1,590千円)
2023年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2022年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
|
キーワード | 移民労働者 / ニューヨーク市 / アメリカ合衆国 / 新型コロナウィルス / バングラデシュ / 南アジア / イスラーム |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、新型コロナウィルス感染拡大が「移民労働者とその家族構成員」に及ぼしている影響に着目している。そのため、研究代表者が1997年から2012年まで、12回に及んで現地調査を継続してきたバングラデシュ出身者を中心に据えながら、彼女・彼らがイスラームを拠り所として移民先で関係を構築しているインド、パキスタン出身者からも聞き取り調査を実施する。 移民先(受入国)としての調査対象地域は、グローバルな展開を見せる多国籍企業と金融機関の一大拠点であり、これら周辺領域に関わる労働需要が移民を集中させるグローバル都市(Sassen)として関心を集めてきたニューヨーク市を選定している。
|
研究実績の概要 |
2024年2月23日から3月9日まで(日本時間:3月10日帰国)、ニューヨーク市に滞在して海外共同研究者シャイード アリ(ロングアイランド大学教授)と国際共同研究に関して打ち合わせを行った。また、アリの新著(2023年)が出版されたことから、その内容に関する研究会を実施している。そのほか、ニューヨーク市立大学(ジエームス マンディバーグ教授)、コロンビア大学南アジア研究所を訪問して、研究機関や研究者の紹介、新型コロナウィルス蔓延後のニューヨーク市の現状、移民の動向に関する情報を収集している。 2010年3月から2018年9月にかけて(2011年度を除く)、毎年度ニューヨーク市に滞在して、主としてバングラデシュ出身の労働者から聞き取り調査を行ってきた。その中で、複数の移民労働者の協力を得て、アメリカ移住の背景と移住後の労働・生活について年度ごとの実態調査を継続してきた。しかしながら、新型コロナウィルスの蔓延から調査の中断を余儀なくされた。今回、調査を再開したものの、調査協力者の中に、他界された方、職場や職種の変更を余儀なくされた方、深刻な病の影響で仕事に就くことが出来なくなった方などの変化がみられた。また、連絡がとれない等いくつかの困難に見舞われた。 マンハッタンの中心街にあった中小店舗の飲食店が多く閉鎖されているのに対して、資本金が潤沢な土産店等は、観光客を目当てにビジネスを再開している。そこでは、新型コロナウィルス蔓延以前同様、移民労働者が日給制で雇用されているが、バングラデシュ出身者の数は半数以下に減少していた。地下鉄の治安悪化から自動車が増えているためか、平日、中心地のオフィス街は慢性的な渋滞であった。タクシー運転手の大多数は途上国出身者であるが、バングラデシュやインド出身のタクシー運転手が車の強奪に遭って大怪我を負ったり、死に至ったりという事件が報告された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の推進方策に掲げた「① 研究代表者と研究協力者がニューヨーク市に滞在して海外共同研究者と打合せを行う、② 新型コロナウィルスによる影響やニューヨーク市内の治安状況等についての綿密な確認を行う」の2点を実施した。とりわけ、アリ教授との打ち合わせや研究会(以下)を通して、今後の研究・調査の方向性について翻訳も含めて見出すことが出来た。 1.参加者:Syed Ali(海外研究協力者:Long Island University, Brooklyn), Sato Kazuhiko(研究協力者),and Suzuki Yayoi(研究代表者)、The Peer Effect: How Your Peers Shape Who You Are and Who You will Become, 開催場所:ニューヨーク市、ロングアイランド大学 ブルックリン、開催日:2024年2月26日、時間12時~15時。 2.参加者:Syed Ali(海外研究協力者:Long Island University, Brooklyn), Sato Kazuhiko(研究協力者),and Suzuki Yayoi(研究代表者),The Peer Effect: How Your Peers Shape Who You Are and Who You will Become,開催場所:ニューヨーク市、ロングアイランド大学 ブルックリン、開催日:2024年3月4日、時間12時~14時20分。 研究実績の概要で述べたように、ニューヨーク市内で現地調査を行ったり、複数の大学を訪問して今後の国際共同研究の方向性を見出すことが出来た。その他にも、2024年度以降の現地調査について、バングラデシュやインド出身者を通して了解を得ることが出来たことによる。
|
今後の研究の推進方策 |
研究代表者は、2024年度秋学期から1年間の研究休暇を取得している。そこでニューヨーク市に長期間滞在して、海外共同研究者との打合せ、研究会のほか、資料収集と大規模な現地調査を行う。ニューヨーク市の治安悪化は、地下鉄内(ブルックリン)のみならず、マンハッタン市内でも女性への暴力が見受けられる。また、イスラーム(男性)及びイスラーム・コミュニティでのインタビューに際して単独での調査は不適切であるという状況も考慮する必要がある。そのため、研究協力者の佐藤がニューヨーク市での研究・調査に同行する予定である。交付申請書でも示したように、佐藤は海外共同研究者シャイード教授とも面識があり、これまでも当該地域での調査に同行していることから現地に精通している。 2024年度より木下が研究分担者としてニューヨーク市における移民への福祉制度・施策、NGO/NPOによる活動(支援)状況に関する調査を実施する。木下は、カリフォルニア大学ロサンゼルス校での在外研究員(2010年度)のほか、ニューヨーク市に複数回滞在して関係機関での資料収集及び聞き取り調査を行っていることから、コロナ禍における移民労働者への支援状況をより明らかにするといった研究成果が期待できる。そのため、彼らの渡航及び現地滞在費用をそれぞれ計上している。研究分担者のダッフィルは、平和研究という視点から現状を分析する。研究協力者のムスリンは宗教学を専門としていることから、移住先でのイスラームの現状を分析する。研究分担者の鈴木は、バングラデシュでの現地調査を予定している。
|