研究課題/領域番号 |
22KK0036
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分13:物性物理学およびその関連分野
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
笠原 成 岡山大学, 異分野基礎科学研究所, 教授 (10425556)
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研究分担者 |
木原 工 岡山大学, 異分野基礎科学研究所, 准教授 (80733021)
今城 周作 東京大学, 物性研究所, 特任助教 (30825352)
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研究期間 (年度) |
2022-10-07 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
20,150千円 (直接経費: 15,500千円、間接経費: 4,650千円)
2027年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2026年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2025年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2024年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2023年度: 6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 強磁場物性測定 / 熱輸送 / 強相関電子系 / エキゾチック凝縮相 / ネマティック相 / ハイブリッド磁場 / 強磁場 |
研究開始時の研究の概要 |
強相関電子系で実現する特異な量子凝縮相や新奇電子状態の探索と解明は、凝縮系物理学における中心課題の一つである。本研究では、欧州強磁場研究所(European Magnetic Field Laboratory: EMFL)における強磁場実験、特に、オランダ・Nijmegen強磁場研究所における極限定常磁場下での精密熱輸送測定を基盤としたエキゾチック凝縮相の探索と解明に取り組む。『強磁場熱測定』に精通した国内屈指の若手から中堅で構成される当該分野のエキスパートが、国際ネットワークを構築し、40T超の定常磁場実験が新たな潮流となる時代の転換期において、強磁場物性科学のフロンティアを切り拓く。
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研究実績の概要 |
強相関電子系で実現する特異な量子凝縮相や新奇電子状態の探索と解明は、凝縮系物理学における中心課題の一つである。本研究では、強磁場における物性測定、特に、オランダ・Nijmegen 強磁場研究所での極限定常磁場下における未踏の熱輸送測定の実装と、これを基盤としたエキゾチック凝縮相の探索と解明に取り組むことを中心課題としている。本年度は、国内において研究準備を進めるともに、Nijmegen強磁場研究所のNigel Hussey教授との共同研究に取り組んだ。熱輸送測定セルの設計・開発を進めるとともに、鉄系超伝導体FeSe1-xSxについて、Nijmegen強磁場研究所での系統的な輸送現象測定をおこなった。これによって、FeSe1-xSxのx>0.17の非ネマティック相において、面平行磁場下での輸送現象測定から、渦糸格子が融解した渦糸液体状態が極めて低温の広い磁場温度領域に渡って存在していることが明らかになった。これは量子揺らぎにより渦糸格子が融解した量子渦糸液体状態がこの系において実現していることを強く示している。一方、FeSe1-xTexにおける強磁場測定との対比からは、FeSe1-xSxでの量子渦糸液体状態は、ネマティック相や磁気相の量子臨界揺らぎに起因するものではなく、超伝導状態そのものの"虚弱性"に起因していると考えらえることが明らかになった。これは非ネマティック相のFeSe1-xSxにおいて実現していると考えられるボゴリューボフ・フェルミ面、即ち、超伝導状態においてもクーパー対を組むことがない準粒子が創り出す特異なフェルミ面の存在が関連しているものと思われる。本年はこれらの結果の公表に加えて、更に、FeSe1-xSxにおける渦糸液体状態と超伝導揺らぎに関する実験を進め、渦糸液体状態における熱揺らぎ領域から量子揺らぎ領域へのクロスオーバーを観測した。今後、より極低温・強磁場領域での測定を進め、温度磁場相図の全体像を明らかにしていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
FeSe1-xSxにおいて、Nijmegen強磁場研究所での輸送現象測定により、量子渦糸液体状態の存在や、FeSe1-xTexでのネマティック揺らぎによる超伝導ペアリング強度など、興味深い結果の理解が進んでいる。また渦糸液体状態の熱活性領域から量子揺らぎ領域へのクロスオーバーも明らかになりつつあり、研究はおおむね順調と判断する。
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今後の研究の推進方策 |
輸送現象測定、比熱測定、熱輸送測定を駆使することにより、FeSe1-xSxにおける強い超伝導揺らぎの存在と量子渦糸液体状態の特徴を明らかにしていく。
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