研究課題/領域番号 |
22KK0056
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分21:電気電子工学およびその関連分野
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
湯浅 裕美 (福澤裕美) 九州大学, システム情報科学研究院, 教授 (20756233)
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研究分担者 |
田中 輝光 九州大学, システム情報科学研究院, 准教授 (20423387)
黒川 雄一郎 九州大学, システム情報科学研究院, 助教 (20749535)
牙 暁瑞 九州大学, マス・フォア・インダストリ研究所, 学術研究員 (50912359)
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研究期間 (年度) |
2022-10-07 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
20,020千円 (直接経費: 15,400千円、間接経費: 4,620千円)
2026年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2025年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2022年度: 8,320千円 (直接経費: 6,400千円、間接経費: 1,920千円)
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キーワード | スキルミオン / 情報キャリア / スピン軌道トルク / 磁気準粒子 / スピントルク |
研究開始時の研究の概要 |
磁気準粒子スキルミオンの3大メリットである「微細化・高速転送・定電流駆動」を並立するため、独自の二重ヘテロ界面を導入した新しい積層構造において、磁性薄膜の磁気特性とスキルミオン生成の必要条件を系統的に明らかにする。試料の作製は、これまでに磁性薄膜の界面エンジニアリングを進めてきた九州大学で行い、スキルミオン生成条件の定量評価をスペインの共同研究機関で行う。磁性薄膜の磁気特性評価には、磁気光学効果に基づく特殊な測定手法を活用する。九州大学からの研究者が滞在し、ごく薄い磁性薄膜の磁化評価を駆使して設計・生成・制御を行う。
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研究実績の概要 |
磁気準粒子スキルミオンの3大メリットである「微細化・高速転送・定電流駆動」を並立するため、独自の二重ヘテロ界面を導入した新しい積層構造において、磁性薄膜の磁気特性とスキルミオン生成の必要条件を系統的に明らかにする。本年度は、スキルミオン生成に必要なジャロシンスキ守屋相互作用と、高速転送・定電流駆動を得るためのスピン軌道トルク効率の高い積層体見出し、これの磁気特性の把握を行った。ジャロシンスキ守屋相互作用は空間非対称性のある時に得られるため、Coの上下が非対称であるPt/Co/Tb積層膜、更に対称性を増すべくタングステン(W)を追加したPt/Co/Tb/W積層膜を作成した。これらのスピン軌道トルクを測定したところ、Wを挿入することで、スピン軌道トルクを約4倍に増加することが出来た。これは同じ電流を流したときに速度が4倍になることを示す。ジャロシンスキ守屋相互作用とスピン軌道トルクの両立メカニズムを明らかにするため、微視的な磁化について調べた。Tbは単体では室温で磁化を持たないが、Coとの合金ではCoと逆向きに大きな磁気モーメントを持つ。本積層体では、Wの無い場合にTbに磁化が無く、Wの有る場合に磁化が有る事を示唆する巨視的な結果が得られた。より明確にするため、共同研究先であるスペインのCIC nanoGUNEに学生2名と短期滞在し、先方の研究者と共に磁気光学効果に基づく特殊な測定手法Generalized Magneto-Optics Ellipsometry (GME)によって、実際にWの有無でTbの磁化の有無が変わることを検証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
最終目標は、磁気準粒子スキルミオンの3大メリットである「微細化・高速転送・定電流駆動」を並立することであり、方針はジャロシンスキ守屋相互作用とスピン軌道トルク効率の両立である。具体的な方策は、重金属層と磁性層の間に極薄の層を挿入してスピンミキシングコンダクタンスを増加することでスピン軌道トルクを向上しつつも、スキルミオン安定性に必要なジャロシンスキ守屋相互作用を維持することである。過去に別の物理現象であるスピンゼーベック効果やスピンホール磁気抵抗効果の観察により、スピンミキシングコンダクタンスを向上できた挿入層を手がかりに、複数種類の積層膜で挿入層がスピン軌道トルクとジャロシンスキ守屋相互作用に与える効果を調べた。Pt/Co/Tb積層膜ではWを挿入することにより、ジャロシンスキ守屋相互作用を損ねることなくスピン軌道トルクを増加することに成功した。これらは、磁化曲線、スピン軌道トルク磁化反転、磁気光学効果に基づく特殊な測定手法Generalized Magneto-Optics Ellipsometry (GME)により確認された。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、2つの方針で進める。1つ目は、スピン軌道トルクとジャロシンスキ守屋相互作用の両立が出来た試料構成で、スキルミオンのサイズをKerr効果顕微鏡で観察できる程度まで大きくし、電流により駆動して観察する。スピン軌道トルク磁化反転によりその効率増加は認めているが、実際の準粒子が低電流で高速転送できることを実証する。2つ目は、積層体の構造探索である。実は別テーマとして積層膜の基本構造が異なるシリーズで挿入層の効果を検証したが、そこではスピン軌道トルクが増加せず、加えてジャロシンスキ守屋相互作用が劣化するという悪い結果を得ている。これまでにスピンゼーベック効果やスピンホール磁気抵抗効果で見出した挿入層は、磁性層がY3Fe5O12(YIG)という酸化物磁性体の場合に効果を示したものである。これに対し、磁気準粒子の実験では磁性層がCoなどであり、挿入層の選択を一から見直す必要がある可能性もある。現在は幾つかの材料で試行しているが、これらを総括して材料選択レシピを作成したい。次年度はこれの礎となるような結果を収集する。 さらに、次年度は共同研究相手が本学を訪問し、短期滞在する予定である。研究員の密な交流から研究促進を図る。
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