研究課題/領域番号 |
22KK0065
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分23:建築学およびその関連分野
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研究機関 | 北九州市立大学 |
研究代表者 |
高巣 幸二 北九州市立大学, 国際環境工学部, 教授 (60336948)
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研究分担者 |
陶山 裕樹 北九州市立大学, 国際環境工学部, 准教授 (20507876)
國枝 陽一郎 東京都立大学, 都市環境科学研究科, 助教 (30795943)
藤田 慎之輔 北九州市立大学, 国際環境工学部, 准教授 (80775958)
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研究期間 (年度) |
2022-10-07 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
20,020千円 (直接経費: 15,400千円、間接経費: 4,620千円)
2026年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2025年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2024年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
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キーワード | ジオポリマー / 自己治癒 / 木質バイオマス燃焼灰 / 浮遊選鉱法 / バクテリア |
研究開始時の研究の概要 |
パリ協定の目標達成に向けて日本と英国は2050年までに温室効果ガス排出を実質ゼロにしてカーボンニュートラルを達成するように舵を切った。英国の再生可能エネルギーの比率は30%前後であり、2025年までに石炭火力発電を撤廃することを表明し、その一部をバイオマス発電にシフトさせている。本研究では、二酸化炭素排出量を大幅に削減可能なジオポリマーコンクリートの活性フィラーとしての日英のバイオマス燃焼灰の適用可能性およびバイオマス燃焼灰とバクテリアを混合した自己治癒コンクリートの製造可能性を検証し、材料工学と構造工学の視点から次世代型コンクリートの革新的な技術提案によりカーボンニュートラル社会を目指す。
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研究実績の概要 |
本プロジェクトがスタートする前から研究代表者である高巣は先行して英国のバース大学に滞在(2022年3月~2023年3月)してResearch Professorとして活動した。本プロジェクトがスタートしてからは、バース大学のK. Paine教授や研究員と対面で定期的なミーティングを実施し、K. Paine教授らで研究開発しているバクテリアベースの自己治癒セメント硬化体の製造方法とその特性を把握した。研究に使用していたバクテリアはAlkaliphilic Bacillus cohniiであり、それを培養した後、フリーズドライにしてバクテリアの栄養媒体である硝酸カルシウムと酵母エキスを軽量骨材に封入したバクテリアスポールを使用してセメント硬化体に自己治癒機能を付与する手法を採用していた。 英国の木質バイオマス燃焼灰(BFA-UK)を1種類収集してその性状を評価すると共に英国でジオポリマーモルタルを製造してその特性を検討した。その結果、収集したBFA-UKはCaO成分が30%でSiO2成分が17%となっており、日本の石炭フライアッシュの成分と大きく異なっているが、日本のBFAと同様の成分含有率を示していた。強熱減量(LoI)は10%を超えていたので、浮遊選鉱法によって未燃炭素を除去する改質を北九州市立大学実験室で実施したところ、LoIを5%まで低減することができた。バース大学においてオリジナルBFA-UKと改質BFA-UKを使用してジオポリマーモルタルを製造したところフレッシュ性状、圧縮強度において改質BFA-UKの方が優れていた。乾燥収縮を測定したところ両者とも自己収縮の影響が顕著で、材齢28日で1000μを超える結果となった。BFAを使用したジオポリマーモルタルは収縮性状の改善が重要課題であることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍であったが、研究代表者の高巣が英国側研究拠点であるバース大学に長期間滞在して英国木質バイオマス燃焼灰試料の収集およびバース大学において試験的なジオポリマーモルタルの製造を実施して、本プロジェクトを軌道に乗せることができた。 研究分担者の國枝も短期的にバース大学を訪問して今後の加熱影響の実験的検証に関する実験計画をK. Paine教授らと議論することができた。 コロナ禍のため、研究分担者である陶山と藤田の短期的な渡英が困難であったため、現地調査の一部が未実施となったが、国内においてコンクリートの物性値と建築物の構造的特徴との関係性に関する文献調査を実施し、英国の現地調査に備えた。 従って、半年終了時点の目標は当初の計画通り概ね達成することができ、研究は概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は北九州市立大学・国際環境工学部を主たる研究拠点として、日本の木質バイオマスフライアッシュを収集してジオポリマーの活性フィラーとしての適用可能性を検証すると共に、それを改質したジオポリマーモルタルの製造可能性を検討する。また、英国の木質バイオマスフライアッシュのサンプリング数を増やしてバース大学でジオポリマーモルタルを製造して、日英それぞれで製造したジオポリマーモルタルの性状比較を実施する。 K. Paine教授との協議で、80℃を超えるとバクテリアが死滅してしまうので、バクテリアベースの自己治癒ジオポリマーコンクリートは、80℃を閾値として加熱影響の実験を実施することにした。第1段階として高温履歴を受けたコンクリート供試体において、①力学特性、②治癒性能、③中性化傾向の3点の検証を実験的に行う。 材料工学的な観点によるコンクリートの物性値の変遷と,RC造の建築物の構造的・形態的特徴の変遷との関係について、英国の現地調査を通じて両者の関係性を考察していく予定である。
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