研究課題/領域番号 |
22KK0071
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分28:ナノマイクロ科学およびその関連分野
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
桑原 裕司 大阪大学, 大学院工学研究科, 教授 (00283721)
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研究分担者 |
服部 卓磨 大阪大学, 大学院工学研究科, 助教 (10876965)
濱本 雄治 大阪大学, 大学院工学研究科, 助教 (30584734)
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研究期間 (年度) |
2022-10-07 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
20,280千円 (直接経費: 15,600千円、間接経費: 4,680千円)
2026年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2024年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2023年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 二次元ヘテロ構造 / キラル分子 / 遷移金属ダイカルコゲナイド / 走査トンネル顕微鏡 / 探針増強ラマン散乱分光 |
研究開始時の研究の概要 |
二次元物質には、バルク構造にはない新規な機能があふれている。グラフェン等の単元素材料、遷移金属ダイカルコゲナイドなどの多元素系二次元物質は、三次元バルク構造では予測できない、さまざまな新規機能が予測・実測されている。一方、担持する基板との相互作用により、目的とする二次元材料が本来もつ多様な物性・機能が正確に発現しているかを原子・分子スケールで検討することが要求されている。本研究では、電子・光・スピンデバイスとして応用展開するうえで、担持する基板や不活性化キャップ材料を含めた実動作環境を想定した、精緻な物性機能計測をおこない、将来のデバイス利用を考慮した無機・有機二次元ヘテロ構造を科学する。
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研究実績の概要 |
本研究は、申請者グループ(大阪大学大学院工学研究科)と、ポーランド・ウッチ(Lodz)大学のグループ(物理および応用情報学専攻)との密接な共同研究により、双方が有する卓越した研究装置群を複合的に利用し、二次元ヘテロ構造の原子配列・電子状態・光学特性を、ヘテロ薄膜間の相互作用を積極的に評価・分析することで、機能性単原子・分子膜が持つ特異な機能が有効に発現可能な組み合わせを精査し、将来のデバイス利用を考慮した無機・有機二次元ヘテロ構造を科学する。 本年度は、実質的に共同研究開始の年度であり(昨年度は実質の研究期間は3か月のみ)、2国間の多彩な交流をスタートした。まず、8月28日~9月1日Poland Lodzで開催されたECOSS-36(36th European Conference on Surface Science:ポーランド側の共同研究者が会議議長)に申請者のグループから、研究代表者(桑原)、研究分担者2名、博士課程学生1名が参加し、研究発表を行った。会議中に全員がLodz大学の共同研究先の研究室を訪問し、今後の共同研究打合せを行った。そののち研究代表者(桑原)が10月初頭まで、Lodz大学に滞在し、今後の共同研究について詳細な検討を行うとともに、研究室すべてのメンバーと議論を行った。滞在中最後に、依頼講演を行い、特に金属表面に担持したカーボンナノチューブの振動分光について講演し、研究室のメンバーと有意義な討論ができた。 一方で、継続して、週1回のオンラインでの研究進捗状況の相互報告・研究打合せを行っており、綿密な情報交換を続けている。研究成果として、研究代表者側主導の学術論文2報、共同研究側主導の学術論文1報を公表するなど、順調に共同研究をスタートした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
共同研究は順調に進展している。概要にも記述したが、本共同研究の成果として、以下の3報の論文を、評価の高い国際ジャーナルに掲載している。 1.S. Kimura, T. Hattori, P. Krukowski,Y. Kuwahara et al.“STM/TERS observation of (M)-type diphenyl[7]thiaheterohelicene on Ag(111)”Phys. Chem. Chem. Phys. 26(43), 7658-7663 (2024). 2.I. Lutsyk, P. Krukowski, T. Hattori, Y. Kuwahara, P. Kowalczyket et al.“Influence of structural defects on charge density waves in 1T-TaS2”Nano Research 16, 11528-11539 (2023). 3. Changqing Ye, Takuma Hattori, Yuji Hamamoto, Pawel Krukowski, Yuji Kuwahara, et al.“Chiral Recognition Mechanism of Two-Dimensional Self-Assembly Formed by [7]Thiaheterohelicene” J. Phys. Chem. C 127(43), 21305-21312 (2023). また、研究代表者含め4名がLodz大学訪問・滞在が可能になり、感染症による影響がほとんどなくなるなど、当初予定していた実質的な共同研究が順調にスタートした。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き週1回程度のオンラインでの研究打合せを継続する。 2024年8月頃、ポーランド側のP.Krukowski氏が、一か月程度、研究代表者の研究室に滞在し、主にヘリセン誘導体を用いた、有機ヘテロ界面の原子・電子構造、振動状態解析について、共同実験を遂行する予定である。 一方、研究分担者の服部が、ポーランド側で先行している無機ヘテロ界面における研究について、日本側でも独自に開始する。当初の試料についてはWS2等の遷移金属ダイカルコゲナイドの試料を準備し、研究代表者側の研究装置を用いて実験を開始する。 ポーランド側では、昨年度導入した「超高真空非接触型AFM/STM複合解析装置」が立ち上がりつつあり、本年度は、ラマン散乱分光の光学系を整備して探針増強ラマン分光システムを構築する予定にしており、順調に整備が完了すれば、本年度中に、日本側の研究分担者が、Lodz大学を訪問して、共同実験に参画する。 計算シミュレーションについても、実質的な共同研究をスタートする。オンラインベースで両国の計算物理の研究者間で議論を開始するが、主に計算対象の検討からスタートする予定である。
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