研究課題/領域番号 |
22KK0080
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分38:農芸化学およびその関連分野
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
高橋 俊二 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, ユニットリーダー (30311608)
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研究分担者 |
坂井 克行 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 特別研究員 (80894568)
鄭 宇 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 基礎科学特別研究員 (50894432)
Vo NgocQuynhNhu 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 特別研究員 (60888543)
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研究期間 (年度) |
2022-10-07 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
20,020千円 (直接経費: 15,400千円、間接経費: 4,620千円)
2025年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2022年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
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キーワード | 微生物潜在機能 / 天然化合物 / 放線菌 / 微生物二次代謝産物 / 遺伝子資源 / 生合成 |
研究開始時の研究の概要 |
放線菌は有用化合物の宝庫であり、ゲノム解読から多くの二次代謝生合成遺伝子クラスターの存在が判明し、創薬探索源としての潜在能力が示された。一方、研究室における純粋培養では、ほとんどの遺伝子が休眠状態であり、その活性化手法の開発は重要命題となっている。そこで、理化学研究所天然物生合成研究ユニットと韓国生命工学研究院(KRIBB)抗ガン物質研究センターは、放線菌の探索、遺伝子覚醒、二次代謝物生産、生合成解析、活性評価に至る一気通貫した国際共同研究基盤を構築する。
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研究実績の概要 |
放線菌は有用化合物の宝庫であり、ゲノム解読から多くの二次代謝生合成遺伝子クラスターの存在が判明し、創薬探索源としての潜在能力が示されてきた。理化学研究所天然物生合成研究ユニットと韓国生命工学研究院(KRIBB)ケミカルバイオロジー研究センターは共同で、希少放線菌の探索、生合成遺伝子覚醒、二次代謝物の生産、生合成遺伝子や酵素機能の解析、新規化合物の生物活性評価を行うことによって、一気通貫した国際共同研究基盤構築を目指す。本年度は、代表者と若手研究員がKRIBBを訪問し、研究の議論を行うとともに、放線菌の探索、新規活性天然化合物の構造決定を行った。現在までに、分離、培養した放線菌抽出液のHPLC/MS分析を行い、得られた分子量とUVスペクトルデータをもとに天然化合物のデータベース検索を行い、新規化合物が含まれていると考えられる放線菌株を見出した。新規化合物を取得するために、本菌株を大量培養後、酢酸エチル抽出を行った。続いて、酢酸エチル抽出物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製後、ODSカラムクロマトグラフィーで精製した。最後に、HPLCを用いて精製を行うことにより、3つの化合物を取得した。さらに韓国基礎科学支援研究院でNMR測定を行い、化合物の構造を解析中である。現在までに明らかになった部分構造を検索した結果、取得した化合物は新規化合物と推定された。本年度は、人的交流による理研-KRIBB協力体制を強固にし、今後の研究課題に関する踏み込んだ議論を展開することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
フィールド調査、多様な微生物の取得、土壌放線菌の分離及びの代謝産物のスクリーニング、大量培養、酢酸エチル抽出、各種カラムクロマトグラフィーを用いて化合物を単離した。取得した化合物の純度をHPLC/MSで確認後、NMR測定を重DMSO中で行った。高分解能質量分析およびNMR解析データから得られた部分構造は新規化合物であると予想している。得られた化合物の構造決定を完了し、放線菌由来の未知生合成遺伝子クラスターの同定、各遺伝子の機能解析が進展する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
(1) 微生物の探索と新規天然化合物の取得:昨年度に引き続き、多様な環境、韓国固有の植物から希少放線菌群を収集する。取得した放線菌の大量培養・共培養等を検討し、生産誘導される新規天然化合物の単離と構造決定を行う。また、昨年度取得した天然化合物の生理活性評価を行う。 (2) 休眠遺伝子クラスター覚醒による新規天然化合物の創製:昨年度取得した新規化合物を生産する放線菌のゲノム配列解析、RNA発現解析を行う。転写制御因子の発現増強と鍵遺伝子のプロモーター改変により人為的に未知生合成遺伝子クラスターを活性化することによって、新規天然化合物の取得を検討する。生合成遺伝子クラスターを汎用放線菌宿主で異種発現することにより新規天然化合物生産も検討する。 (3) 小分子化合物を活用した天然化合物の生産誘導法の開発:自然環境では、共生植物や共生微生物が分泌する小分子化合物シグナルを受容して微生物の生合成遺伝子発現が誘導されると考えられている。化合物ライブラリーや植物の抽出物を活用して微生物二次代謝物の生産を誘導する小分子化合物を探索する。 (4) 生合成機構の解析:昨年度取得した天然化合物の生合成遺伝子クラスターを解析する。この時、遺伝子破壊により蓄積する生合成中間代謝物も取得する。また、機能未知の酵素や修飾酵素の理解は構造多様化に重要であるため、新規酵素の反応機構の解析を行う。
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