研究課題/領域番号 |
22KK0082
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分39:生産環境農学およびその関連分野
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
夏秋 知英 宇都宮大学, 留学生・国際交流センター, 特命教授 (10134264)
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研究分担者 |
黒倉 健 宇都宮大学, 農学部, 准教授 (10650898)
池田 裕樹 宇都宮大学, 農学部, 准教授 (90782053)
煉谷 裕太朗 宇都宮大学, 農学部, 助教 (30773551)
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研究期間 (年度) |
2022-10-07 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
20,150千円 (直接経費: 15,500千円、間接経費: 4,650千円)
2025年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2023年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2022年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
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キーワード | ケニア / 農作物 / ウイルス / ペプチド抗体 / ワクチン開発 / 植物ウイルス / 検出同定 / ワクチン |
研究開始時の研究の概要 |
新型コロナウイルスと同様に農作物でもウイルス病が激発しているが、植物ウイルスに対するワクチンの開発は進んでいない。そこで本研究では、ケニアで問題となっているウリ類および栄養繁殖性作物のバナナ、サツマイモ、ジャガイモ、キャッサバに焦点を当て、これらの作物の病原ウイルスに対する迅速・簡便・安価なウイルス検出法を確立し、無症状株をスクリーニングしてワクチン候補株を分離し、最終的にケニアにおいてワクチンを利用した生物的防除戦略の確立し、持続可能な農業の発展に貢献することを目的とする。
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研究実績の概要 |
農業でもウイルス病が多発し、特に熱帯地域では激発しているが、植物ウイルスに対するワクチンの開発は進んでいない。そこで本研究では、ケニアで問題となっている農作物の病原ウイルスを研究対象として、迅速・簡便・安価なウイルス検出法を確立し、無症状株をスクリーニングしてワクチン候補株を分離し、最終的にケニアにおいてワクチンを利用した生物的防除戦略を確立し、持続可能な農業の発展とSDGsに貢献することを目的としている。 そこで初年度の冬期に続き、2年度は夏期にケニアを訪問し、ケニアの海外共同研究者が所属するジョモケニヤッタ農工大学(JKUAT)とメル科学技術大学(MUST)において海外共同研究者と対面で情報交換して本研究課題の内容を議論した。また、現地の農作物の栽培状況を季節を変えて調査し、ウイルス病の発生状況を確認して共同でサンプリングを行った。特にMUSTでは海外共同研究者だけでなく大学院生も交えてセミナーを開催し、本研究課題について議論した。また初年度に続きキャッサバ、カボチャ、ヒョウタン(bottle guard)、トマト、サツマイモ、バナナなどをサンプリングし、ケニアおよび日本両国の植物防疫所の許可を得て持ち帰り、現在も感染しているウイルスを検出・同定中である。そのうち、キャッサバからはEast African cassava mosaic virusを、ヒョウタンからはTomato leaf curl Kunene virusを検出した。特に後者はウリ科作物からの検出例は世界初で、詳細に解析中である。 一方で、各種ベゴモウイルスやクリニウイルスの塩基配列を解析し、予測された抗原決定部位に対するペプチド抗体を作成した。作成した抗体の一部はウイルス感染植物と特異的に反応したので、現在はベゴモウイルスやクリニウイルスの検出・識別に利用可能かどうか検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は10月にスタートし、新型コロナウイルス感染症による渡航制限が解除されつつある時期であったために、2月にケニアを訪問し、ケニアの海外共同研究者と対面で本研究課題について話し合い、さらにウイルス病のサンプリングを行った。2年度は時期を変えて9月にケニアを訪問し、初年度に得られなかったトマトやヒョウタンなどもサンプリングし、2回の訪問で持ち帰ったサンプルからはいくつものウイルスが検出され、特にキャッサバではEast African cassava mosaic virusが主要な病原であることが判明した。また、ヒョウタンからはTomato leaf curl Kunene virusを検出した。このウイルスのウリ科作物からの検出例は世界初で、学会で発表した。また既報のウイルスはトマトから、本研究ではヒョウタンからと宿主植物が異なるので、両者の比較から宿主植物決定因子を解析中である。 また、各種ベゴモウイルスやクリニウイルスの塩基配列を解析し、予測された抗原決定部位に対するペプチド抗体をいくつも作成したところ、その一部はウイルス感染植物と特異的に反応した。特に、クリニウイルスに対するペプチド抗体の作出は世界初であり、検出・識別に利用可能かどうか検討中である。 以上から、研究の進捗状況は順調と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染症による渡航制限が解除されつつある時期に本研究を開始し、初年度は昨年2月、2年度は昨年9月にケニアへ渡航して、海外共同研究者と対面で情報交換を行ったうえでサンプリングを実施出来た点は良かった。2回の渡航により、ジャガイモをはじめとするナス科作物やカボチャなどのウリ科作物、キャッサバ、サツマイモなど目的とした多くも作物のサンプリングが出来た。そこで、3年目も時期を変えてケニアを訪問し、ウイルス病の発生状況を調査する。 また、抗原部位予測からウイルス感染植物と特異的に反応するペプチド抗体を作成できることが判明したので、3年目は、実際にケニアで安価で簡易にウイルスを検出する方法を確立したいと考えている。その上で、3年目はワクチン候補株となる病徴を示さない弱病原性ウイルスの探索に取り組みたい。
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