研究課題/領域番号 |
22KK0087
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分40:森林圏科学、水圏応用科学およびその関連分野
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
江口 克之 東京都立大学, 理学研究科, 准教授 (30523419)
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研究分担者 |
小栗 恵美子 東京都立大学, 理学研究科, 客員研究員 (10608954)
吉田 貴大 東京都立大学, 理学研究科, 助教 (30868451)
Francesco Ballarin 東京都立大学, 理学研究科, 特任助教 (50914462)
Nguyen DucAnh 東京都立大学, 理学研究科, 客員研究員 (70828946)
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研究期間 (年度) |
2022-10-07 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
20,280千円 (直接経費: 15,600千円、間接経費: 4,680千円)
2025年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2022年度: 6,630千円 (直接経費: 5,100千円、間接経費: 1,530千円)
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キーワード | DNA barcoding / インドシナ / 土壌棲節足動物 / 定量調査 / ビッグデータ / 2-Step 系統分類学 |
研究開始時の研究の概要 |
生物多様性ホットスポットであるチュオンソン山系において、土壌棲節足動物を対象に、生物多様性解明の高速化を目的に考案した「2-Step系統分類学」を実践する。 ベトナム生態学生物資源研究所、ラオス国立大学と共同で、日本からMinIONなどの最小の機器を持込み、「in situ」(現地)で「DNA・形態ビッグデータベース」を構築する。得られたDNAデータをBarcode of Life Dataの種判別クラスタリングにかけることで、「暫定種(BIN)」を効率よく判別する(種判別段階)。さらに、BINの種としての実態を再検証し、既存の分類体系に位置付け、後追いで分類学的処置を行う(記載分類段階)。
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研究実績の概要 |
2022年度と2023年度の調査結果を鑑み、主たる研究対象動物群を絞り込んだ:土壌棲・地表徘徊性のクモ類、多足類、等脚類、甲虫類;樹皮(下)棲・木材穿孔甲虫類(おもにキクイムシ類)。 江口とNguyen Duc Anhは土壌棲・地表徘徊性のクモ類、多足類、等脚類、甲虫類のサンプルを網羅的に集める方法として、2023年9月にベトナム中部のGia Lai省のKon Ka Kinh国立公園、Kon Chu Rang自然保護区にて、ハンドシフティング法とツルグレン装置抽出法を実践した。雨季であったため土壌の水分量が極めて高く、どちらの方法でも採集効率はあまり高くなかったものの、後者がより良いことがわかり、この方法を採用することとした。ついで、2024年3月にベトナム北部のCat Ba国立公園(Hai Phong省)とXuan Son国立公園(Phu Tho省)にてツルグレン装置抽出法を実施し、対象動物群を含む網羅的サンプルを得ることができた。吉田は、2023年8月にラオスのNam Et-Phou Louey国立公園やその周辺の山林で調査を実施した。任意の枯死木に対してビーティング法やスプレー塗布を行い、隠蔽環境で生活する甲虫を採集した。また、ライトトラップ(幕式;吊り下げ式)を実施し、甲虫類を中心とした昆虫類の網羅的サンプルを得た。 Ballarinと小栗は、MinIONをベトナム生態学生物資源研究所(IEBR)においてin situで行うために必要な、実験設備の調査、及びプロトコル作成と必要物品のリスト化を進めた。ナノポア社の技術サポートとの打ち合わせにおいて、Quibit Fluorometerが必要であることが判明したが、IEBRで所有していることが確認できた。 その他、琉球列島、台湾などで上述分類群の分類学的再検討や系統地理学的考察を行うための比較対象となる標本の収集を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度後半(10月より研究期間開始)及び、2023年度前半に、主たる研究対象動物群の絞り込みや、それらの分類群に対する網羅的採集法の選定を終え、ベトナム及びラオスで実施した共同野外調査によって対象動物群を含む網羅的サンプルを得ることができた。また、IEBRの責任者であるNguyen Duc Anh氏及び現地研究協力者にツルグレン装置抽出法を装置とともに技術移転し、彼らが単独でもサンプリングを実行できるようにできた。それにより、2024年度および2025年度にベトナム及びラオスの各地から網羅的サンプルを効率的に集めることが可能な状態となった。 2023年度に集めた網羅的サンプルの一部を用いて、MinIONのテストランを2024年度前半にまずは研究代表者の所属期間である東京都立大学で行い、プロトコルなどに不備がないことが確認できれば、2024年度末にIEBRで実施することが可能な状態となった。 よって、本研究は概ね順調に進展していると自己評価している。
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今後の研究の推進方策 |
2024年はベトナム中部のVu Quang国立公園(Ha Tinh省)、Sao La国立公園(Hue省)、Ngoc Linh国立公園(Kon Tum省)、およびラオスの複数の国立公園(具体的な場所は調整中)で、調査・採集を行い、網羅的なサンプルを得る。 土壌棲・地表徘徊性のクモ類、多足類、等脚類、甲虫類については、ツルグレン装置抽出法を用いて、定量的かつ網羅的なサンプルを得る。さらに、目視探索・採集法及びハンド・シフティング法により、中型以上のクモ類、多足類(ムカデ類、ヤスデ類)、等脚類を採集し、網羅性を高める。樹皮(下)棲・木材穿孔甲虫類(おもにキクイムシ類)については、枯死木に対するビーティング法やスプレー塗布、ライトトラップ(幕式;吊り下げ式)を実施する。 ベトナム側代表者であるNguyen Duc Anhが2024年9月中旬から研究代表者の研究室(東京都立大学)に1ヶ月間滞在することに合わせて、Ballarin、小栗がMinIONのテストランを行い、Nguyen Duc Anhそして代表者の研究室に所属するラオス国立大学からの留学生、日本側研究協力者などへ向けた技術移転を行う。また、そのテストランにおいてプロトコルなどに不備がないことが確認できれば、2024年度末(2025年3月を想定)にBallarinと江口がIEBRを訪問し、IEBRにてテストランを実施する。
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