研究課題/領域番号 |
22KK0089
|
研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分41:社会経済農学、農業工学およびその関連分野
|
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
本郷 千春 千葉大学, 環境リモートセンシング研究センター, 准教授 (20272354)
|
研究分担者 |
朝岡 良浩 日本大学, 工学部, 教授 (00758625)
若林 裕之 日本大学, 工学部, 教授 (30434070)
山本 雄平 千葉大学, 環境リモートセンシング研究センター, 助教 (30845102)
|
研究期間 (年度) |
2022-10-07 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
20,020千円 (直接経費: 15,400千円、間接経費: 4,620千円)
2025年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
2024年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2023年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
|
キーワード | 氾濫シミュレーション / 水稲病害 / UAVデータ / 衛星データ / 浸水域 / 越水地点 / 洪水氾濫 / 水稲病虫害 / 拡散メカニズム / リモートセンシング |
研究開始時の研究の概要 |
洪水常襲地域の稲作において、洪水被害発生後の迅速な対応は極めて重要である。インドネシアは豪雨頻度が高いことに加えて、穀倉地帯では河川堤防が十分に整備されていないことから、洪水氾濫による病虫害の拡散による水稲の減収回避の観点から早期防除の徹底が重要である。そこで本研究では、インドネシアの穀倉域であるチタルム川流域において、空間情報とモデルを駆使して、洪水氾濫に伴う物質輸送と病虫害の関係解明、洪水と病虫害の発生状況についての2次元分布のモニタリング、検出した洪水と病虫害の2次元分布から病虫害の拡散メカニズムを解明に取り組む。
|
研究実績の概要 |
本研究では、空間情報及びシミュレーションモデルを駆使して洪水と病虫害の発生状況の2次元分布のモニタリングを行い、検出した洪水と病虫害の2次元分布から病虫害の拡散メカニズムを解明することを目的としている。 2023年7月のインドネシア側との共同現地調査では、疫病・生育調査データ、分光データ、UAV熱赤外及びマルチスペクトル画像を取得した。さらにチタルム川上流域の水文データ、地形、河川、土地利用に関する数値地図情報を整備した。 Planet衛星データの正規化水指数を用いてボジョンソアン地域の浸水域と越水地点を抽出した。二次元不定流方程式を適用して洪水期間の浸水域をシミュレーションし、衛星画像から得た浸水域を用いて再現性を検証したところ浸水面積を過小推定していること、特に河川からの越水の影響を受ける地域で過小推定が顕著であることを確認した。現行の洪水氾濫シミュレーションは内水氾濫のみを扱い、河川からの越水を扱っていないことから、今後は河川モデルを洪水氾濫モデルに組み込み、河川水位に応じて越水を扱えるように改良する必要があることが明らかになった。一方、ボジョンピチュン地区におけるイネ白葉枯病(BLB)の被害解析に関しては、回帰分析を用いた場合には被害が中程度の圃場では正答率が低くなるがランダムフォレスト法を適用した場合には被害程度の分類精度が向上することを確認した。さらに、熱赤外画像から算出したTVDIと罹病程度との間には高い正の相関関係が確認され、特に午後の空撮画像がBLBの被害把握に有効であることが明らかになった。また、衛星データを用いて乾期水田作における灌漑水過不足量を算出した結果、中流域では、6月中旬以降に灌漑用水の取水量が減少しており、上流域での優先的な水利用により灌漑水の供給が不足していたことが示されたことから、水灌漑システムの改善と総合的な管理の必要性が示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度に引き続き、インドネシアにおいて両国の研究者が共同で各種のフィールドデータを収集するとともに、分光データ、UAVによる空撮画像、灌漑水路及び取水量データの取得、取水量データのGIS上への一元化作業等を滞りなく実施することが出来た。さらに、チタルム川上流域の水文データ収集に目途がつき、今後も継続的に観測データを入手できる見込みである。対象地域の数値地図情報も概ね収集でき、河川モデルを構築する上で基盤となるデータを整備できた。また、国内河川を対象として試験的に河川モデルを洪水氾濫モデルに組み込み、概ね良好な結果が得られており、対象地域の河川流れと内・外水氾濫を扱う洪水氾濫モデル構築の準備ができた。 これら整備したデータを用いた解析も順調に進んでいることから、本研究はおおむね順調に進展していると判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
継続して対象地域のデータ整備に取り組む。イネ白葉枯病被害評価手法構築に必要な現地調査データの取得、UAVによる空撮をボゴール農科大学、西ジャワ州農政局の研究者・職員らと共同で行う。 ボジョンピチュン地区においてイネ白葉枯病の被害評価手法の精度向上に取り組むとともに、ボジョンソアン地区の水田に発生する病害を探索し可能な範囲で疫病調査データを取得する。また、氾濫モデルと河川モデルを結合する。河川モデルの上流端、下流端の境界条件として河川水位の観測データを用いる。さらに、衛星画像に基づいて抽出した浸水域データを用いて洪水氾濫モデルのパラメータ設定や精度向上に取り組む。その上で、洪水氾濫モデルを用いて内・外水氾濫による物質輸送を表現する。衛星画像から推定した病虫害発生ポテンシャルの空間情報と洪水氾濫シミュレーションによって得られる水動態と物質輸送の空間情報を解析することにより浸水地域を対象とした病虫害の発生要因を解析する。
|