研究課題/領域番号 |
22KK0097
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分42:獣医学、畜産学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山崎 渉 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 教授 (70393262)
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研究分担者 |
目堅 博久 宮崎大学, 産業動物防疫リサーチセンター, 准教授 (90633264)
一二三 達郎 鹿児島大学, 農水産獣医学域獣医学系, 准教授 (90790949)
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研究期間 (年度) |
2022-10-07 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
20,150千円 (直接経費: 15,500千円、間接経費: 4,650千円)
2026年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | アフリカ豚熱 / 環境動態 / LAMP / 簡易DNA抽出 / 全血 / ポイントオブケア / 診断法 |
研究開始時の研究の概要 |
グローバル化に伴うアフリカ豚熱の世界流行は世界の脅威である。アフリカ豚熱はアフリカ豚熱ウイルスによる豚とイノシシの熱性伝染病で、強い伝染性と90%を超える高い致死率を特徴とする。中国や朝鮮半島、東南アジアでも感染爆発が続いており、日本にも侵入の危機が迫っている。ベトナムでは、脆弱な水際防疫の強化が急務となっている。本研究では研究代表者らが新開発する高感度・経済的かつ簡易・迅速的なアフリカ豚熱診断法を用いて、イノシシや軟ダニサンプルからの高精度なフィールド調査を行う。
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研究実績の概要 |
ベトナム国立農業大学と共同研究を実施し、高感度かつ迅速にアフリカ豚熱(ASF)を診断するための新技術の開発に成功した。ASFのパンデミックを抑制するためには、早期発見と早期封じ込めが重要だが、現場で使用できる実用的な検査法がないこと大きな障壁となっている。そこで、豚全血サンプルを用いた現場で実施できるASFの迅速かつ高感度なポイントオブケア検査(POCT)を開発し性能を評価した。89の豚全血検体をベトナムの養豚場から採取し、粗DNA抽出とLAMP(loop-mediated isothermal amplification)増幅を組み合わせてPOCTを実施した。その結果、開発したPOCTにより、豚の全血検体から10分以内に、極めて低コストかつ比較的容易に粗DNAを抽出することができた。POCT全体の所要時間は、DNA抽出開始から最終判定まで最大50分であった。従来のリアルタイムPCR検出と比較して、POCTは検出感度が1log低下したが、診断感度は100%(56/56)、診断特異度は100%(33/33)と同等であった。開発したPOCTは迅速かつ容易に実施でき、特別な装置を必要とすることなく実施可能である。開発したPOCTは、ASFの早期診断と侵入の封じ込めの促進に貢献できる可能性がある。さらに、豚・イノシシ口腔液から微量なウイルスを濃縮検出する方法を開発中であり、予備試験では従来の方法より10倍以上高感度な診断性能を得ている。さらなるサンプル収集とデータ解析を進めている。
ベトナム国立農業大学の若手研究者を京都大学に招聘し、遺伝子検査法を習得するための実技講習を行った。さらに、研究代表者と研究分担者である若手研究者がベトナム国立農業大学を訪問し、特別セミナーを若手研究者と学部生・大学院生向けに行い、学術交流を推進した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
全血を用いたアフリカ豚熱のポイントオブケア検査の共同開発に成功した(論文掲載済)。さらに、豚とイノシシ口腔液中に含まれる微量なアフリカ豚熱ウイルスの濃縮検出法の開発にも成功した。予備試験では従来の方法より10倍以上高感度な診断性能を得ており、順調に共同研究が進んでいる。さらに、日本側から若手研究者1名を派遣するともに、ベトナム側から1名の若手研究者を招聘することができた。また、来年度初頭にベトナム側の若手研究者3名を招聘するための事務手続きも進んでおり、学術交流と若手研究者の国際経験の涵養を順調に推進している。
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今後の研究の推進方策 |
ベトナム側の共同研究者にサンプリングをしていただき、臨床サンプルを用いた開発法の性能評価を進める。ベトナム側の若手研究者3名を日本に招聘し、開発法などに関する様々な技術や知識を習得してもらう。日本側からも現地を訪問し、開発法の微修正、技術支援、サンプリング、相互交流などをすすめる。
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