研究課題/領域番号 |
22KK0103
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分45:個体レベルから集団レベルの生物学と人類学およびその関連分野
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
東城 幸治 信州大学, 学術研究院理学系, 教授 (30377618)
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研究分担者 |
竹中 將起 信州大学, 理学部, 特任助教 (00854465)
関根 一希 立正大学, 地球環境科学部, 専任講師 (10779698)
谷野 宏樹 基礎生物学研究所, 進化発生研究部門, 特別研究員 (10915242)
鈴木 智也 京都大学, 地球環境学堂, 特定研究員 (30739503)
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研究期間 (年度) |
2022-10-07 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
18,720千円 (直接経費: 14,400千円、間接経費: 4,320千円)
2025年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2024年度: 6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
2023年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 昆虫 / 繁殖戦略 / 父育 / 遺伝 / 進化生態 / 行動 / 適応度 / 逆分散 / 進化 / 繁殖生態 / 托卵 / 父性解析 |
研究開始時の研究の概要 |
約4億年前に誕生し、長い年月をかけて進化を遂げた昆虫類は地球上で最も種多様性の高い生物群であり、その繁殖システムは実に多様である。しかし、オスが子育てをする昆虫はごく僅かであり、ほとんどをコオイムシ科昆虫が占める。こうした特異的な繁殖システムの本質や進化プロセスは謎に包まれている。本研究では、以下の2つの課題を究明する。
【 課題① 子(胚)が親の繁殖適応度を高める? 世界初のユニークな現象 】 発生と遺伝、生態(繁殖システム)を総合した Evo-Devo-Eco 研究
【 課題② 父性解析実験:世界初となる昆虫の「オス間托卵」は種内に保存された形質か? 】 昆虫における類を見ないオス間托卵に迫る
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研究実績の概要 |
卓越した種多様性や多様な繁殖システムを進化させてきた昆虫の中でも、オスが卵塊を自身で背負って保護(父育)するコオイムシに着目し、その系統や進化的な背景も含めて、ユニークな繁殖生態を獲得するに至った背景を詳細に理解することを目的としている。コオイムシには、 遺伝的に大きく分化した3系統群(日本列島内に2系統、朝鮮半島を含む大陸に1系統)が存在し、これまでの研究では、日本列島のコオイムシが側系統群と評価され、日本列島から大陸への「逆分散 Back Dispersal」が示唆されてきた。 前年度に着手したゲノムワイドなSNPs解析(GRAS-Di解析)でのサンプル数を増やし、より頑健な系統進化史解析を実施した結果、サンガーシーケンサーによるこれまでに示唆されてきた逆分散が改めて支持されるとともに、日本列島のコオイムシが側系統となることも支持された。
また、コオイムシが背に卵塊を背負って父育する行動が、世代交代において不可欠であることを再検証する実験として、オスの背から剥離した卵塊の発生状況や、卵塊剥離が起こる条件(負荷の強度)の計測実験を実施した。卵内の胚の発生段階により、卵の付着力が変化する可能性について も物理的に負荷をかけて固着力を計測する検証実験を実施し、発生後期には付着力が低下する傾向は認められたものの、実験あたりのばらつきが大きいことから、試行回数の増加や実験の精度を高める必要性がある。また、卵塊を背負ったオスと背負っていないオスをメスに選択させる場合、有意に卵塊を背負っているオスが選択されることは先行研究において明らかとなっているが、卵塊のサイズに差をつけた状況下でメスに選択させると、有意に卵塊サイズが小さいオスを選択することが明らかとなった。メスにとって、父育の有無自体は重要である一方で、より多くの卵を産み足すことができる物理的スペースの重要性も明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
韓国・崇実大學・Park博士の協力のもと、卵塊を保護するニットシース nit sheathとして硬化するタンパク質の分析(nitのフーリエ変換赤外分光法)については、現在、韓国にて取り組んでおり、解析手法の確立の面で試行錯誤をしているが、従来のサンガーシーケンス法による系統進化史の推定から、ゲノムワイドなSNPs解析(GRAS-Di法)の導入により、より頑健な系統進化史の推定へと進展させることができ、系統的な位置づけを明確化した上での繁殖実験への展開が可能となっている。
遺伝子マーカーで個体識別した状態でのランダム交配実験を行い、コオイムシはかなり乱婚性の強い繁殖生態をもつことが明らかとなった。また、繁殖実験からは、種内托卵的な状況も確認され、現在、これらの成果の論文化を進めているところである。
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今後の研究の推進方策 |
韓国・崇実大學・Park博士や高麗大学・ Bae Yeon Jae教授の協力のもと、卵塊を保護するニットシース nit sheathとして硬化するタンパク質の分析技術(nitのフーリエ変換赤外分光 法)や接着力の計測実験などを展開する計画で準備を進めている。2024年には、代表者・東城、分担者・竹中と谷野が韓国・高麗大学を訪れ、共同研究の打ち合わせ、並びに共同での実験を実施する計画である。
また、繁殖生態に関わる様々な室内実験を日本と韓国の双方で実施し、一部の成果が上がっている実験については、論文公表を目指す。また、2023年度に着手した繁殖生態に関する研究について、まず、コオイムシが背に卵塊を背負って父育する行動が、世代交代において不可欠であることを再検証する。また、卵塊を剥離する胚発生ステージを明確に識別しながら、統計解析が可能となる反復数での実験を行う。また、オスの背から剥離した卵塊の発生状況や、卵塊剥離が起 こる条件(負荷の強度)を引っ張り強度の計測機器を用いて評価する。卵内の胚の発生段階により、卵の付着力が変化する可能性についても実験的に検証する。
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