研究課題/領域番号 |
22KK0104
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分45:個体レベルから集団レベルの生物学と人類学およびその関連分野
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研究機関 | 総合地球環境学研究所 (2023) 京都大学 (2022) |
研究代表者 |
酒井 章子 総合地球環境学研究所, 研究基盤国際センター, 客員教授 (30361306)
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研究分担者 |
古川 沙央里 京都大学, 生態学研究センター, 研究員 (10877319)
潮 雅之 龍谷大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (40722814)
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研究期間 (年度) |
2022-10-07 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
20,020千円 (直接経費: 15,400千円、間接経費: 4,620千円)
2026年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2025年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2024年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2023年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 微生物叢 / ダイズ / ツルマメ / アンプリコンシーケンシング / 栽培化 / 微生物 / 細菌 / 栽培植物 / 種子 / メタバーコーディング |
研究開始時の研究の概要 |
植物の内外には、多様な微生物が生息し、植物の健康や成長に大きな影響を与えている。農業による植物の栽培化は、植物に共生する微生物にも変化をもたらしてきた。この栽培植物と祖先種の微生物叢の違いの一因として、二次代謝物質の組成など植物の遺伝的形質の重要性が示唆されている。本研究では、ダイズ及びダイズの祖先種ツルマメを材料に、栽培化による遺伝的変化が種子微生物叢をどう変化させたのか検討する。まず、中国・韓国・日本の複数地点でツルマメ、ダイズ種子を採集し、種子微生物叢の地理的変異と栽培・野生植物間の違いを明らかにする。さらに、接種実験によって、植物の形質が種子微生物叢を説明する要因なのか検討する。
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研究実績の概要 |
昨年採集した滋賀県産ダイズおよびツルマメの種子細菌叢を、16S rRNA 335F/796RプライマーをもちいたアンプリコンシーケンシングとDNAバーコーディングによって予備解析した。各サンプルから3300-120000 程度の配列が得られ、全体では417のASVがあった。Bray-Curtis非類似度指数をもとにASVレベルで組成を比較すると、ダイズ・ツルマメの違いはそれほど大きくなく、むしろ採集地点の間で有意な差が見られた。各サンプルの配列の多様性についても、1サンプル中のASVの数は10-250と大きなばらつきが見られたが、ダイズとツルマメに明確な差は見られなかった。もっとも多くの配列数が見られたのは野洲のダイズであった。配列数の多いASVには、Alphaproteobacteriaが多くみられ、とくにSphingomonas、Methylobacteriumが複数含まれていた。 9月から11月にかけて、共同研究者の協力を得て、韓国でのサンプリングおよびサンプルの日本輸入について必要な手続きを行った。11月に、韓国釜山周辺のChangnyeong-gun, Haman-gun, Hapcheon-gun, Changwon-siのダイズ畑4か所において、ダイズ5-10株から果実・種子を採集した。それぞれのダイズ採集地周辺で、野生ツルマメ5-10株からサンプルを採取した。河川敷に大きな群落がよく見られ、弾ける直前の鞘を採集をすることができた。採集の後、韓国検疫機関において検査を受け、植物検査証明書を取得し日本に輸入した。また、韓国国立生態院の湿地センターを訪問し、今後の実験・調査について打ち合わせを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
韓国での採集をスムーズに終了することができた。また、種子からの微生物DNAの抽出のプロトコルを確定できた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、韓国産のChangnyeong-gun, Haman-gun, Hapcheon-gun, Changwon-siから得られたダイズ・ツルマメ各5サンプルから、DNeasy PowerSoil Pro Kit(キアゲン)を用いて微生物DNAを抽出し、アンプリコンシーケンシングとDNAバーコーディングによって種子細菌叢の解析を行う。ダイズ・ツルマメ間にどのような違いが見られるかを解析するとともに、地域間のばらつきの程度やダイズ、ツルマメで同じような地理的変化が見られるのかを検討する。もし同じような地理的変異が見られるのであれば、ダイズとツルマメの間で種子微生物叢を共有している可能性がある。また、これまで種子微生物叢が調べられているマメ科植物や他の分類群の植物と比較し、種子に広く見られるコア微生物がダイズでも見られるのか解析する。 11月に日本国内(主に関西と関東)でダイズ・ツルマメのサンプリングを行い、韓国産サンプルと同様の方法で抽出・解析を進める。 これまでは細菌叢を対象に解析を行ってきたが、韓国産のサンプルについて、細菌叢の解析が順調に進めることができれば、ITS 領域を用いて真菌を対象としたアンプリコンシーケンシング・メターバーコーディングも行う。細菌叢と類似のパターンが見られるのか、また細菌叢と真菌叢の間に相関が見られるのか検討する。 2025年3月に、それまでに得られた成果を生態学会で発表する予定である。
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