研究課題/領域番号 |
22KK0116
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分49:病理病態学、感染・免疫学およびその関連分野
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
安田 二朗 長崎大学, 高度感染症研究センター, 教授 (10282518)
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研究分担者 |
木下 貴明 長崎大学, 高度感染症研究センター, 助教 (00803181)
櫻井 康晃 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助教 (00818338)
吉川 禄助 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助教 (20816821)
阿部 遥 長崎大学, 熱帯医学研究所, 准教授 (90554353)
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研究期間 (年度) |
2022-10-07 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
19,890千円 (直接経費: 15,300千円、間接経費: 4,590千円)
2025年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2024年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2023年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2022年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 人獣共通感染症 / ウイルス / アフリカ / 新興感染症 / Virome / ガボン / コウモリ |
研究開始時の研究の概要 |
新興感染症の多くは人獣共通感染症である。未開地の開発等による野生動物との接触機会の増加等により、中部アフリカは新興感染症の発生頻度の高い地域となっており、エボラウイルス病など致死性の高いウイルス感染症のアウトブレイクも度々発生している。新たな新興感染症の出現に備えるためには、出現リスクの高い国・地域において野生動物の間で維持されているVirome(ウイルス叢)を解析することでウイルスの生態を明らかにし、ヒトへの感染リスクを評価することが必須である。そこで本研究では、ガボン共和国において、多くの新興ウイルスの自然宿主と考えられているコウモリと蚊を中心に検体を採集し、Viromeを明らかにする。
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研究実績の概要 |
本年度は、6月、11月、2月の3回ガボン共和国に渡航し、共同研究機関であるランバレネ医療研究センター(CERMEL)、熱帯生態学研究所(IRET)の研究者とともに、ランバレネ周辺地域において3種191匹のコウモリを捕獲した。 捕獲したコウモリから血液、肺、肝臓、腎臓、脾臓、生殖器、結腸、直腸及び糞を採取した。また、コウモリの体表にクモバエが見つかった場合は、それらも採取した。 エボラウイルス、マールブルグウイルスに対する抗体を検出するために、ウイルス表面糖タンパク質GPを抗原としたELISA法を確立し、血清中の抗体検出を行った。その結果、抗エボラウイルス抗体はコオヒキコウモリ8匹中3匹、エジプトルーセットオオコウモリ55匹中3匹で陽性、抗マールブルグウイルス抗体はエジプトルーセットオオコウモリ55匹中23匹で陽性であった。シュードタイプウイルスを用いた中和試験も71匹を対象に行い、7匹でエボラウイルスに対する中和抗体、1匹でマールブルグウイルスに対する中和抗体を検出した。 脾臓検体からRNAを抽出し、次世代シーケンス解析を行った。詳細なウイルス遺伝子解析を現在進めている。 更に、ガボン共和国におけるコウモリの生態はよくわかっていないが、今回の捕獲調査でエジプトルーセットオオコウモリはガボン共和国では10-11月が繁殖期であること、オス個体の陰嚢への精巣下降が体重150gに達した頃に起こること、そして、他の国では洞窟を巣とするのに対して本調査地域では橋下に営巣していることも明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
現地共同研究機関と極めて良好な関係で共同研究を進めており、これまでに4種284匹のコウモリをガボン共和国で捕獲し、想定数以上のコウモリ検体の採集を行うことができている。ウイルス遺伝子の網羅的な解析も順調に進んでおり、抗体調査ではエボラウイルス、マールブルグウイルスに対する抗体が検出されている。 更に、ガボン共和国におけるエジプトルーセットコウモリの生態に関する新知見もいくつか得られており、全体として当初の計画以上の成果が得られている。
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今後の研究の推進方策 |
コウモリおよびクモバエ検体からのウイルス遺伝子検出を進め、新規ウイルスの同定、既知ウイルスの詳細な遺伝系統解析などを行う。 次世代シーケンサー解析やPCR解析により、何らかのウイルスの遺伝子が検出された検体に対しては、いくつかの種の培養細胞を用いてウイルス分離を進める。ウイルス分離の効率を高めるために自然免疫系を不全にしたコウモリ細胞株の樹立も同時に進める。
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