研究課題/領域番号 |
22KK0124
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分52:内科学一般およびその関連分野
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
高橋 昌哉 順天堂大学, 保健医療学部, 教授 (80898982)
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研究分担者 |
青木 茂樹 順天堂大学, 大学院医学研究科, 教授 (80222470)
萩原 彰文 順天堂大学, 医学部, 准教授 (20768535)
藤田 翔平 順天堂大学, 医学部, 非常勤助手 (60827244)
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研究期間 (年度) |
2022-10-07 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
20,150千円 (直接経費: 15,500千円、間接経費: 4,650千円)
2027年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2026年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2025年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2023年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 化学交換飽和移動 / CEST / 分子・代謝MRイメージング / パーキンソン病 / MRI分子イメージング / 代謝 / 分子代謝イメージング / グルタミン酸イメージング |
研究開始時の研究の概要 |
多くの神経変性疾患にグルタミン酸 (Glu)の代謝異常が関与しており、Gluの非侵襲的な可視化は様々な神経変性疾患の診断・治療への革新的な指標になり得る。本国際共同研究では、脳局所のGlu作動性神経伝達の代謝異常が知られるパーキンソン病 (PD) を対象に、これまでのCEST法ではなしえなかった神経変性疾患における微少な代謝変化を検出する新規CEST法を開発し、PDの早期診断技術の基盤を築く。本課題の遂行により、CEST法の基礎技術開発とPDの臨床研究で世界をリードする2つの研究機関による双方向の国際共同研究基盤をさらに強固なものとし、日本を中核としたCEST研究の国際的先導体制を構築する。
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研究実績の概要 |
CEST法で観察できる内因性の代謝物は、分子量の比較的小さな可動性分子のうち-CONH, -NH2, -OHなどの側鎖をもつ代謝物であり、組織内のタンパク質・ペプチド、神経伝達物質のグルタメート、クレアチンやグルコースなどの定量が報告されている。代謝物上のプロトン(1H)はMRI信号として通常観察できないが、観察可能な自由水の1Hとの間で化学交換 (置き換え)を生じるためCEST法では間接的に観察される。本大学では、当初CEST法が稼働するMRI装置がなかったが、これまで主に技術開発を行うことにより、CEST法が2つのメーカー(シーメンス、キヤノン)の臨床装置での可動が可能に、また最適化も進行した。共同研究先であるテキサス大学サウスウェスタンメディカルセンター(UTSW)には、2023年3月最初に訪問し共同研究の概要・より詳細な研究の進め方を確認し、6月若手研究者と共に訪問し9.4T研究用MRI装置で技術開発を行いデータの取得出来るまでに到達した。これらのデータを基に順天堂大学の3T臨床用MRI装置でのCEST法の技術的開発を進めながらデータを解析、2024年3月の訪問ではCEST信号の磁場強度依存性についてスペクトロスコピーで解析、3T研究用MRI装置での比較試験を行い、現在データ解析進行中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要で述べたように順天堂大学では、当初CEST法が稼働するMRI装置がなかったため、2つのMRI装置メーカー (シーメンス、キヤノン)との共同研究契約の締結から始め、まずMRI信号取得までの技術開発、さらにその信号を用いた解析法、定量法の開発を進めることが可能になった。さらに2023年12月には、代表者が米国で10年以上CEST開発研究を共同で行ったMRI装置メーカー(フィリップス)の最新装置が導入・稼働され、申請書にて提案した各種研究課題のデータ取得・解析が、現在共同研究契約締結の手続き中であるが、直ぐに可能となる。具体的には、対象とする代謝物への選択性を高める新規CEST法を観察し、これまで報告のあるpH測定に対するCEST法の改善が期待できる。ただし、2024年3月のUTSWでのデータ取得にて判明した、「CEST信号の磁場依存性」が研究計画時に想定していた以上に大きいことが判明、今後UTSWに加え共同研究契約を新たに締結した量子研含めた共同研究を推進し、磁場強度毎にデータを取得・解析する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
本課題は、パーキンソン病(PD)の発症・進行のメカニズムをCEST法を用い代謝の変性の観点から測定、病態解明を目指すものである。特にPDにおいて代謝異常が知られている脳内の主要な興奮性神経伝達物質であるグルタミン酸(Glu)の組織内濃度・pH変化の定量的測定が主題である。これまでPD、アルツハイマー病などの神経変性疾患を対象としたCEST法研究の報告がされているが、現行のCEST法では、いずれも再現性に乏しく腫瘍の診断以外に臨床的有用性は確立してない。この原因は、腫瘍以外では病変部位と周囲正常組織との代謝の差が小さいためだと考えられる。今後ファントム実験を進行しながら、量子研での動物実験、臨床試験の次のステップとしてPDでの研究に進む前に、より病変部/正常組織との代謝の差が大きいと考えられるモヤモヤ病での解析が重要と考え、医科歯科大学との共同研究を計画中である。
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