研究課題/領域番号 |
22KK0142
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分58:社会医学、看護学およびその関連分野
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
池田 敦子 北海道大学, 保健科学研究院, 教授 (00619885)
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研究分担者 |
KETEMA RAHEL・MESFIN (RAHEL MESFIN・KETEMA) 北海道大学, 保健科学研究院, 特任助教 (60964822)
宮下 ちひろ 北海道大学, 環境健康科学研究教育センター, 客員研究員 (70632389)
アイツバマイ ゆふ 北海道大学, 環境健康科学研究教育センター, 特任准教授 (90752907)
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研究期間 (年度) |
2022-10-07 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
20,020千円 (直接経費: 15,400千円、間接経費: 4,620千円)
2026年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2025年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2024年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2023年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2022年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
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キーワード | 電子機器廃棄物 / ベトナム / 非正規 / 環境化学物質 / E-waste / 電気・電子機器廃棄物 |
研究開始時の研究の概要 |
電気・電子機器の急成長と寿命の短期化に伴い廃棄物(E-waste)が大量に発生し、その多くは非正規にリサイクル処理される。ベトナム北部には複数のE-waste非正規処理地域があるが、曝露と居住者の健康との関連は明らかになっていない。本研究は、当該地域を対象に、同意が得られた家族の属性、E-waste処理従事歴、体格や血圧・圧力などの健康、既往歴や自覚症状等のインタビュー調査を行う。尿および掌埃等を収集し、含有するE-wasteに由来するプラスチック可塑剤濃度の分析を行う。化学物質曝露と健康との関連を解析する。調査結果は、保護具の使用や作業場の改善等による曝露低減策と健康障害予防に役立てる。
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研究実績の概要 |
ベトナムのカウンターパートであるハノイ市Thang Long大学、ベトナム国立労働環境健康研究所(National Institute of Occupational and Environmental Health:NIOEH)、ハノイ国家大学、および世界保健機関(WHO)ベトナムを訪問し、研究計画を作成した。地域住民の健康調査の対象地域候補である2か所のハノイ近郊E-waste 処理地域を訪問し、地域の行政および保健活動担当者を通じて実際の処理状況や従事者の人数などの聞き取りおよび打ち合わせを実施した。処理地域の訪問によって、健康課題として保護器具の着用割合が低いこと、処理時における姿勢の問題や不安定な作業台など労働環境としての問題も認められた。さらに当初の計画では調査票をベースに自覚症状や体格などを調査する計画であったが、ベトナムカウンターパートの要望もあり、採血を含めたより詳細な健康調査を実施する方向で研究計画を更新することとなった。従って、再度先行研究の文献検索を行い、E-waste処理地域での健康障害の明確化および化学物質曝露として想定するフタル酸エステル類と成人における健康影響の報告についてまとめて研究計画案更新版および調査票案更新版を作成した。 調査は、ベトナムの調査員が、調査参加の同意取得後に、質問票による聞き取り調査、身長、体重、体組成、血圧、握力などの簡便な健康診査と採血を行う。曝露評価のため、調査日の朝一番の尿の収集を行い尿中プラスチック可塑剤としてフタル酸エステル類およびその代替物質の代謝物等の濃度を測定することとし、人を対象とした研究の倫理審査を日本及びベトナムNIOEHで取得するための準備中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究計画当初は、調査票を主にE-waste処理地域の住民の健康調査を実施する計画であった。ベトナムのカウンターパートと研究計画を討論するにおいて、単なる調査票調査ではなくより詳細な健康診査を行うことを提案されたことから、調査内容の修正・更新を進めてきた。健康診査の内容調整においてベトナム側との数回にわたっての調整が必要となり、調査開始時期が後ろ倒しになっていることから、当初計画からわずかに遅れているとした。現在は調査内容がほぼ決定しており、「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」に沿った研究計画を日本側およびベトナム側の研究者の所属機関双方で倫理承認を得るべく申請書類一式の準備を進めている。2024年度中には倫理承認を得て、実際の調査とデータ収集の開始ができる見込みである。
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今後の研究の推進方策 |
現在は調査内容がほぼ決定しており、「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」に沿った研究計画を日本側およびベトナム側の研究者の所属機関双方で倫理承認を得るべく申請書類一式の準備を進めている。2024年度中には倫理承認を得て、実際の調査とデータ収集の開始ができる見込みである。 倫理承認を得たのち、実際の調査実施準備を進める。まずは研究説明書および同意取得書類、調査票をベトナム語への翻訳を行う。調査票はオンライン入力ができるようにサービス提供会社との調整を行う。対象者への調査に先立ち、研究代表者および分担者がベトナムに渡航し、カウンターパートとの調査実施項目にそって、調査実施の流れ、聞き取り調査および調査データの入力方法、体組成計の使い方など調査マニュアルを調整、確定させる(7月中の実施を予定)。その後、必要な物品の購入、フタル酸エステル類のバックグラウンドレベルを下げるための保存用凍結バイアルのアセトン洗浄を行い、調査に備え、実際の対面調査を実施する(8月中を予定)。採血については、調査実施後速やかに検体測定機関に血液を移送し、血算、コレステロール、HbA1c、IgEの測定を行う。尿については比重測定後にガラスバイアルに分注し、凍結保存する。調査実施後には入力されたデータのクリーニング、およびデバイスを使用せずに測定した記録のデータ化およびクロスチェックを行う。基礎集計として、参加者の基本属性を明らかにする。 併せて、11月にベトナムホーチミンで開催予定のPacific Basin Consortium Conferenceにて研究基本計画を報告する。
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