研究課題/領域番号 |
22KK0149
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分58:社会医学、看護学およびその関連分野
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
加藤 大智 自治医科大学, 医学部, 教授 (00346579)
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研究分担者 |
内海 大介 琉球大学, 医学部, 特命講師 (40551958)
水島 大貴 自治医科大学, 医学部, 助教 (50843455)
伊藤 誠 愛知医科大学, 愛知医科大学, 客員教授 (90137117)
高木 秀和 愛知医科大学, 医学部, 准教授 (90288522)
山本 大介 自治医科大学, 医学部, 准教授 (90597189)
三木田 馨 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (40793881)
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研究期間 (年度) |
2022-10-07 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
20,020千円 (直接経費: 15,400千円、間接経費: 4,620千円)
2025年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2024年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2023年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2022年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | リーシュマニア症 / 疫学 / 診断 / リスク評価 / ベクター / リザーバー / 調査 / ペルー / スリランカ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、リーシュマニア症の継続的な感染症対策の一助とするため、以下の研究を行う。1) 流行地で実施可能な分子診断法の確立と応用、2) 高感度な迅速血清診断法の確立と応用、3) 尿検体を用いた集団検診によるハイリスク地域の特定、4) 感染リスク因子となるベクター(媒介昆虫)とリザーバー(保虫動物)の調査、5) 暴露リスク因子、病態リスク因子としてのサシチョウバエ唾液に対する抗体調査。
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研究実績の概要 |
本研究では、「顧みられない熱帯病」リーシュマニア症について、現場で実施できる迅速診断法・感染リスク評価法を構築し、継続的な感染症対策の一助とすることを目的とする。本年度の研究実績の概要は以下の通りである。1)コロニー飼育下の3種のサシチョウバエの腸内細菌叢を解析した。同じ環境下で飼育したにも関わらず、サシチョウバエ種によって腸内細菌叢が異なること、近縁種では類似した腸内細菌叢を持つことを明らかにした。2)スリランカのリーシュマニア症における感染原虫の定量法を確立し、症例に応用した。感染原虫数と病変、抗体価等との比較解析を行った。感染原虫数は、初期病変や特定の臨床型において高値を示し、塗抹検査による原虫の定量結果と相関を示したが、感染原虫数と患者血清抗体価との相関は見られなかった。3)非典型的な症状を呈した皮膚リーシュマニア症の輸入症例について、感染種を同定し、臨床経過についてまとめた。4)チュニジアで自然分布する数種のサシチョウバエの腸内細菌叢を比較解析した。生息場所と腸内細菌叢に関連があることが明らかとなり、生態系が腸内細菌叢の形成に深く関与することを明らかにした。5)チュニジアのリーシュマニア症流行地で分子診断系を確立した。また感染原虫種を同定し、予想外の原虫種が流行していることを明らかにした。このことは、サシチョウバエの腸内細菌は、遺伝的背景によって規定されることを示している。6)ペルー・クスコ県およびピウラ県のリーシュマニア症流行地域でサシチョウバエの調査を行い、分布サシチョウバエを明らかにした。この中で、げっ歯類感染性のトリパノソーマ原虫の感染を同定した。1), 2)の研究成果については国際誌に報告し、3), 4)については論文投稿中、5)については投稿準備を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度はコロナ禍で中断していたペルーでの疫学調査を2度にわたって実施した。1度目は南部のクスコ県、2度目は北部のピウラ県のリーシュマニア症流行地を訪問し、主に分布サシチョウバエの調査を行った。特に2度目は雨季ということもあり、サシチョウバエの捕獲は難航したが、各地域に分布するサシチョウバエの種を同定することができた。現在これらの検体を用いて、サシチョウバエの原虫感染の調査および遺伝子タイピング法の確立を試みている。2度目の調査では、ある種のサシチョウバエから、げっ歯類感染性のトリパノソーマ原虫を同定した。また、スリランカの研究者を受入れ、中断していた臨床検体の解析を進めることができた。スリランカの皮膚リーシュマニア症患者の臨床検体から原虫遺伝子を定量する系を確立し、病変部の感染原虫を定量した。感染原虫数は、初期病変や特定の臨床型において高値を示し、塗抹検査による原虫の定量結果と相関を示した。その一方で、感染原虫数と患者血清抗体価との相関は見られなかった。チュニジアのリーシュマニア症の疫学調査も実施した。チュニジア中部の皮膚リーシュマニア症流行地に赴き、現地で実施可能な分子診断系を確立した。また、これまで保存されていた検体を用いて現地で流行する感染原虫種を同定し、予想外の原虫種が流行していることを明らかにした。さらには、チュニジア南部に分布するサシチョウバエの腸内細菌叢を解析し、分布地域や生態系との関連を明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
1)ペルー、スリランカ、チュニジアにおけるリーシュマニア症の疫学調査、2)疾病流行地におけるLAMP法を用いた迅速分子診断の実施、3)分子生物学的手法を用いた大規模ベクター調査、4)サシチョウバエ腸内細菌叢の網羅的解析と病原体媒介能の検討、5)サシチョウバエ唾液抗原の発現と疫学調査への応用、について進める予定である。
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