研究課題/領域番号 |
22KK0150
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分58:社会医学、看護学およびその関連分野
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研究機関 | 鈴鹿医療科学大学 |
研究代表者 |
有馬 寧 鈴鹿医療科学大学, 医療科学研究科, 教授 (30263015)
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研究分担者 |
田中 章太 鈴鹿医療科学大学, 薬学部, 助手 (40783684)
川ノ口 潤 鈴鹿医療科学大学, 保健衛生学部, 准教授 (50752979)
王 桂鳳 鈴鹿医療科学大学, 保健衛生学部, 助手 (70909374)
大西 志保 鈴鹿医療科学大学, 薬学部, 助教 (80511914)
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研究期間 (年度) |
2022-10-07 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
20,150千円 (直接経費: 15,500千円、間接経費: 4,650千円)
2026年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2025年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
2024年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2023年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 肝吸虫 / Clonorchis sinensis / 胆管癌 / 肝前駆細胞 / 肝細胞癌 / 肝硬変 / ジエチルニトロソアミン / 8-ニトログアニン / 炎症 / クロノルキス・シネンシス / SOX9 / 発癌 / 化学療法 / 予防 |
研究開始時の研究の概要 |
胆道系のがんは予後が悪い難治性のがんである。発がん機構には炎症が関与しているが、詳細は不明である。本研究では、胆管がんを起こす寄生虫の肝吸虫に注目して、炎症による発がん機構の解明を目指す。肝吸虫流行地のタイ国・コンケン大学および中国・広西医科大学との国際共同研究を行うことにより、日本では症例数の少ない寄生虫による胆管がんの比較研究が可能となる。 肝吸虫感染モデル動物と肝吸虫感染関連胆管癌患者のサンプルを用いて、胆管がんにおける炎症の役割の解明、ターゲットの異なる薬の組み合わせによるがん予防効果、新規バイオマーカー探索について研究を行う。
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研究実績の概要 |
①研究背景:肝吸虫Clonorchis sinensis(CS)感染症は胆管癌の危険因子である。疫学研究では中国のCS感染症流行地域における肝細胞癌(HCC)患者の10%以上に肝吸虫症がみられる。CS感染とHCC発生率上昇に関連が示されているが詳細は不明である。本研究では、CS感染からHCCおよび肝内胆管癌 (ICC) 発症にいたる詳細な機序解明を目的としている。本年度は、昨年度に引き続きCS感染によるHCC発症モデルラットを用いてより詳細に検討するとともに、新たに国際共同研究者の協力を得てCS感染によるICC発症モデルラットを作成した。 ②方法:CS感染実験は国際共同研究者の協力を得て中国のCS生息地域で実施した。ICC発症ラットモデルは、Sprague DawleyラットにCSメタセルカリアを胃内投与し、続いて変異原物質N-ニトロソジメチルアミン(NDMA)を腹腔内投与した (CS-NDMA群)。比較対象として、CSメタセルカリア胃内投与群 (CS感染群)、NDMA腹腔内投与群 (NDMA群)、生理食塩水を胃内投与した陰性対照群 (NC) を作成した。 ③結果と考察: 8-ニトログアニンは炎症時に形成される変異原性DNA損傷である。HCC発症モデルラットでは、CS感染後10週目のラット肝臓は胆管上皮細胞の異常増殖があり、8-ニトログアニンが強く発現していた。HMGB1およびCOX-2の発現が、CS群の増殖性胆管上皮細胞および炎症細胞において観察された。CS感染が胆管上皮細胞における8-ニトログアニン形成を促進することを初めて明らかにした。CS感染はiNOS依存性DNA損傷に関与し、発がんにつながる可能性がある。8-ニトログアニンはCS感染関連胆管癌リスク評価の適切なバイオマーカーとなる可能性が示唆された(2023年日本癌学会学術総会で発表し、論文準備中)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究で既に得られている生体試料の解析を進めており、新たに海外研究拠点でCS-NMDA胆管癌モデルラット肝臓サンプルのタンパク質発現および免疫組織化学染色の解析をしている。新たに得られた実験結果を基にオンライン会議などを介して海外共同研究者と討論している。したがって、おおむね順調に進捗していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
本研究で得られたデータと相手国研究者の資料解析データを基に相手研究グループと討論し、一部の動物実験とタンパク質発現および免疫組織染色の解析は現地で行い、既に得られているデータ・試料の解析結果を基にオンライン会議などを介して共同研究を推進する。 1)がん抑制遺伝子異常の検出と機能解析 2)ウェスタンブロット法および免疫組織化学法によるタンパク発現の定量解析 3)酸化的DNA損傷指標8-oxodGおよびニトロ化DNA損傷8-ニトログアニンの解析
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