研究課題/領域番号 |
22KK0164
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分63:環境解析評価およびその関連分野
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
関口 和彦 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (50312921)
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研究分担者 |
玄 大雄 中央大学, 理工学部, 准教授 (50774535)
熊谷 貴美代 群馬県衛生環境研究所, 水環境・温泉研究センター 大気環境係, 係長 (50391826)
三小田 憲史 富山県立大学, 工学部, 講師 (80742064)
藤谷 雄二 国立研究開発法人国立環境研究所, 環境リスク・健康領域, 主幹研究員 (20391154)
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研究期間 (年度) |
2022-10-07 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
20,150千円 (直接経費: 15,500千円、間接経費: 4,650千円)
2025年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2023年度: 7,020千円 (直接経費: 5,400千円、間接経費: 1,620千円)
2022年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
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キーワード | プラスチック含有微小・ナノ粒子 / プラスチック混合燃焼(野焼き) / ベトナムハノイ / フィールド観測 / 化学成分分析 / 多環芳香族炭化水素 / ラマン分光法 / 電子顕微鏡観察 / 溶媒抽出CPP-GC/MS / 顕微ラマン分光 / 雨水採取装置 / 混合燃焼 / 雨水 / プラスチック分析 / 簡易測定 |
研究開始時の研究の概要 |
広大な稲作地域を有するベトナムハノイにおいて、日越国際共同での大気浮遊粒子状物質(PM)観測を行い、大気PM中プラスチック成分とその発生から沈降(雨水への移行)までの動態把握と、有害化学物質である多環芳香族炭化水素との関連調査、さらに、分光分析によるプラスチック含有粒子の簡易計測手法の開発に取り組む。これにより、プラスチックを混合した野焼きに由来するプラスチック含有微小・ナノ粒子の実態を解明するとともに、水圏のプラスチック汚染にこれらの粒子が与える影響を定量的に評価する。さらに、これら途上国でのフィールド観測を通じて、新たな研究拠点の確立と、若手研究者の育成も行う。
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研究実績の概要 |
令和5年度は当初の計画に基づき、ベトナムハノイにおいて雨季の6月に粒子状物質(PM)のプレ観測を行った。プレ観測において、サンプリング装置の設置場所や電源確保、現地スタッフとの協力体制について最終確認を行い、乾季の10-11月に集中観測を実施した。捕集フィルターに対しては、炭素成分、イオン成分などの基礎成分分析をすでに開始しており、成分濃度と気象の影響については傾向を確認できているが、プラスチック混合粒子に対する成分分析については分析手法が確立され次第、分析を開始する予定である。また、実験室的な稲わらとプラスチックの混合燃焼で得られたPMサンプルに対して各種分析手法による検討を行い、以下の①~④のような知見が得られた。次年度以降、現地捕集サンプルに対しても、同様の傾向が確認できるかについて検討を進める。①高分子の多環芳香族炭化水素(PAH)成分が検出されることが確認でき、プラスチックの熱分解過程で生成するC1、C2化学種が前駆物質としてPAH成分の生成を促進している可能性が示唆された。②プラスチック燃焼の指標成分であるテレフタル酸がプラスチック混合燃焼PMから検出される一方で、各種プラスチックに特徴的なスペクトルが確認できた。③ラマン分光法の応用では、稲わらとポリエチレン(PE)の混合サンプルからPEの存在を示すCH2振動やCC振動のピークが確認できた。④透過型電子顕微鏡(TEM)観察では粒子径100 nm以下の超微小粒子も多く観察され、EDSにより粒子に含まれる元素を調べたところ、プラスチック混焼試料ではC/O比がやや高く、特徴的な形態(小さい粒が集まって一つの粒子を構成)を持つ粒子では著しく高くなる傾向が確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和5年度の計画では、ハノイ都市部および郊外でのプラスチック含有微小・ナノ粒子の現地観測に加え、各種分析手法による現地サンプルの分析を開始するとしていた。現地観測については当初の計画通り順調に進展しているが、各種分析手法については新たな取り組みであることもあり、現地サンプルへ応用するには実験室的な基礎評価だけでなく、検出限界や定量性などについてより詳細に検討すべきであると判断した。そのため、分析手法については次年度中に確立することとし、確立でき次第、現地サンプルの分析を開始することとした。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、当初の計画通り、プラスチック混合燃焼(野焼き)のみならず、タイヤから発生するゴム粒子も対象として、ハノイ都市部および郊外での観測を継続的に雨季(5-6月)と乾季(10-11月)に実施する。また、各種分析手法の確立に向けた取り組みを行い、現地サンプルに対する分析を開始する。具体的には、プラスチック成分分析では新たな溶剤を用いた熱分解GC-MS手法の確立、PAH成分分析では実サンプルに向けた前処理方法の確立と雨水成分に対する応用の検討、分析有機マーカー分析では新たな指標成分の同定と分析メソッドの確立、ラマン分光法では光源の変更とベースラインの安定化による解析手法の確立、TEM観察ではC/O比を用いた新たな観察手法の確立などである。
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