研究課題/領域番号 |
22KK0173
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分64:環境保全対策およびその関連分野
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
原本 英司 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (00401141)
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研究分担者 |
清 和成 北里大学, 医療衛生学部, 教授 (80324177)
古川 隼士 北里大学, 医療衛生学部, 准教授 (90632729)
田中 靖浩 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (50377587)
亀井 樹 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (80792168)
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研究期間 (年度) |
2022-10-07 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
20,150千円 (直接経費: 15,500千円、間接経費: 4,650千円)
2025年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2024年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
2023年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
2022年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
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キーワード | 健康関連微生物 / 下水疫学調査 / 微生物起源解析 / カトマンズ盆地 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は大きく2つの研究テーマに分けることができ,病原微生物による感染症の流行状況を把握するための「下水疫学調査」の有効性の評価に関する研究と,現地住民の主要な飲料水源である地下水中における病原微生物・糞便汚染源を同定する「微生物起源解析」に関する研究を実施する。また,この2種類の研究を実施する際に必須となる,水試料からの病原微生物および微生物遺伝子マーカーの高感度検出法の開発にも取り組む。
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研究実績の概要 |
2023年度は、カウンターパートのSarmila Tandukar氏の協力により、カトマンズ盆地内の2ヶ所の下水処理場において流入水と放流水を定期的に採取した。また、研究協力者として参画している研究助教と学生2名が2023年10~11月に現地に渡航して病院排水および河川水を採取し、試料中の微生物の濃縮作業等を実施した。不活化処理を施して国内に輸送した試料から複数種の病原微生物や微生物起源解析マーカーの測定を試みた。 リアルタイムPCR法による下水からの病原微生物の検出率は、A型肝炎ウイルスが51%、エンテロウイルスA71型(手足口病の主要な病因ウイルス)が64%であり、現地での高い罹患状況を反映していると考えられた。また、病院排水からの新型コロナウイルスの検出率は100%であり、86%の試料で定量可能な濃度で検出されており、感染者の発生動向が把握できない現地において下水疫学調査が有効となることが示唆された。 また、デジタルPCR法を用いた5種類の遺伝子の同時検出法を開発した。新型コロナウイルス、A型インフルエンザウイルス、RSウイルス(A・B型)およびタバコモザイクウイルスの5種類を検出する病原ウイルス検出系と、ヒト・ブタ・反芻動物バクテロイデス、イヌミトコンドリアDNAおよび大腸菌の5種類を検出する微生物起源解析マーカー検出系を構築し、病院排水と河川水からの検出に成功した。 今年度の研究により、リアルタイムPCR法およびデジタルPCR法を活用することで、現地において下水疫学調査と微生物起源解析が可能になることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
カウンターパートの協力も得ながら現地の下水処理場や病院、河川を対象とした採水調査を実施する体制を確立し、継続的なデータの取得ができている。また、本研究を構成する2つの大きなテーマである「下水疫学調査」と「微生物起源解析」について、下水疫学調査として複数の病原ウイルスを測定し、微生物起源解析では様々な宿主に対応した遺伝子マーカーを測定できており、データの蓄積が進んでいる。このことから、研究は順調に進んでいると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、研究代表者と研究分担者が渡航して現地調査を実施し、下水に加え、河川水や地下水の採取を計画している。採取した試料は、ウイルスのみならず、病原細菌や薬剤耐性遺伝子の測定に供する予定である。継続的な調査を行うことにより,現地において下水疫学調査と微生物起源解析を活用するための基盤となるデータの取得を目指す。
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