研究課題/領域番号 |
22KK0174
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分64:環境保全対策およびその関連分野
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
藤吉 奏 広島大学, IDEC国際連携機構:PHIS, 助教 (20805808)
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研究分担者 |
丸山 史人 広島大学, IDEC国際連携機構:PHIS, 教授 (30423122)
岩本 洋子 広島大学, 統合生命科学研究科(生), 准教授 (60599645)
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研究期間 (年度) |
2022-10-07 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
20,020千円 (直接経費: 15,400千円、間接経費: 4,620千円)
2025年度: 6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
2024年度: 6,890千円 (直接経費: 5,300千円、間接経費: 1,590千円)
2023年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | バイオエアロゾル / 微生物群集 / 大気汚染 / チリ / 都市度 / メタゲノム解析 / 細菌群集 / メタゲノム |
研究開始時の研究の概要 |
自然および人為起源のエアロゾル粒子の多くは、小さく軽量であるため風に乗って長距離を移動し、ヒト、動物、植物に様々な急性・慢性疾患を引き起こすことが知られている。近年、特に都市ではヒト由来の微生物も多く飛散していることが知られていることから、本研究では、人口密度と大気汚染度の異なる南米チリ共和国の3地域に着目、生物因子はどこまで拡散するか、拡散に影響を与える物理化学的要因、そして発生から沈降時の変化を明らかにする。本研究で得られる成果は、人為的な影響の範囲を把握するのに寄与するだけではなく、ワンヘルスに資する遺伝子汚染リスク評価法構築への基礎となる。
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研究実績の概要 |
本研究では、生物因子の拡散とその拡散に影響を与える物理化学的要因、発生から沈降時の変化を明らかにするため、異なる人口密度と海(山)からの距離を持つ都市を選定し、大気試料を採取する。2022年度は、チリから輸送された60の既存のバイオエアロゾルフィルターを使用してRNAを抽出し、16S rRNA、18S rRNAをターゲットにしたアンプリコンシーケンス解析を実施した。その結果人由来の微生物が高い割合で検出された。これは、人口密度と大気汚染度が比較的高いチリの首都Santiagoで捕集したことを反映していると考えられる。また真核生物を対象とした解析では、カビや昆虫、哺乳類が比較的高い割合を占めていたが、その割合は採取時期によって変動が大きいことが明らかとなった。 上記解析に加え、本研究の目的に沿うサンプリング地点をカウンターパートと選定し、実際に現場を確認した。その結果、チリを横断する6都市(Icalma, Melipeuco, Cunco, Temuco, Carahue, Puerto Saavedra:東西約200 km)の市役所敷地内にてエアロゾルサンプリングの許可を得ることができた。現在、現場でのモニタリングのための機器比較を実施しており、大気環境の測定項目として設定されている二酸化硫黄、一酸化炭素、窒素酸化物などをコンセントなしで測定可能な機器も選定し貸与するための手続きも完了した。カウンターパートとは試料採取ならびに解析の進め方、2023年度の渡航予定、研究会の開催についても詳細を相談した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、チリで取得し日本へ輸送したバイオエアロゾルフィルター60試料を用いて16S rRNA, 18S rRNAをターゲットにしたアンプリコンシーケンス解析を実施することができた。環境試料からのRNA抽出、アンプリコンシーケンス解析が予定通りに進んだことで、次年度のモニタリング、試料輸送方法、遺伝子解析、ゲノム解析をベースとした研究への土台が固まった。
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今後の研究の推進方策 |
大気環境と微生物の拡散に関する理解を深めるため、チリ国内の6都市で年4回のエアロゾルサンプリングを実施する。また、二酸化硫黄、一酸化炭素、窒素酸化物やPM2.5、PM10などの大気汚染物質を現地で測定するとともに各都市の気象観測所から気象データを取得する。採取したエアロゾルサンプルは、物理化学的パラメータとともに、定性・定量分析を行い、微生物の拡散や人間活動の影響を解明する。また、選定した6都市は人為起源物質の影響がある地域からほとんど手付かずの自然が残る地域までを含むことから、これらのモニタリングデータと地理的データと組み合わせることで、大気汚染物質の発生源から汚染物質の特定との相互作用を解明する。
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