研究課題/領域番号 |
22KK0176
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分64:環境保全対策およびその関連分野
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
種田 あずさ 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業環境研究部門, 主任研究員 (70585314)
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研究分担者 |
片柳 薫子 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業環境研究部門, 上級研究員 (20455265)
当真 要 北海道大学, 農学研究院, 教授 (10514359)
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研究期間 (年度) |
2023-02-10 – 2029-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
20,020千円 (直接経費: 15,400千円、間接経費: 4,620千円)
2027年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2026年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2025年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2024年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2023年度: 7,930千円 (直接経費: 6,100千円、間接経費: 1,830千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 窒素循環 / フットプリント / 作物生産 / プロセスモデル / ワークショップ / ライフサイクル |
研究開始時の研究の概要 |
人間活動により急増した反応性窒素(窒素ガスを除く窒素化合物)の低減が近年求められており、資源の生産から消費までの過程で排出される反応性窒素の総量を「消費者の窒素フットプリント」として評価する方法が開発されてきた。しかし、従来法は生産方法や生産環境といった個別現場の状況を消費者に可視化できない。本研究では農業生産に着目し、観測に基づく窒素動態の広域推定法と従来の窒素フットプリント法を組み合わせた統合型評価モデルを開発し、将来シナリオを生産者とのワークショップを通じて構築することにより、両者を組み合わせて生産方法や生産環境が消費者の窒素フットプリントに及ぼす影響を統合的に評価する手法を開発する。
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研究実績の概要 |
近年、窒素資源の効率的な利用が求められている。窒素フットプリント法で、資源の生産から消費までの過程で排出される反応性窒素反応性窒素(窒素ガスを除く窒素化合物)の総量を「消費者の窒素フットプリント」として評価する。本研究では、この従来モデルに観測に基づく窒素動態を広域に推定するプロセスモデルを組み合わせることで生産現場と消費者をつなぐ新たな統合型窒素フットプリントモデルを開発するため、(1)作物生産に関するプロセスモデルを用いた解析と、(2)統合的評価モデルの構築を行う。また、(3)農業生産関係者らとのワークショップの開催を通じて、事例研究地域の将来シナリオを用いた予測を行う。主な事例研究地域は(A)ドイツ・ブランデンブルグ州と(B)北海道三笠市であり、(C)静岡県牧之原台地では期間後半でモデル適用に関する課題抽出を行う。 2023年度は、(A)に関して、作物生産(作付け品目履歴、施肥基準、収穫量等)および生産環境(気温、降雨量、土壌等)に関するデータを収集し、類型化を検討し、プロセスモデル(土壌-植物系の炭素・窒素動態予測(DNDC-Rice)モデル)入力用に整備した。また、新たなモデル構築の第一段階として、土壌肥沃度により農地を類型化した場合の窒素フットプリントを算出し、同じ小麦栽培でも土壌と肥料管理により大きく異なることを示した。 (B) に関しては、2002~2009年の間の4年分の土地利用調査と聞き取り調査のデータを整理して農地を類型化し、市内の幾春別川流域を対象として2000年~2012年の農地からの窒素流出量をプロセスモデル(準分布型水文流出(SWAT)モデル)を用いて推計し、従来モデルへの接続を試行した。また、玉ねぎ畑について、1995~2000年の観測データを用いてDNDC-Riceの検証を行い、タマネギの生育及びCO2とN2Oの放出を精度よく予測できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現地事情によりワークショップの開催を2025年度に見送ったが、別予算でドイツの共同研究先に滞在する機会を得て欧州での関連研究者らとのネットワーク構築を進めると共に、プロセスモデルによる現状解析やワークショップ開催に向けた研究のアウトプットの検討は着実に進めることができ、統合モデルの構築についても初期検討結果を国際学会で発表できたため。
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今後の研究の推進方策 |
(A)ドイツ対象地域では、類型化の検討と現状解析を進める。同時に、典型的な農地管理と代替的農地管理を例に統合モデルの構築を行う。また、物価高と厳しい規制の導入等で農業者の政策者や科学者への不信感が高まり、農業者と研究者との類似のワークショップに参加者を集めるのが困難になっている状況を踏まえ、(B)三笠地域でのワークショップを参考に、農協や農業指導員等の中間機関との意見交換等も含めて柔軟に実現方法を検討する。(B)三笠地域においては、現状解析の精緻化と類型化の修正を含めた統合モデルの構築を進め、今年度ワークショップを開催し、将来シナリオ構築に向けたフィードバックを得る。
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