研究課題/領域番号 |
22KK0178
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分90:人間医工学およびその関連分野
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
熊田 博明 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (30354913)
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研究分担者 |
中村 哲志 国立研究開発法人国立がん研究センター, 中央病院, 医学物理専門職 (20638374)
田中 浩基 京都大学, 複合原子力科学研究所, 教授 (70391274)
松本 孔貴 筑波大学, 医学医療系, 助教 (70510395)
増田 明彦 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 主任研究員 (70549899)
井垣 浩 国立研究開発法人国立がん研究センター, 中央病院, 科長 (90361344)
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研究期間 (年度) |
2022-10-07 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
20,020千円 (直接経費: 15,400千円、間接経費: 4,620千円)
2026年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2025年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2024年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
2023年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2022年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | ホウ素中性子捕捉療法 / 中性子計測 / 国際標準化 / 線量計測評価 / 加速器中性子源 |
研究開始時の研究の概要 |
日本国内のBNCT用中性子源施設:京都大学、筑波大学、国立がん研究センターの各グループと、放射線の標準計測評価の専門家である産総研の中性子計測グループとともに、BNCT分野で国際的に標準となるえる中性子計測技術を検討し、計測技術、手法を確立する。検討した計測手法を用いて、まず、日本の3つのBNCT施設での計測を実施する。 続いて2年目(2024年度)からは、国外のBNCT施設に出向き、日本で策定した計測機器、手法を用いて、各施設の中性子ビームの計測を行う。 各施設での測定結果を比較するとともに、計測方法を高度化し、最終的にBNCT分野の標準、統一的な計測手法、技術の確立を目指す。
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研究実績の概要 |
本事業は、2020年から日本で保険治療が始まったホウ素中性子捕捉療法(BNCT)について、当治療に用いられている医療用加速器ベース中性子発生装置の国際標準化、規格化を目指す活動である。本活動体制として、国内でBNCT用加速器ベース中性子発生装置が整備されている施設:京都大学、筑波大学、国立がん研究センターの各グループと、産総研の中性子計測グループと連携し、BNCT分野で国際的に標準となりえる中性子計測技術を検討し、計測技術、手法を確立する。この策定した計測手法を用いて、京都大学、筑波大学、国立がん研究センターに整備されている各装置のビーム特性測定を実施する。国内での測定と並行して、3年目から国外の各BNCT施設に出向いて、各装置が発生する中性子ビームの測定を計画している。各施設での測定結果を比較するとともに、計測方法を高度化し、BNCT分野の標準、統一的な計測手法、技術の確立を目指すものである。 活動2年目の2023年度は、前年度に策定した中性子計測手法(物理学的測定法、及び、生物学的評価法)に基づいて、まず、国内のBNCT施設:筑波大学、国立がん研究センター・中央病院、京都大学複合原子力科学研究所のそれぞれの中性子ビームの計測評価を実施した。 また、日本以外のBNCT施設の中性子ビームの特性測定を実施するため、英国・バーミンガム大学、及び、フィンランド・ヘルシンキ大学病院のそれぞれのBNCT活動の物理工学担当者と協議して国際的な評価方法の検討、策定を行った。これに基づいて、この3者での論文投稿を行い、採択、出版までに至った。 国内ではBNCT装置の中性子ビームを計測評価するためのガイドライン策定活動に参加して情報提供を行っている。また、BNCT装置の商用機の国際規格の策定がIECの放射線治療のWGで実施されており、これに参加して主体的に規格策定を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本活動は、がん放射線治療として2020年から保険適用となって治療が開始されたばかりのBNCT分野に対して、治療に用いる中性子、及び、付随的に発生するγ線を高精度に測定する技術を確立し、これを国際的に標準化、統一化することを最終目標としている。この目標達成に向けて、2022年度に選定した中性子の測定に用いる計測機器:組織等価型の電離箱を用いて国内のBNCT施設:京都大学、国立がん研究センターのBNCTに設置し、特性測定を開始した。もう1つの中性子計測技術であるシリコン半導体ベースの中性子モニターについては、2022年度に明らかとなった技術的課題:加速器が発生するノイズの影響への対策を施し、2023年度に筑波大学のBNCT施設での計測評価を実施し、ノイズの影響を受けずに計測できることを確認した。 異なる複数のBNCT装置が発生する中性子ビームを客観的に計測評価するためのガイドライン策定活動は、関連する学会:日本中性子捕捉療法学会等でワーキンググループで行われており、本活動で得られた計測結果等の情報をガイドライン策定にフィードバックしている。 国際的な活動としては、日本以外の国でBNCT施設を建設して臨床研究実施を目指しているフィンランドのヘルシンキ大学病院、英国・バーミンガム大学のBNCT担当者と連携し、BNCTの線量評価に関する国際評価方法について、検討・策定を行い、2023年度に論文投稿を行って採択、公開に至った。また、BNCT装置の商用機の国際規格の策定がIECの放射線治療のWG下にBNCT装置に関する検討ワーキングパーティが設置されておりで実施されており、BNCT分野で先行している日本が中心となって規格案を策定して提示し、国際的な協議を行っている。この活動に研究代表者、分担者が参加し、研究的視点から協議し、2023年までに一通りの規格案の策定を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度の活動を踏まえて、国内のBNCT用加速器中性子源を有する3つの施設:筑波大学、国立がん研究センター中央病院、京都大学に共通の中性子モニターを整備し、それぞれの施設の中性子ビームを計測する。また、生物学的な評価(細胞照射、小動物照射)も実施して比較評価するための手法の検討を行う。これらの情報をガイドライン策定活動にフィードバックする。国内のガイドラインは、2025年度内に第1弾版の確定、発信を目指す。 2023年度は、中性子捕捉療法に関する国際学会が6月にポーランドで開催される予定であるが、この学会期間中に本活動に関する会合を設置し、各国の関係者に参画してもらい、BNCT分野の中性子ビームの計測、線量評価法について、協議する。また、実際にBNCT用装置が設置されているフィンランド・ヘルシンキ大学病院、韓国・ソウルのGil医療研究センターに出向き、日本の中性子計測法を用いての中性子ビーム計測を試みる。これらの活動に基づいて、IECのBNCT装置ワーキングパーティで策定している国際規格に反映させる。この国際規格は、本活動期間内(2025年度末)に確定し、国際規格としての登録を目指す。
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