研究課題/領域番号 |
22KK0219
|
研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(A))
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07090:商学関連
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
善如 悠介 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (10754682)
|
研究期間 (年度) |
2023 – 2025
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
15,210千円 (直接経費: 11,700千円、間接経費: 3,510千円)
|
キーワード | プラットフォーム / ビッグデータ / シェアリングエコノミー / 流通システム / サプライチェーン |
研究開始時の研究の概要 |
基課題「プラットフォームビジネスに適合した流通システムの形態に関する研究」に、「プラットフォームによるビッグデータの利用」という新たな観点を加えて、より発展的な研究内容に挑戦する。そのためには、海外共同研究者との協働が必要不可欠である。これまでプラットフォーム研究に従事してきた研究代表者が、データ利用に関するエキスパート集団であるモナシュ大学の研究チームと協力することによって、この本研究課題に取り組む。
|
研究実績の概要 |
初年度である2023年度は、小売のビジネスモデルに着目し、ビジネスモデルの違いが小売競争に与える影響の解明を目指した。具体的には、卸売モデルと代理店モデルの2種類に着目した。卸売モデルは、長年広く採用されてきた小売のビジネスモデルであり、代理店モデルは近年Amazonや楽天といったプラットフォームにおいて採用されているビジネスモデルである。 我々は、オンライン・プラットフォームほど代理店モデルを採用する傾向が高いことに焦点をおき、それらのプラットフォームと従来型の小売企業の間の大きな違いとして、オンライン・プラットフォームの方がより多くの製品を扱い、結果としてより膨大なデータを有する点に着目した。彼らが有するデータは多岐にわたり、消費者の買い物履歴や好みだけでなく、売手の取引履歴や製品特徴なども含まれる。 また、オンライン・プラットフォームは各カテゴリにおける売手間の競争をある程度コントロールできるのではないかと指摘されている。例えば、ある特定のカテゴリにおける検索結果の表示アルゴリズムを操作することで特定の売手を優遇し、それ以外の売手の販売機会を制限することも理論上は可能である。操作の仕方によって、そのプラットフォーム上で活動する売手の市場支配力を高めること(つまり競争を緩めること)もできれば、低めること(つまり競争を促進すること)もできる。通常、小売企業は、取引相手である製品の供給業者が高い市場支配力を持つことを嫌うのだが、プラットフォームに代表される代理店モデルでは、必ずしもそうではないことを示した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上述の通り、ビッグデータを有するオンライン・プラットフォームのビジネスモデルの選択と、それが小売競争に与える新たな影響を明らかにすることができた。加えて、プラットフォーム上の売手との関係性についても、既存研究とは異なる、興味深い結果が得られた。これらの結果から、プラットフォームに関わる小売競争の経営戦略に対してのみならず、競争政策的な課題に関しても新たな知見を提供できるはずである。無論これらの結果を更に洗練させていく必要はあるが、初年度から一定程度の結果が得られたことをふまえて「おおむね順調に進展している」と自己評価した。
|
今後の研究の推進方策 |
2023年度に得られた上述の結果をもとに、さらに発展的に共同研究を展開することを予定している。そのためにも、現在の結果を世界中の学会・研究会などで報告し、様々な研究者からのコメント・アドバイスを得る必要がある。得られたフィードバックを反映させながら、より応用的な研究を進めるとともに、既存の結果を学術論文としてまとめあげることも並行して行う予定である。
|