研究課題/領域番号 |
22KK0249
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(A))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分19020:熱工学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
手嶋 秀彰 九州大学, 工学研究院, 助教 (60906220)
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研究期間 (年度) |
2023 – 2025
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
15,470千円 (直接経費: 11,900千円、間接経費: 3,570千円)
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キーワード | 三相界線 / ナノ構造 / ピニング / 接触角ヒステリシス / 先行液膜 / 原子間力顕微鏡 / 白色干渉顕微鏡 / 熱工学 / MEMS |
研究開始時の研究の概要 |
固体‐液体‐気体が重なる三相界線は種々の工学・化学プロセスにおいて重要な役割を果たす一方、その物理には今でも不明な点が多い。特に理論的仮定とはかけ離れた、実際の固体面上のようにナノスケールの凹凸を持つ表面での物理はその重要性にも関わらず完全な理解には程遠い。本国際共同研究では、申請者のナノ界面計測技術と国際共同研究者の表面微細加工技術を融合することで、実表面上での三相界線の物理の解明を目指す。
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研究実績の概要 |
本国際共同研究では基課題が目指す三相界線近傍のダイナミクス解明を加速・発展させるべく、理想的でない実表面上での三相界線の物理を解き明かす。 本年度は渡航前につき、原子間力顕微鏡(AFM)と白色干渉顕微鏡(CSI)を用いた液滴の三相界線近傍の計測手法の確立を試みた。 AFMについては、AFM探針の濡れ性や計測パラメータを最適化することで基板表面に付着させた不揮発性のナノ液滴の形状と周囲の固体表面形状を同時に測ることに成功している。その結果、基板の表面粗さが原子レベルであってもナノ液滴にはきわめて強いピニングサイトとして働くこと、また逆にグラファイトのように理想的に平坦な表面であれば殆どピニングは働かないといった有益な知見が得られた。またピニング現象に関連して、固液界面における流体のすべり長さをAFMで精度良く計測する新たな手法を確立させた。 CSIに関しては、クォーツ基板上に静置した液滴の三相界線近傍を計測することに成功し、完全濡れ条件で現れる先行液膜の形状も計測できることを確認した。さらに、深さ約200nmのナノスケールの凹構造を基板表面に作製し、先行液膜を伴いながらゆっくりと前進する三相界線が構造付近でどのように振る舞うかCSI計測した。既存の前進接触角の理論では、三相界線は構造上部のエッジでピニングされたのち、構造の傾斜角と同じだけ接触角が変化してからディピニングされるはずだが、先行液膜が存在する本研究では予想値の3%の接触角変化でディピニングされた。この超早期ディピニングは、三相界線の先端から先行液膜が拡散的に発達し凹構造の内部に侵入することに起因していることと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通りAFM・CSIでの接触線近傍の形状計測に成功しており、ナノ構造と接触線挙動の関係といった新たな知見も獲得できている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は国際共同研究先に渡航して研究を進める。これまでに確立させた技術ももちろん利用するが必要以上に固執せず、先方の実験装置や技術といった研究環境に応じて研究を進展させる予定である。
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