研究課題
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(A))
膵癌の前癌病変には、膵上皮内腫瘍性病変(以下、PanIN)と膵管内乳頭粘液性腫瘍(以下、IPMN)の2つの膵管内腫瘍が知られ、それらが浸潤し浸潤性膵管癌を形成すると、その予後は極めて不良である。「膵管内腫瘍がどのようなメカニズムで間質浸潤を開始するのか」は未だ解明されていない。本研究では、invasive frontに焦点を当てた空間トランスクリプトーム解析、マルチオミックス解析、機能解析により、分子Aを起点とした「浸潤能」と「細胞回転休止」を同時に制御する可逆的な分子メカニズムを明らかとする。
膵癌の前癌病変には、膵上皮内腫瘍性病変(PanIN)と膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)の2つの膵管内腫瘍が知られ、それらが浸潤し浸潤性膵管癌を形成すると、その予後は極めて不良である。しかし、「膵管内腫瘍がどのようなメカニズムで間質浸潤を開始するのか」は未だ解明されていない。申請者らは先行研究にて、膵管内腫瘍からの浸潤開始部(invasive front)では、p16を過剰発現した細胞回転休止期の腫瘍細胞が浸潤能を獲得していることを明らかとした。本研究では、膵管内腫瘍とinvasive frontに焦点を当てた空間トランスクリプトーム解析、マルチオミックス解析、機能解析により、「浸潤能」と「細胞回転休止」を同時に制御する可逆的な分子メカニズムを明らかとする。実績1)Invasive frontでのp16過剰発現と分子Aの発現消失に伴う、メチル化状態(H3K27me3)、増殖能(Ki-67)、浸潤能(cadherin、metalloprotease、laminin 5γ2)、膵癌フェノタイプ(GATA6、CK5)、および、着目分子Bの発現変動とその下流シグナルの発現変動を、免疫組織化学染色法にて解析した。実績2)トランスクリプトーム解析:Cadherin、metalloprotease、interleukin familyなどのsenescence-associated secretory phenotype因子、上皮間葉転換因子の発現変動を解明するためトランスクリプトーム解析を行った。実績3)p16発現誘導細胞株を用いたを機能解析を目標として、不死化膵管上皮細胞(HPDE株)およびKRAS G12V発現HPDE亜株、膵癌細胞株を用いて、DOX誘導性レンチウィルス発現ベクターpLX401-INK4A-BSDによるp16の発現誘導を試みた。
3: やや遅れている
不死化膵管上皮細胞(HPDE株)およびKRAS G12V発現HPDE亜株、膵癌細胞株を用いて、DOX誘導性レンチウィルス発現ベクターpLX401-INK4A-BSDによるp16の発現誘導を試みたが、その発現誘導と細胞株の維持が困難であり、予定していたEZ-Tet-pLKO-BSDベクターを用いて分子Aのノックダウンとその細胞機能解析、分子A阻害薬による機能変化解析に至らなかった。
トランスクリプトーム解析を進め、分子Aや分子B、cadherin、metalloprotease、interleukin familyなどのsenescence-associated secretory phenotype因子、上皮間葉転換因子の発現変動を明らかとする。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 2件、 招待講演 4件)
Modern Pathology
巻: 37 号: 1 ページ: 100358-100358
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Journal of Clinical Pathology
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