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妊娠高血圧腎症の病態形成機構におけるCD4陽性細胞と絨毛細胞の細胞間相互作用の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22KK0287
研究種目

国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(A))

配分区分基金
審査区分 小区分56040:産婦人科学関連
研究機関富山大学

研究代表者

津田 さやか  富山大学, 学術研究部医学系, 助教 (60839075)

研究期間 (年度) 2023 – 2025
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
15,470千円 (直接経費: 11,900千円、間接経費: 3,570千円)
キーワード妊娠高血圧腎症 / CD4陽性T細胞 / 制御性T細胞 / 絨毛外栄養膜細胞 / シングルセルトランスクリプトーム解析 / 妊娠 / T細胞受容体
研究開始時の研究の概要

胎盤を形成する絨毛外栄養膜細胞(EVT)は父親由来抗原を発現し、母体の免疫細胞と直接接触するが、免疫寛容が誘導されるため拒絶されない。母体のCD4陽性Tヘルパー細胞(CD4+Tconv)は拒絶に働くが、制御性T細胞(Treg)はそれを抑制する。我々は、妊娠高血圧腎症(PE)の発症に、Tregの系列的安定性の喪失が関わることを示唆するデータを得た。そこで、1)子宮内膜Tregの系列的安定性に関わるエピゲノム変化、2)Tconvの分化に関わる補助刺激を明らかにし、1)、2)をもとに選定した免疫作動薬の有効性を患者由来EVT cell lineとCD4+Tconvとの共培養系で評価することとした。

研究実績の概要

正常妊娠初期(n=4)・正常妊娠後期(n=3)・妊娠高血圧腎症(PE)(n=3)の子宮内膜CD4+T細胞(エフェクター型ヘルパーT細胞、メモリーCD4+T細胞、制御性T細胞(Treg)を含む)をシングルセルトランスクリプトーム解析に供した結果、正常妊娠後期に比較し、PEでは、Tregに疲弊分子(PD-1等)の発現が増強する一方、メモリーT細胞とエフェクター型CD4+T細胞の一部で活性化マーカー・拒絶反応関連遺伝子の発現増強を認めた(Tsuda S., et al, Frontiers in Immunology, 2024)。
絨毛外栄養膜細胞(EVT)からの補助刺激とT細胞分化の関係ならびPEにおける変化をシングルセルトランスクリプトーム解析にて明らかにするため、サンプルの取得を行った。ホルマリン固定パラフィン包埋サンプルからのシングルセル遺伝子発現解析Flexを用いることとした。正常妊娠後期23例、PE9例の胎盤をホルマリン固定した。また、T細胞のエピゲノム解析を行うため、単一核解析用の末梢血リンパ球凍結を1例のPE症例から行った。
EVTとT細胞の共培養系の確立のため、EVT cell lineの作成を行った。正常妊娠3例、PE1例からcell lineの確立に成功した。EVT cell lineとprimary EVTの補助刺激分子ならびに遺伝子発現の比較を行うため、両者のフローサイトメトリーと前者のシングルセルトランスクリプトーム解析を行った。フローサイトメトリーでは、両者における補助刺激分子発現は概ね類似していることが明らかとなった。トランスクリプトーム解析は、今後公開データベース上のprimary EVTのデータとin houseデータを比較する予定である。また、EVT cell lineと末梢血リンパ球の共培養の予備実験にて、培養条件の最適化を行っている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

トランスクリプトーム解析用サンプルの収集状況は順調であるが、エピゲノム解析用の凍結T細胞サンプル収集が遅れている。PE胎盤のコンディションが悪く、凍結T細胞が取得できない症例の頻度が予定よりも多かったためである。
共培養系確立のための予備実験は概ね予定通りに進捗している。

今後の研究の推進方策

ホルマリン固定サンプルのHE染色スライドを複数名でレビューし最適なサンプルを選定したのち、シングルセル解析に供する。エピゲノム解析用サンプル収集の進捗が予定通りにいかないようであれば、細胞分離・保存・シングルセル解析プロトコールを富山大学と共有・標準化し、2か所のコホートを準備する。
EVTとT細胞の共培養系については、アッセイ法の予備実験を引き続き継続し、培養条件とフローサイトメトリーパネルの最適化を行う。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (4件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Immunological regulation and the role of autophagy in preeclampsia2024

    • 著者名/発表者名
      Nakashima Akitoshi、Furuta Atsushi、Yoshida‐Kawaguchi Mihoko、Yamada Kiyotaka、Nunomura Haruka、Morita Keiko、Yasuda Ippei、Yoneda Satoshi、Yamaki‐Ushijima Akemi、Shima Tomoko、Tsuda Sayaka
    • 雑誌名

      American Journal of Reproductive Immunology

      巻: 91 号: 3

    • DOI

      10.1111/aji.13835

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] CD4+ T cell heterogeneity in gestational age and preeclampsia using single-cell RNA sequencing.2024

    • 著者名/発表者名
      Tsuda Sayaka, Shichino Shigeyuki, Tilburgs Tamara, Shima Tomoko, Morita Keiko, Yamaki-Ushijima Akemi, Roskin Krishna, Tomura Michio, Sameshima Azusa, Saito Shigeru, Nakashima Akitoshi
    • 雑誌名

      Frontiers in Immunology

      巻: 15 ページ: 1401738-1401738

    • DOI

      10.3389/fimmu.2024.1401738

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] T cell immunity and the etiology and pathogenesis of preeclampsia2023

    • 著者名/発表者名
      Saito Shigeru、Tsuda Sayaka、Nakashima Akitoshi
    • 雑誌名

      Journal of Reproductive Immunology

      巻: 159 ページ: 104125-104125

    • DOI

      10.1016/j.jri.2023.104125

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 妊娠におけるT細胞免疫の不均一性を解明する.2023

    • 著者名/発表者名
      津田 さやか
    • 学会等名
      第5回日本不育症学会学術集会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演

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公開日: 2023-02-01   更新日: 2024-12-25  

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