研究課題/領域番号 |
22KK0290
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研究種目 |
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(A))
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53040:腎臓内科学関連
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
牧田 侑子 順天堂大学, 医学部, 助教 (20838487)
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研究期間 (年度) |
2023 – 2025
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
14,170千円 (直接経費: 10,900千円、間接経費: 3,270千円)
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キーワード | IgA腎症 / IgA産生細胞 / シングルセルRNA解析 / 糖鎖異常IgA1 / IgA産生B細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
IgA腎症は世界で最も頻度が高い原発性糸球体腎炎であるが、疾患の発症・進展機序は未だに明らかにされていない。本研究では、IgA腎症モデルマウスおよびIgA腎症患者の腎組織、血液、尿などの臨床検体を用いてシングルセルRNA解析を行うことで、粘膜免疫応答異常により産生される腎炎惹起性IgA産生B細胞の粘膜面から腎臓への移動の誘因を検証する。さらに、IgA腎症における活動性評価において非侵襲的なマーカーとなり得るものを特定する。IgA腎症の病態メカニズムを明らかにし、さらには新たな治療法の開発につなげる。
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研究実績の概要 |
IgA腎症における腎炎惹起性IgAの産生機序および腎炎発症機序は明らかにされていない。 これまでに、糖鎖異常IgA1および糖鎖異常IgA1免疫複合体が上気道や腸管の粘膜関連リンパ組織で産生され、糸球体に沈着すると考えられているが、腎炎発症のメカニズムは不明である。最近の研究では、実験的IgA腎症モデルマウス;BAFF-Tg(TNF関連サイトカインBAFFを過剰発現させたマウス)において、粘膜免疫応答異常により産生されたIgA産生細胞が腎臓内で同定されることが示された。 本研究では、腎臓に集簇するIgA産生細胞がIgA腎症の発症、進展に関与しているという仮説に基づき、実験的IgANモデルマウスにおける腎IgA産生細胞の特徴を明らかにし、腎臓への移動と腎臓内での滞留を促進する因子を同定し、腎ニッチにおける細胞間相互作用を探索することを目的とした。 フローサイトメトリー解析により、BAFF-Tgマウスの腎臓ではIgA産生形質細胞が年齢依存的に増加することを確認した。さらに、シングルセルRNA解析(scRNA-seq)を行い、BAFF-Tgの腎臓においてIgA産生形質細胞の集団が存在することを確認した。形質芽細胞に対する形質細胞の比率も高かった。 遺伝子の発現差を解析すると、BAFF-Tgマウスとコントロールマウスの腎臓における形質細胞、マクロファージ、内皮細胞集団の表現型が異なることが明らかとなった。さらに、リガンド-受容体ペア解析では、腎臓への形質細胞の移動と腎臓内での形質細胞の維持には、マクロファージ、内皮細胞間の機能的細胞間相互作用が重要であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
IgA腎症モデルマウスを用いた、シングルセルRNA解析は順調に進んでいる。IgA腎症患者の腎生検組織を用いた解析を行うにあたり、患者背景や腎炎の重症度などを決定するのに時間がかかり、進展がやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
IgA腎症モデルマウスを用いて単細胞RNA解析から明らかになった腎臓の遊走・滞留を促進する因子の機能を評価し、潜在的な治療標的を検討する。 IgA腎症患者の腎生検組織を用いて、シングルセルRNA解析を行い、腎臓に集積する免疫細胞や腎実質細胞の特徴を明らかにする。さらに、IgA腎症患者の扁桃におけるIgA産生細胞を評価し、腎IgA産生細胞と比較することで、IgA腎症における粘膜免疫の関与を明らかにする。
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