研究分担者 |
重川 一郎 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (00127234)
國府 寛司 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50202057)
中西 賢次 京都大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (40322200)
大鍛治 隆史 京都大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (20160426)
澤野 嘉宏 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教 (40532635)
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研究概要 |
研究分担者の中西はシカゴ大学のSchlag氏とともに,非線形波動方程式および非線形シュレディンガー方程式に対し,基底状態の近傍にある解の大域的挙動を研究した.同氏が1999年に開発したMorawetz型の評価式とKenig-Merleによって提唱された最小爆発解論法をあわせることにより,基底状態よりエネルギー準位が高い解に対しても,大域的漸近挙動を決定することに成功した.基底状態の近傍とはいえ,基底状態よりエネルギーが高い一般解の大域的漸近挙動を決定した研究はこれが初めてである. また,研究代表者の堤は,数理解析研究所の宮路智行氏および広島大学の大西勇氏と共同で,Lugiato-Lefever方程式の定常解の漸近安定性を研究した.Lugiato-Lefever方程式は,定数外力と減衰項を持つ非線形シュレディンガー方程式であり,ハミルトン系としての構造を持たないため,従来の研究方法は必ずしも有効ではなかった.非線形放物型方程式の場合,解析半群の正則性と生成作用素の分数べきの理論を適用することにより,定常解の漸近安定性が得られていた.しかし,これらの理論は非線形波動・分散型方程式に対しては適用できない.今回は,定常解の近傍における線形化作用素の精密な解析を行ない,複素ポテンシャルを持つ線形シュレディンガー方程式に対するStrichartz評価式を証明することにより漸近安定性の証明に成功した.
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