研究課題/領域番号 |
23390340
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
胸部外科学
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研究機関 | 愛知県がんセンター(研究所) |
研究代表者 |
光冨 徹哉 愛知県がんセンター(研究所), 分子腫瘍学部, 研究員 (70209807)
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研究分担者 |
谷田部 恭 愛知県がんセンター(研究所), 分子腫瘍学部, 研究員 (90280809)
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研究期間 (年度) |
2011
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研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
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配分額 *注記 |
10,010千円 (直接経費: 7,700千円、間接経費: 2,310千円)
2011年度: 10,010千円 (直接経費: 7,700千円、間接経費: 2,310千円)
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キーワード | 上皮成長因子受容体 / EGFR変異肺癌 / キナーゼ阻害剤 / 獲得耐性 / HER2変異肺癌 / T790M 2次的変異 / 分子標的治療 |
研究概要 |
日本人肺癌の30-40%をしめる上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子変異陽性肺癌に対するEGFRチロシンキナーゼ阻害剤の治療効果はすでに確立している。しかしほとんどすべての症例で耐性を獲得する。本研究の第1の目的はこの耐性機序を明らかとし、その克服をめざすことであり、本年度は下記の成果を得た。 DEGFRキナーゼ阻害剤獲得耐性における上皮間葉転換の関与の同定 EGFR変異を有するHCC4006肺癌細胞株をErlotinibに長期曝露させることによりErlotinib耐性株を樹立、親株と耐性株を比較することにより、EGFRキナーゼ阻害剤獲得耐性機序を探索した、その結果、耐性株では上皮系のマーカーの消失、間葉系マーカーの発現亢進を認め、上皮間葉転換が起きていることを同定した。さらに、親株にTGFbetaを用いて上皮間葉転換を起こさせることにより、EGFRキナーゼ阻害剤の感受性低下をもたらすことを見出した(Suda K,et al.J.Thorac.Oncol.2011)。 ii).EGFRキナーゼ阻害剤獲得耐性におけるPTEN発現低下の関与の同定 Erlotinib長期曝露によりT790Mを獲得したErlotinib獲得耐性株であるHCC827EPR細胞株(Suda K,et al.Clin.Cancer Res.2010)より、T790Mを克服可能と考えられている不可逆的EGFRキナーゼ阻害剤耐性株を樹立し、その耐性機序を解析した。その結果、耐性株ではPTEN発現低下が起きていること、PTEN発現低下によりPI3K-AKT経路が活性化されていること、PI3K-AKT経路を抑制することにより耐性を克服できることを同定した(Suda K et al.Lung Cancer,in press)。 さらに、今年度の研究において、(1)HER2変異肺癌細胞株よりIIER2キナーゼ活性抑制作用のある複数の薬剤より獲得耐性株を樹立、また、(2)第3世代EGFRキナーゼ阻害剤とも呼ばれるT790M特異的EGFRキナーゼ阻害剤を用いて、EGFR変異肺癌細胞株より獲得耐性株を樹立した。現在、これらの獲得耐性株の耐性機序について解析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2種類のEGFRキナーゼ阻害剤獲得耐性株について解析が終了しており、さらに1種類のHER2変異肺癌キナーゼ獲得耐性株および第3世代のEGFRキナーゼ阻害剤獲得耐性株も樹立できており、本研究は目的に沿っておおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
樹立したHER2変異肺癌キナーゼ阻害剤獲得耐性株および第3世代のEGFRキナーゼ阻害剤獲得耐性株について、その耐性機序や耐性株の特性について、引き続き解析を進める予定である。
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