研究課題/領域番号 |
23406021
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 海外学術 |
研究分野 |
公衆衛生学・健康科学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
藏崎 正明 北海道大学, 地球環境科学研究科(研究院), 助教 (80161727)
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研究分担者 |
細川 敏幸 北海道大学, 高等教育推進機構, 教授 (00157025)
田中 俊逸 北海道大学, 地球環境科学研究科(研究院), 教授 (30142194)
斎藤 健 (齋藤 健) 北海道大学, 大学院保健科学研究院, 教授 (40153811)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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研究課題ステータス |
採択後辞退 (2013年度)
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配分額 *注記 |
18,330千円 (直接経費: 14,100千円、間接経費: 4,230千円)
2013年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2012年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2011年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
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キーワード | インドネシア / 内分泌撹乱物質 / 腐食物質 / 熱帯泥炭地 / 生活廃水汚染 / 陸水 / 水銀汚染 / 生体影響評価 / 血管内皮細胞 / 汚染機構 |
研究概要 |
本調査研究では、インドネシアのジャワを中心に、河川流域とその河川により潅漑される農地を対象として、内分泌撹乱化学物質を含む環境汚染の実態の調査解明、汚染化学物質の住民等への健康影響を把握し、開発途上国における明確な環境汚染の影響評価法の確立を目指す。そのため、工業化が遅れている地域として熱帯泥炭地を含み森林火災が頻繁に起こる中央カリマンタンと熱帯泥炭が存在しない西部イリアンジャヤを選択し、生活廃水による汚染を併せて調査し、人為的な汚染構造の解明に努める。 平成24年度は平成23年度に引き続き、ジャカルタ近郊のジャワ海流入河川水域、および熱帯泥炭地帯の中にある中央カリマンタンのカハヤン川、セバンガウ川の流域におけるサンプルの収集を行なった。 河川中の全有機炭素、溶存態有機炭素濃度、pH、電気伝導度、溶存酸素濃度、陰イオン濃度、酸化還元電位等および混入大腸菌測定を携帯試薬など用いて行なったところ、昨年同様、カリマンタン地方では腐食物質による溶存有機炭素量が多く検出された。全ての地域で重金属の汚染は少なかったが、生活廃水および農薬汚染等が観察された。また、汚染物質濃度自体は予想通り乾季に増大することが確かめられた。水界生態系食物網を構成する藻類、動物プランクトンなどの種組成は、カリマンタン島とジャワ島では多様性と重金属濃度等との関連ははっきりと確かめられる結果は得られなかった。今後、底生動物における形態異常についても併せて検討して行く予定である。 また熱帯泥炭地に多く含有される腐食物質の1種であるフミン酸が、結合している鉄および銅に由来した酸化ストレス反応を生体に引き起こすことが、血管内皮細胞を用いた細胞生物学的実験から確かめられた。酸化ストレスによる細胞死に一酸化窒素合成酵素の二つセリン残基のリン酸化促進が関与していること等が昨年から引き続き新たに確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度予定されたサンプリングはほぼ予定通り進行し、経年変化および雨季乾季別の変化のサンプリングと測定もほぼ終了し、翌年、さらに再現性確認等の積み上げ実験の準備中である。ジャワ島における水銀汚染に関するデータも集積しつつある。さらに、ジャワ島河川の汚染と他国汚染の比較解析も進みつつあり、蓄積したデータを利用した汚染度評価指標構築等の作業も進めている。また、熱帯泥炭地由来の腐食物質の1種であるフミン酸を生体に曝露した時にフミン酸に結合した重金属に依存したと思われる酸化ストレス増大が起こり細胞内でアポトーシスを誘導することが、血管内皮細胞を用いた実験で確かめられ論文として公表できた。本年度はそのサイドワークとしてカリマンタン陸水に多く含まれているフミン物質であるフルボ酸に同様の効果があるか否かを調べ、陸水を主たる飲用水に利用している住民の健康影響評価に結び付けたいと考えている。唯一、計画段階から遅れているのは、他の地域の調査に手間取り、イリアンジャヤの調査をまだ行なっていないことが挙げられる。本年度はサンプリングを実行する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、昨年度に引き続き、ジャワ島の生活廃水による都市汚染および水銀汚染のサンプル収集と解析、熱帯泥炭地に特有の腐食物質と住民の健康、および23年度から始めた腐食物質による毒性発現機構をより明確にするため、上にも記したようにフルボ酸を用いた細胞生物学的実験に比較的力を注いで進めて行く予定である。また、最終年度ということ新しい調査地のイリアンジャヤの調査およびサンプリングを行ない、解析を含めて本研究のデータに加えていく予定である。また、生物試料同定及び形態異常観察も現地大学との共同研究の形で進めているものを本年度は形あるものに纏めるよていである。また機会があれば、今後の研究進展に役立つプラスアルファを調査の中で見出して行きたいと考えている。
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